新・ことば事情
6607「黄線」
先日東京に行った時に見かけた「渋谷駅」に張られた注意書き。そこには、
「黄線の内側までお下がりください」
とありました。この
「黄線」
は何と読むのでしょうか?
「きせん」
でしょうか?「おうせん」とは読まないでしょう。もちろん意味は、「黄色い線」だと思いますが、あまり普段「きせん」とは言いません。
「黄色い線」
と言います。
鉄道で使われている「もう一つの色の線」は、
「白線」
です、これはそのまま
「はくせん」
と読みます。もちろん「白い線」と言うこともありますが、
「はくせん(白線)の内側までお下がりください」
ということも多いですね。
スペースの限られたところに張る注意書きで、「黄色い線」だと「4文字」かかるので、そのスペースを省略するために「黄線」にしたのか?
それとも「白線」という「2文字」に合わせて「黄線」としたのか?
どうも「後者」のような気がします。
「色」の名前で形容されたもの(線)ついて、いくつか考えて見ると、
「赤線」「青線」
がありますね。日本の色の基本は、
「黒・白・赤・青」
の「4色」です。これらは、そのまま「い」を付けて、
「黒い・白い・赤い・青い」
と「形容詞」になれます。それ以外は、
「黄色い」「茶色い」
などのように「色」を付けないと形容詞になれないし、それ以外は、
「緑の」「ピンクの」「紫の」
と、「の」を付けて形容するしかありません。そこから考えると「黄色」の「黄」を、「白」のように使うのは、ちょっとおかしいんですけど、
「形容詞の語幹」
が「色の名前」になり、それがそのまま「形容詞的」に働く「黒・白・赤・青」のマネをして、「白線」のように、
「黄線」
としたのではないか?その際に、
「どう読むか」
は、あんまり考えなかったのではないかなと思いました。