新・ことば事情
6565「独島は『ドクト』か『トクト』か?」
トランプ米大統領がアジアツアーで韓国を訪問した際の「晩さん会」で出されたメニューに、
「独島で捕れたエビ」
があり、問題になりました。そのニュースの際に、
「竹島の韓国名『独島』の読み方」
が問題になりました。
読売テレビを含む「日本テレビ系列」では、
「ドクト」
と、最初が「ド」と濁ります。(と、日テレの用語手運遺書いてあります)
しかし新聞を読んでいると「読売・朝日・産経」は、
「トクト」
と「濁らないルビ」(「ト」)が振ってありました。
一体どちらが正しいのか?また、いつから、その読み方なのでしょうか?
11月16日に岡山で開かれた「新聞用語懇談会・秋季合同総会」で、ルビを振っていなかった(と思う)「毎日・日経」など他の新聞社や共同通信・時事通信、放送各社にも聞いてみました。その結果は、以下の通りです。
(共同通信・議長)では「ド」と濁る社と、「ト」と濁らない社、挙手を。
・「ド」(濁る) =毎日新聞・テレビ朝日・日本テレビなど
・「ト」(濁らない)=東京新聞・読売新聞・朝日新聞・産経新聞・日経新聞、NHKなど
(朝日新聞)「トクト」と濁らない。朝鮮語は「有声音」(濁音?)と「無声音」(清音?)の区別はない。語頭は「無声音」(清音)の「ト」で、母音に挟まれた語中は「有声音」(濁音)の「ド」。昔「金大中」氏の読み方は、1965年の時点では「キム・テ・チュン」と「清音」だったが、1972年の拉致事件の際になぜか「キム・デ・ジュン」と「濁音」になった。「独島」に関しては、1982年以降、一貫して「トクト」と濁らない。
(共同通信)語頭は濁らないので「トクト」。調べた範囲では、2009年以降は、濁らない「トクト」。それ以前は、ルビを振っていなかった。
(時事通信)ずっと濁らない「トクト」。
(毎日新聞)ルビを付けるかどうかは、出稿部(記者サイド)の判断。毎日新聞では、外信部とも協議して、2014年以降「ドクト」と「語頭が濁る形」を採用している。共同通信の外信記事が「トクト」と「清音」で来たら、毎日用に「ドクト」と濁った形に直す。
(NHK)韓国・朝鮮語は、NHKでは「カタカナ表記」だが、「トクト(独島)」としている。韓国語では「語頭」は濁らない。しかしアルファベットでは「D」で始まる。「Dok-Do」と表記する。
(テレビ朝日)「独」に引っ張られて「ドクト」と濁る。現地発音に近い音だと「ド」と「ト」の中間。韓国・朝鮮語に堪能な社員に聞いたところ、「ト」と濁らないそうだが。
ということでした。
なお、今回の会議にTBSの委員は欠席だったんですが、ネットで見限りでは、
TBS「あさチャン」と「Nスタ」では、「ドクト」。
日テレも「ドクト」で、朝日新聞は「トクト」でした。
やはり「放送=ド」、「新聞=ト」の傾向があるようですが、どうやら「ト」と濁らない方が、「現地音」に近いようですねえ・・・。