新・ことば事情
6744「続・1点しんにゅうと2点しんにゅう」
平成ことば事情6660「『逗子』の『逗』~1点しんにゅうと2点しんにゅう」で書いた、
「1点しんにゅう」と「2点しんにゅう」
の続編です。
3月7日の『ミヤネ屋』で取り上げた「森友問題」で出て来た、立憲民主党の、
「辻元清美議員」
の「辻」の字は「1点しんにゅう」か?「2点しんにゅう」か?
この日の『ミヤネ屋』の放送では、前日の日本テレビ『NEWS ZERO』に合わせて「2点しんにゅう」
にしました。(「作字」してもらいました。)
ちなみに『かんさい情報ネットten.』では、
「1点しんにゅう」
また『国会便覧』も、
「1点しんにゅう」
当の「辻元清美議員のホームページ」は、
「2点しんにゅう」
ですが、
「1点しんにゅうも混在」
しています。11年前の2007年5月に調べた際は、
『「辻元清美」の選挙ポスターは「2点しんにゅう」でしたが、放送各局でわざわざ「2点しんにゅう」にしているところは、私が見た限りありませんでした。全部「1点しんにゅう」でした。実際「辻」という漢字を使う名字の人で「2点しんにゅう」を使っている人は、少ないそうです。」
と記してありました。
先月の用語懇談会(2018年2月)でも、この問題(「逗子市」の「逗」の「しんにゅう」の点の数)について各社の意見を聞きました。平成ことば事情6660「『逗子』の『逗』~1点しんにゅうと2点しんにゅう」で書いたとおりですが、その際に、
「機材(パソコンソフト)によって『1点』『2点』が違う」
という話が出ました。マイクロソフトは「辻」「逗子」などは「2点」、他のフォントでは「1点」になったそうです。また、歴史的に(時代別に)見ると、フォントは、
1970年代には「2点」
1983年に「1点」
その後また「2点」に戻る
という変遷を経ているとのことでした。
おととい(3月5日)、日本人として初めて「アカデミー賞・メーキャップ賞」を受賞した、
「辻一弘さん」
も、『ミヤネ屋』では、
「2点しんにゅう」
にしました。他のテレビで私が見たTBS・日テレは、
「2点しんにゅう」
関西テレビ『報道ランナー』は、
「1点しんにゅう」
でした。新聞(3月5日・夕刊)は「産経新聞」が、
「2点しんにゅう」
で、あとの「読売」「朝日」「毎日」「日経」は、
「1点しんにゅう」
でした。
「逗子市」のときは「朝日・産経」が、
「2点しんにゅう」
だったのですが、今回は「産経」だけが「2点しんにゅう」でした。
また3月9日のNHKでは、立憲民主党の、
「辻元国対委員長」
の「辻」が、
「1点しんにゅう」
でした。
また同じ日3月9日夕方の日本テレビ「news every.」では、
「1点しんにゅう」
の「辻元」でした。日本テレビも「ZREO」と「every.」では「1点」か「2点」かは違うのですね。
そして、NHK放送文化研究所が出している『放送研究と調査』2018年3月号に、
「放送における漢字の字体についての考え方の整理」
というタイトルで、2017年12月1日に開かれた「第1419回放送用語委員会」(東京)での討議の様子が載っていました。それによると、NHKは基本的には、
「新字体」を使い、「旧字体は使わない」ということです。つまり、
「1点しんにゅう」
ということになります。