新・ことば事情
6588「進化系」
11月7日の「かんさい情報ネットten.」を見ていたら、奈良市内をぶらぶら歩いてお店に入るという企画で、
「進化系!創作もんじゃ」
というサイドスーパーが出て来ました。この「進化系」という文字を見て、
「あれ?これは『進化形』ではないのかな?」
と思いました。そこで、11月16日に岡山で開かれた新聞用語懇談会・秋季合同総会の席で、ちょうど現在、関東幹事会で話し合われている『新聞用語集』の見直し審議についての報告があった際に質問しました。関東幹事会では去年9月から、
「同音異義語」
の検討をしているそうなので、好都合です。
「同音異義語の例として『系』と『形』の用例は載っていますか?先日番組で、
『癒やし系』
などで使われる『系』を使った、
『もんじゃ焼きの進化系』
という表記が出て来ました。これは本来『進化形』と『形』を使うのではないでしょうか。しかしネット検索してみると、この『進化系』のパターンも結構、出て来るんです。こういったところも、載せるように検討してほしいです。」
これに関して、日本新聞協会の用語アドバイザーからは、
「それは『イチオシ』を『押し』と書くか『推し』と書くかといった"流行語的"なものじゃないの?」
と言われたのですが、
「もう『イチ押し』『イチ推し』も、10年以上使われているので"流行語"ではなく、定着していると思われます。用例で取り上げるべきではないでしょうか?『進化系』『進化形』も、同じような感じだと思います」
と答えたところ、議長から、
「関東幹事会で検討します。」
というお答えを頂きました。
グーグル検索では、(11月28日)
「進化系」=43万6000件
「進化形」=51万4000件
と、大変、拮抗していました。
(追記)
「ミヤネ屋」でも12月15日の放送で、
「冷凍食品の"進化系"」
というテロップの発注が出て来たので、
「進化形」
に直しました。
(2017、12、18)
(追記2)
1年3か月が経った2019年3月27日に「ミヤネ屋」で、テロップなどを事前にチェックしていたら、
「超進化系カプセルホテル登場」
という文言(見出し)が出て来ました。しかし、最初は特には引っかかりませんでした(違和感がなかった。)でも「あれ?そういえば・・・」と思って検索すると、このコラムが出て来たので、一応、
「1年半ほど前に、こういったやり取りがあったよ」
ということを、担当ディレクターのT君に伝えると、
「あ、それ、文言変更しました!『超進化系』というと『ミヤネ屋』の視聴者層から言うと『ああ、若者向けね』とソッポを向かれる気がするので、『京町家カプセルホテル登場』に変更しました!」
ということで、「超進化系」は、この日は放送には出ないことになりました。
と思っていたら、「京町家カプセルホテル」と並んで、
「進化形カプセルホテル」
が出て来ました。「形」でした。
(2019、3、27)