新・ことば事情
6723「なぜ『将棋は指す』で『囲碁は打つ』なのか?」
エウレカ!わかった!
「なぜ『将棋は指す』で『囲碁は打つ』なのか?」
という問題。
「将棋」は、「最初から盤の上に置いてある駒」を「水平方向に」動かします。相手の方に動かすとすると、これが、
「さす」(刺す・挿す・指す)
という言葉で象徴されるのではないでしょうか?
それに対して、「囲碁」の「石」は、最初から盤上にある訳ではありません。
「碁笥(ごけ)」
と呼ばれる丸い木箱の中にある石を取り出して、新たに碁盤の上に置いていく。碁盤から見ると、これは「上から下へ垂直方向に」置かれるわけですから、この動作を、
「打つ」
と呼ぶのではないでしょうか?「打ち下ろす」のですね。
しかし「指す」と呼ぶ「将棋」においても、相手から取った駒を盤上で使う時には、
「打つ」
と言います。ここから考えると、「囲碁」に限らず「将棋」でも、
「盤外から、石や駒を盤上に置く行為」
を指して(!)、
「打つ」
と呼ぶのではないでしょうか?
ちなみに「マージャン」で「牌」を場に捨てる時も、
「打ち込む」
と言いませんでしたっけ?あれも盤外からの、
「上から下への動作」
ですよね。
「博打」も「打つ」とは言っても「指す」とは言いません。そこから考えると、
「『打つ』には、『指す』にはない動作・行動まで含まれる」
気がします。
この「将棋」と「囲碁」の動作の違い、「打つ」「指す」に関しては、実は、
『微妙におかしな日本語』(神永暁、草思社)
という本の「132~134ページ」を読んでいて閃いたと言うか、ほぼそこに書かれていたので、詳しくはこの本を読んでくださいね、出たばかりだから。私も今、読んでいる途中です。
また、「平成ことば事情6371囲碁は打つ、将棋は指す」もお読みくださいね。