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『道浦TIME』

新・ことば事情

6554「お賃金を頂いています」

ネットを見ていたら、書き言葉でこんな言葉が出て来ました。

「お賃金を頂いています」

それを見て、すぐにつぶやきました。

「賃金に『お』はつかへんやろ。(なんか別の物に聞こえる。)『給与』にも『お』はつかない。『給料』『給金』には『お』はつく。」

「お給料」「お給金」と「お賃金」

この「違い」は、何でしょうか?

普通は「お」は「和語」に付き、「ご」は「漢語」に付くような気がします。

【漢語】=「ご褒美」「ご協力」「ご自愛」「ご丁寧に」「ご希望」「ご宿泊」

【和語】=「おほめ」「お力添え」「お望み」「お泊まり」「おねだり」

など。

でも「給料」も「給金」も、そして「給料」も全部「漢語」ですよね。だのに「給料」と「給金」は「お」が付く。一方「賃金」には「お」も「ご」も付かない。

「給料」と「給金」に「お」が付く理由は、恐らく、

「漢語由来ではあるが、もう和語扱いとなるぐらい日本人になじんでいるから」

でしょう。ありがたいことに、毎月「お給料」を頂いてますからね、サラリーマンは。

しかし「賃金」というのは「労働の対価」であり、日常的な言葉ではありません。「労使交渉」などでは出て来ますがね。会社に入ってから、労働組合に入って初めて、

「チンカツ」

という言葉を聞いた時は、

「チキンカツの仲間」

かと思って、おいしそうな感じがしましたが、それが実は、

「賃カツ」=「賃金カット」

だと分かった時には、「カツ」がどこかに飛んで行ってしまいました。

話がそれましたが、「賃金」という言葉は、ちょっと理屈っぽい感じの「漢語のまま」です。ここに理由があるのでしょう。

しかも「給料」は「もらうもの」ですが、「賃金」は「払うもの」ですから、

「主語が違う」

のではないでしょうか。この辺に「お賃金」に違和感を覚えた根本的な理由があると思います。でもやっぱり、「音の響き」がなあ・・・。

(2017、11、14)

2017年11月15日 16:34 | コメント (0)