新・ことば事情
6591「白鵬・鶴竜のアクセンント」
横綱「白鵬」「鶴竜」を読むときのアクセンントには、「2種類」あります。
*「白鵬」(1)「ハ/ク\ホー」(中高アクセント)
(2)「ハ\クホー」(頭高アクセント)
*「鶴竜」(1)「カ/ク\リュー」(中高アクセント)
(2)「カ\クリュー」(頭高アクセント)
私は、「白鵬」「鶴竜」ともに(1)「中高アクセント」を取ります。
今(12月4日)の日本テレビ『every.』の男性ナレーターも、
(1)「中高アクセント」
でした。
では、(2)「頭高アクセント」は間違いなのか?というと、そうとも言えません。
「2つのアクセント」が出現した理由は、おそらく、
「『ク』の母音が無声化」
することにあります。
「白鵬」「鶴竜」=「ハクホー」「カクリュー」の中に含まれる「ク」は、「母音の無声化」が起きます。
「母音の無声化」というのは、「K・S・H」などの子音に挟まれた「I(イ)・U(ウ)」の母音が、
「声帯を振るわせないで発音する音」
になることで、少し聞こえにくい音になります。
「関西弁」は、母音を大切に発音しますので、「母音の無声化」は起こりません。
そして「無声化した母音」にアクセントの山がある場合には、
「アクセントの山が、1つ前にずれる」
ということが起こります。
だから「ハクホー」「カクリュー」の「ク」にあったアクセントが1つ前の「ハ」「カ」に移動して、
「ハ\クホー」「カ\クリュー」
となるのです。、これは、母音の無声化が起こる「関東アクセント」でよく見られる動きです。
しかし最近は、
「無声化した母音に、アクセントの山が残ることもある」
ようになり、「アクセント辞典」でも、それは認められています。
こういったことから、2種類のアクセントが混在していると考えられるのです。