新・ことば事情
6580「角界」
このところ、横綱・日馬富士の貴ノ岩関への暴行事件の話題が続いていますが、
この報道で出て来る、
「角界」
という言葉。なぜ「相撲界」を「角界」と呼ぶのか?それは「すもう」を漢字で書くと、一番よく知られている表記は、「相撲」ですが、実は、
「角力」
とも書くのです。なぜ「すもう」を「角力」と書くのか?諸説あるようですが、ネットで調べた中の一つは「中国由来」説。中国に、
「角觝(かくてい)」
という格闘技があり、
「角力(かくりき)」
とも呼ばれていたそうです。 頭と頭でぶつかりあい、まるで「牛の角突き合わせ」みたいだったので「角」が使われたのでしょう。江戸時代中頃に「すもう」の当て字として「角力(角觝)」が使われるようになりました。
また、『日本書紀』に出てくる"相撲の元祖"と言われる「野見宿禰(のみの・すくね)」と「當麻蹶速(たいまの・けはや)」の戦いは、
「捔力」
と漢文で書かれ、
「スマヒ(トラシム)」
と訓読したようです。「スマヒ」→「スモウ」になったのですね。(「捔」は「木編に角」と書いてる書籍もあるそうです。)「相撲」も「角力」も、どちらも当て字のようなものなので、明治時代頃から昭和の初め頃までは「角力」が多く使われ、現在は、ほぼ「相撲」の文字を使われています。
その「角力」から一文字取って、
「角界」
なのです。
「相撲界」と言っても間違いではありませんが、「素人だな」と思われてしまう。そこで「角界」という表記を使うのですね。読み方は「促音便」で、
「かっかい」
です。そうすると、
×「各界」
と変換ミスしやすいので、ご注意ください。
間違いやすいと言えば、「貴乃花部屋」の「貴ノ岩」関。「の」が、
「親方と部屋の名前」は「漢字」の「乃」
「所属力士」は「カタカナ」で「ノ」
です。これも注意しましょう。