新・ことば事情
6542「『に』か?『を』か?」
助詞の「に」と「を」の使い分けが、よく間違っています。
11月14日の「ミヤネ屋」のテロップの事前チェックの例で言うと、
×「カメラマンを暴行」→○「カメラマンに暴行」
×「知人男性を暴行」→○「知人男性に暴行」
というのがありました。
「暴行」という単語の前には、
「目的語=暴行をする対象の人(暴行を受ける人)」
が来るので、「暴行(暴力行為)をする人」から見ると、
「に(暴行)」
になります。
これは単語によって変わります。もし「殴る」「蹴る」であれば、その前に来る、
「目的語="殴る""蹴る"をする対象の人(殴られる人・蹴られる人)」
の後には、
「を」
が来て、
「カメラマンを殴る(蹴る)」「知人男性を殴る(蹴る)」
となるわけです。「暴行」は「名詞」ですが、
「暴力を行う」
という意味があり「動詞的な名詞」です。しかしこれを「動詞」にするには「する」などを付けて、
「暴行する」「暴行を加える」
という形にしなくてはなりません。その「する」「を加える」を省略した形だと考えられます。そうすると自然と、助詞は「に」になるはずです。