新・ことば事情
6584「駆け込み乗車は・・・」
先日、東京に行った時のこと。JR山手線の渋谷駅での駅員のアナウンスが、
「列車か遅れて他の方の迷惑となるので、駆け込み乗車はおやめください。」
というものでした。これが大阪ならば、
「危ない(危険)ですから、駆け込み乗車はおやめください」
と言うでしょう。
つまり、東京では・・・東京ならどこでもかどうかは、分からないけど、少なくともこの駅員は、
「駆け込み乗車をする『乗客の安全』よりも、それによって引き起こされる『他の乗客の利便性』を優先している」
ということですね。優先しているかどうかはわからないけど、
「乗客に対して、抑止力がある」
と考えるから、こういった物言いをするのでしょう。
これは、「みんな=多くの乗客」のことを考えているので、ある意味「優しい」のですが、「みんなを優先して、少数者の安全は犠牲にする」
・・・と言っても、
「当人が『駆け込む』から危ないんで、駆け込まなきゃいい」
「当人が、自らの意思で『安全性』を放棄して駆け込んでいる」
という正論の前には、あまり意味をなさないかもしれませんが、しかし状況によっては、ある意味「コワイ」ことになるんでしょうけどね。まさに、
「空気に支配される世界」
だなあと感心すると共に、そんなアナウンスに慣れ切ってしまっている人たちが、
1200万人以上も住んでいる「首都圏」というものが、少し怖くなりました。