新・ことば事情
6741「いっぴ」
3月5日の「ミヤネ屋」で、レスリング女子・五輪4連覇の伊調馨選手と栄和人・日本レスリング協会強化本部長を巡る「パワハラ問題」を取り上げました。
伊調選手は、所属先の警備会社「ALSOK」で、今年の、
「1月1日付」
で広報部に所属して「普通のOL」として勤めているという話が出ました。(「OL
という言い方が、少し古いのではないか?という話も出ましたが。)
この「1月1日付」の「1日」の読み方に関して、Mディレクターから、
「『いっぴ』と読んでも良いか?」
という質問がありました。これに対しては、
「正式には『ついたち』。『いっぴ』は専門用語・業界用語です」
と回答しました。
その後、用語懇談会での過去の討議を調べたところ、ちょうど10年前に一度、討議されていましたので、転載します。
*いっぴ(1日)=2008年4月
4月1日のことを「しがついっぴ」と表現していたが 、いかがなものか?(共同通信)
・フリートークでは「イッピ」も出てくる(毎日放送、朝日放送)
・正式にはもちろん「ついたち」(各社)
・辞令などで「イッピヅケ」という言葉はあるが、辞書には載っていないのでは?(読売テレビ)
そして今(2018年3月)、「いっぴ」が辞書に載っているかどうか調べたところ、
『広辞苑』(第6版)『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『新明解国語辞典』(第7版)『明鏡国語辞典』(第1版)には載っていませんでしたが、
『三省堂国語辞典』(第7版)には「話し言葉」として、『明鏡国語辞典』(第2版)には「ビジネス用語」として載っていました。そして、先日(2018年1月12日に)出た『広辞苑』(第7版)にも、新たに採用されていました!地味な改訂ですね。
今後、広がっていくのではないか?とも思われますが、今のところは、
「専門用語的扱い」
というところでしょう。