新・ことば事情
6636「『幸四郎』のアクセント」
1月8日のテレビ朝日『徹子の部屋』に、「高麗屋三代襲名披露」をした、
幸四郎改め二代目・松本白鷗
染五郎改め十代目・松本幸四郎
金太郎改め八代目・市川染五郎
が揃って出演していました。正月からおめでたい。なんでも「37年前」の「高麗屋三代襲名披露」の際にも出演していたということで、その際のVTRと見比べながらという、長寿番組ならではの企画でした。
その中で私が気にしていたのは、
「『染五郎』のアクセント」
でした。歌舞伎界では「平板アクセント」で、
「ソ/メゴロー」
と言う傾向があると聞いたことがあるからです。しかし黒柳徹子さんは、終始、
「ソ/メ\ゴロー」
という「中高アクセント」でした。
「アッと驚くタメゴロー」
の「タ/メ\ゴロー」と同じアクセントでした・・・と言っても、分かってくれるのは、50歳以上かな?
出演の高麗屋お三さん方の口からも「平板アクセント」の、
「ソ/メゴロー」
というのは聞かれなかったような気がします。(そもそも「染五郎」という名前そのものを言わなかったのでは?)
その中で気になったのが、「松本幸四郎」の「幸四郎」のアクセントです。松本白鷗さん(先代・幸四郎)が話す時の「幸四郎」は、
「コ\ーシロー」
という、
「頭高アクセント」
だったのです。私が聞いただけでも2回は言いました。まるで、
「幸二郎(コ\ージロー)」
のようなアクセントです。黒柳さんはもちろん、私達のように「平板アクセント」で、
「コ/ーシローさん」
と言っていましたが。
こういうところにも「伝統的なアクセント」は残っているんだなあというか、現在のアクセントとは違う場合もあるんだなあと思いました。
また、この「幸四郎」という名前は、父の名前・自分の名前・息子の名前でありながら、自分の物ではない、代々受け継がれる名前というのは「プライベート」ではなく、
「パブリック」
なものなのだというような、そんな感じがありました。これが「伝統」なのか!?