新・ことば事情
6737「『お母さん』の『お』と『お父さん』の『お』は違う」
先日、合唱団の新年会での、大先輩の指揮者須賀敬一さんと話の中で、
「なんで、五十音は『あかさたな はまやらわ』という子音の順番になったかわかるか?」
と聞かれました。
うーん、なんでやろ?と思いながら、実際に声を出しながら「舌の位置」に意識をしていたら、分かりました。
「あ、舌の位置が、だんだん後ろに下がっていく!」
「正解!」
そうなんです、「か行」は、舌が口の先のほうにあり、少し下がって「さ行」、順に「た行」「な行」「は行」「ま行」「や行」「ら行」「わ行」と、舌の先がどんどん喉の奥に近い位置に移って行くではありませんか!気付かなかった!意識したことなかった。
だからあれか、舌の長い人が「ら行」が苦手なのは、のどの奥に近い所で発音させる「ら行」は、舌の扱いに困って苦手になるんだ!そうかあ、納得。
更に須賀先輩が、
「同じ母音でも、単語によって発音は変わって来るんだ。『お父さん』と『お母さん』の『お』は、違う音だろ」
とおっしゃるので、舌の位置を意識しながら、
「お父さん」「お母さん」
と発音すると、たしかに違います。
「お父さん」の「お」のほうが「口の開きが大きい」ように感じます。
「お母さん」は、次の「か」に移る前の「お」なので、「やや口の開きが狭い」。
つまり、
「次に来る『子音』によって、『その前の母音の口の開き方=音色』が変わってくる」
ということですね。
これって、普段は、何も考えずに自動的にやってるけど、理論的に考えるとそういうことになるのかあ。すごいことだなあと思いました。
須賀先輩、ありがとうございます。大変勉強になりました!