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『道浦TIME』

新・読書日記 2018_021

『お話はよく伺っております』(能町みね子、文春文庫:2017、11、10)

「2018読書日記007」で書いた、酒井順子さんの『男尊女子』と比べると同じような何気ないエッセイでありながら、文体に書き手の「ジェンダー」を感じさせる。

酒井さんは「女」でありながら、その「女」の社会的立ち位置に疑問を持ち続けている視点。一方の能町さんは「体が男、心が女」で「女」になった方。でも文体・目線は「男」が残っているように感じる。「女」の社会的立ち位置に疑問を持っているようには、文体からは感じられなかった。

その能町さん、「週刊文春」で連載を持っていたのだが、ちょうどこの本を読んでいる最中に、「文春」の取材姿勢、つまり編集長の編集方針に疑問を覚えて、連載を「休載」してしまった。

これに対して「『男』だな!」と言うと、また話がややこしいのだが、

「女のように潔くスッパリと」(「休載」だから、本当はスッパリではないが)

連載を辞めてしまったので、驚いた。

この本で書かれた「街中の観察エッセイ」は、実は、私も「ことば」に関していつもやっていることなので、共感を覚えた。あのユーミンも、昔は若者の会話や風俗を、喫茶店で聞き耳を立てて取材していたと言うしね。「時代の空気」を取材することは、大事だと思いましたね。

本書のタイトルは、別に「名刺交換の際の言葉」ではなく、ふだん勝手に聞き耳を立てて、勝手に取材させて頂いている「取材対象者」への「おことわり」のフレーズということで、ちょっと、しゃれています。


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(2018、2、2読了)

2018年2月24日 17:25 | コメント (0)