新・ことば事情
6724「人間離れをした身体能力」
2月27日の読売テレビの夕方の「かんさい情報ネットten.」の「特集」を見ていたら、いきなり、こんなナレーションが聞こえて来ました。
「人間離れをした身体能力を持つ」
え?ちょっと待てよ、と。
何が気になったかというと、この「特集」は、
「警察犬」
についての特集だったのです。「警察犬」が嗅覚などで、
「人間離れの身体能力を持つ」
のは、当たり前です。「人間じゃない」んだから。「犬」ですからね。
「人間離れをした」
という言葉は、
「人間に使う言葉」
です。
「人間なのに、人間とは思えない能力がある」
から、そう呼ばれるんです。言い換えれば、
「人間以外の動物には使えない」
んです。
「ネコ離れをした身体能力の犬」
って、言わないでしょ。「犬」は「ネコじゃあない」んだから。つまり、
「『○○離れ』するものは『○○』」
なのです。
「『○○離れをした能力の△△』は、間違い」
なのです。これを書いた記者が言いたかったのは、
「人間の何百倍もの身体能力(嗅覚)を持つ犬」
「人間には及びもつかない身体能力(嗅覚)を持つ犬」
なのでしょう。なら、そう書けば、いいじゃん!
ある意味、「人間離れをした原稿」と言えましょう。