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『道浦TIME』

新・ことば事情

6629「あられる」

大相撲の一連の報道の中で、冬巡業で訪れた鹿児島で、街頭インタビューをしていました。その中で、地元の人が「貴乃花親方」についてのインタビューに答えて、こう言っているのを耳にしました。

「人気のあられる親方だから」

この、

「あられる」

という言葉は、おそらく、

「『ある』の尊敬語」

ですよね?「おられる」の「ある」バージョンでしょうか。

戦前、天皇陛下などに対して、

「あらせられる」

と言っていたのを聞いたことがありますが。それよりは「一段下」の敬意表現かな。

「ある」「おる」

で思い出すのは、村上春樹の今年出た小説『騎士団長殺し』に出て来る「騎士団長」のおかしな口調、

「あらない」

です。あきらかにおかしいのですが、これが大阪弁だと、

「あらへん」

という言葉があります。「ない」という意味です。これは、

「標準語の打消しの語尾『ない』」

を、

「打消しの大阪弁の語尾『へん』」

に、置き換えただけなので、あながち「おかしい!」とも言えない気が、

「せえへんこともあらへん」

のです。

(2017、12、22)

2017年12月27日 10:35 | コメント (0)