新・読書日記 2018_002
『宇多田ヒカルの言葉』(宇多田ヒカル、エムオン・エンタテインメント:2017、12、9)
奥付の「装丁」の後に「校閲:石田知之」というクレジットが!校閲が入ってるんだ!
去年の12月に出たのは知っていたのだが、家の近くの本屋さんでは見当たらず、梅田の少し大きな書店で、たまたま時間があったので、店員さんに聞いたら、すぐに見つかって購入。2018年、最初に読み終えた本になった。
半分ぐらいの詞は、読むだけで頭の中にメロディーが流れて来るな。時代を感じる言葉も。
宇多田ヒカルの詩以外に「寄稿」として吉本ばなな、最果タヒ、水野良樹(いきものがかり)、河瀬直美、糸井重里、小田和正といったクリエイターたちが言葉を寄せている。中でも同い年で歌手・アーティスト・ソングライターとして活躍している「いきものがかり」の水野良樹の文章が、とても興味深い。水野によると宇多田ヒカルは「個」からスタートした「私の物語」を紡いできていると。それに対して「いきものがかり」は全く逆の方向から歌を紡ぐことは出来ないか?と考え続けて来たというのだ。それほどまでに宇多田ヒカルを意識して来たのかということを知り、驚いた。
また、ラッパーのSKY-HIは(この人のことを、私は不勉強で知らないのだが)、
「すごみを感じさせない、すごい言葉」
と題して、
「新鮮味しかない。すごみを感じさせない。」
「宇多田さんは『みんなが知っている言葉をみんなが知らない聴かせ方をする』っていうことをずっとやってきているんだなと思います」
と言う。また、
「宇多田さんの歌詞には、そういうドヤ感もない。『ともだち』がLGBTのことを歌っているというのはインタビューで答えているからわかりますけど、下手したら『気づかれなくてもいい』と思っているのか?くらいのバランスで書きあげてるのに、歌詞の意味に広がりがあるんですよね」
とも語っている。「ともだち」という曲は聴いたことはあったが、LGBTのことを歌っているとは、全然気付かなかった。
そして、水野良樹と小田和正は「真夏の通り雨」について感じたことを書いている。この曲は、確かに、新たな宇多田ヒカルの旅立ちを告げる曲だと私も感じた。胸に迫る、好きな曲である。