新・読書日記 2018_031
『微妙におかしな日本語~ことばの結びつきの正解・不正解』(神永暁、草思社:2018、2、21)
著者は、日本一大きな国語辞典(「あ」から「ん」まで13巻)の『日本国語大辞典』、通称「日国」(ニッコク)の元・編集者。1957年生まれで、去年2月に定年を迎えた後も、「日国」第3版の改訂作業に携わっているという。背表紙と表紙の著者の名前の上に書かれた、
「辞書編集37年」
という"あおり文句"が。そのプライド!"老舗感"(?)が出ます。
5章に分けられた本書では、「2つ以上」の似たような言葉を並べて、その「正しさ」について論じる。まず第1章「ことばの結びつき、正しいのは?」(基本編)で○×。これは割と、私にとっては簡単。第2章は「微妙に違う日本語、どっちが正解か?」。ここでは、一概にはどちらが正しいと言えないようなものが。そして第3章では、「じつは『どっちも正しい』日本語」というコーナーで、これは私達から言うと、「ええ!それはダメでしょ、間違い!」と思うようなものも結構、出てくる。例えば「的を射る」と「的を得る」「満面の笑み」と「満面の笑顔」など。これはまだ許容とは言えないと思うのだけど。
そして、第4章「読み方は同じ。正しいのは?」というコーナーでは、漢字の使い分けについてを取り上げ、「初心に帰る」か?「初心に返る」か?、「高みの見物か」?「高見の見物」か?といったもの。さらに第5章は逆に「漢字は同じ。さて、どう読む?」と、「読み分け」の問題。これは勉強になりました。「骨を埋める」は「うずめる」か?「うめる」か?これ、悩んでたんです。正しくは「うずめる」。「うずめる」は「骨の上に土を盛る」んですね。「うめる」は「穴を掘る」ので、行為そのものが違うんですね。「土の中になる」のは同じでも。全部で「147の言葉」について取り上げています。
これらは、次の「日国」の改訂にも役立てられることでしょう!