新・読書日記 2018_026
『聴くと聞こえるon Listening1950-2017谷川俊太郎、創元社:2018、2、10)
谷川俊太郎さんの、新しい「アンソロジー」を見つけて購入。出たばかりでした。
この中の「ケルトドラム奏者」(51ページ)は、男声合唱曲『クレーの絵本・第二集』の中に収められているので、学生時代に歌ったことがありますが、改めて、その歌詞(詩)の奥深さに触れることができました。
110〜111ページの「夕立の前」。
「いくら耳をすませても 沈黙を聞くことは出来ないが
聞こうと思わなくとも聞こえてくる
僕らは取り囲む濃密な大気を伝わって
沈黙は宇宙の無限の希薄に属していて
静けさはこの地球に根ざしている」
これを読んで、
「静けさは有機物、沈黙は無機物」
だと思いました。
そして、「あとがき」に書かれていたことについて、途中で私も気付きました。それは、
「聞く」は「普通に音をきく」状態で、特に集中しなくても聞こえる場合に使い、
「聴く」は「傾聴する」とか「音楽を聴く」のように「注意して集中してきく」際に使うものだとばかり思っていましたが、実はそれは、
「外の音」
に耳を澄ませる場合。
それに対して、
「心の声=真理」
は「聴く」のではなく、
「内側から、聞こえる」
のだと。
そして、「本当の詩」というものは、「聴く」姿勢を持っていると「聞こえる」のだということを、この詩集は示しているのではないかなあという気がしました。
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