新・ことば事情
6743「ヒジャーブ、ヒマール、ニカブ3」
平成ことば事情6733「ヒジャーブ、ヒマール、ニカブ2」の続きです。
また、古いスクラップが出て来ました。前の「朝日新聞」と同じ、
「2010年」
の5月28日付「読売新聞」朝刊。見出しは、
「ブルカ仏イスラム社会亀裂」
「禁止法案 成立濃厚」
「反対派 容認派同紙に殺害予告」
「ヘジャブの乱れ摘発強化~イラン」
といった見出しが並んでいて、
「ブルカ」「ニカブ」「ヘジャブ」
のイラストでその違いを示しています。イラストによると、
・「ブルカ」=目の部分に網状の黒い布で覆われている。
アフガニスタンやパキスタン北部でよく見られる。
・「ニカブ」=目の周囲だけ肌が出ていて、鼻と口は覆われている。忍者みたい。
サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などペルシア湾岸諸国の女性がよく身に着けている
・「ヘジャブ」=顔全体が出ている。頭からスカーフをかぶったような感じ。頭髪を覆い隠す。イランやエジプトの女性に多い。
ということのようです。イランでは全成年女性にヘジャブ着用が義務付けられているそうです。
この時期(2010年)に、こういった記事が多いのは、やはりフランスでいわゆる、
「ブルカ禁止法案」
の成立の可否が問われ、社会問題化していたからでしょう。
その後、同じ年(2010年)の12月18日にチュニジアで始まった、
「ジャスミン革命」
を気賭けにアラブ世界に波及した、
「アラブの春」
へも影響を与えたでしょうし、フランスで「2015年1月」に発生した、
「風刺雑誌シャルリ・エブド襲撃テロ」(死者17人)
「2015年11月」に起きた、
「パリ同時多発テロ事件」(死者130人、負傷者300人以上)
「2016年7月」の、
「ニース・トラックテロ」(86人死亡)
といった一連の「大規模テロ事件」への遠因・導火線にもなったのではないかと、今、振り返ってみると感じました。