新・ことば事情
6555「『11か国』の読み方」
アメリカが抜けてしまって、
「TPP11」
と呼ばれるようになった貿易交渉は、参加国の数が、
「11か国」
だから、その名があるわけですが、この「11か国」をこれまで正しくは、
「ジューイッカコク」
と「促音」で読んで・話してきました。しかし 最近これを、
「ジューイチカコク」
と「促音化しない」で話す様子を、何度か耳にしました。
11月9日のテレビ朝日の『お昼のニュース』で、「米抜きTPP最終合意へ」というニュースで、女性記者が中継で、
「ジューイチカコク」
と促音化しないで言っていました。
また、11月10日の日本テレビ『スッキリ』の中のニュースで、男性記者が、
「TPPジューイチカコク」
と、やはり促音化しないで言っていました。この広がり、イヤな感じがします。まだアナウンサーには及んでいないといいのですが・・・。
実は3年前、2014年9月の新聞用語懇談会放送分科会で、
「11か月」
の読み方を、従来の、
「ジューイッカゲツ」
という「促音」ではなく、
「ジューイチカゲツ」
と「促音化しない傾向がある」ことを指摘して、各社の意見を聞いたことがあったので、それをここに載せます。
*「11か月」の読み方=2014年9月
9月9日、「5年11か月ぶりの円安」のニュースで、「11か月」を、「ジューイチカゲツ」と読んでいるケースを(弊社も含め)耳にしました。正しくは当然、「ジューイッカゲツ」だと思うのですが、若い人の間に「ジューイチカゲツ」と読むような傾向はありませんか?(読売テレビ・道浦委員)
→(朝日放送)最近の若い人は、時間の「4分」は、もう全員「ヨンフン」と言う。
(毎日放送)デスク・クラスまでもが「ヨンフン」と言っている。
(テレビ朝日)「11分」について、アナウンサー7人に聞いたところ、1人だけ「ジューイチカゲツ」と言う人がいた。理由を聞くと「スポーツ中継などでは"数字を強調したいから"」ということだった。
(NHK)『NHKアクセント辞典』の改訂作業に際して「11か月」は「ジューイッカゲツ」で間違わないだろうが、同じ「11」でも「11か国」「11か所」「11か条」は、「ジューイッカ(国・所・条)」と「ジューイチカ(国・所・条)」の言い方があると思うので、悩んでいる。
(関西テレビ)「ジューイチカゲツ」と言うといった30歳の男性アナウンサーは「『ジューイチカゲツ』のほうが"丁寧な感じ"がする」と答えた。
(日本テレビ)「8」を「ハチ」と言うか、促音で「ハッ」と言うかということに似ているかもしれない。
(毎日放送)たしかに、「(0時)28分」を「ハチフン」と言うか「ハップン」と言うかだと、事件・事故のニュース原稿で「ハップン」は、軽い感じがして、違和感がある。
やはりNHKの委員が言っているように、「11か月」だけでなく「11か国」も、そういった「促音化しない傾向」が、3年前にはあったのですね。
これはヤバイなあ・・・。
10年以上前に書いた「平成ことば事情2843 ジューイチか月」もお読みください。