新・ことば事情
6544「秋田犬」
11月2日の「ミヤネ屋」で、今月5日に初来日するアメリカのトランプ大統領についてパネルで特集しました。その際に過去の「国賓クラス」の元首の来日の際の「お土産」についても紹介しました。
その中で、ロシアのプーチン大統領に対して過去に、
「秋田犬」
をプレゼントしたことがあるという話が出ました。この「秋田犬」の「犬」は、
「イヌ」と読むのか?「ケン」と読むのか?
という疑問が出ました。結論から言うと、
「イヌ」
と読みます。過去の新聞用語用語懇談会で、この「秋田犬」について話し合ったことがあったので記録を残しておきます。
【2016年2月 新聞用語懇談会放送分科会】
『新聞用語集』の前回の記述をそのまま引き継いだ「秋田犬」の読み方の「アキタイヌ」の注意書きは、
「秋田犬保存協会の決定呼称」
でしたが、改めて調べてみたところ、どうも「秋田犬」に関しては、
「(社)秋田犬保存会」(本部・秋田県大館市)
「(社)秋田犬協会」(本部・神奈川県鎌倉市)
という二つの団体があるようです。そして、「秋田犬保存会」のホームページの年表によると、この会は昭和2年(1927)に設立され、昭和29年(1954)に「秋田犬保存協会」と一本化されて「秋田犬保存会」となったようです。つまり現在は「秋田犬保存『協』会」は存在しないようなのです。
「秋田犬保存会」に電話して聞いてみたところ、自分のところのホームページに一本化したと掲載しているにも関らず、なんだか警戒されたのか、
「うちでは、『秋田イヌ』と言っています。一本化のあたりの経緯は、古い話なので分かりません。秋田犬保存協会という団体は、知りません。」
という答えでした。いずれにせよ、「秋田犬保存『協』会」は、存在しなさそうです。
【2016年12月 新聞用語懇談会放送分科会】
『NHK新アクセント辞典』では、「秋田犬」の「第2アクセント」に「平板」が入っているのに違和感がある。なぜ落とさなかったのか。(ytv・道浦委員)
→(塩田氏)個人的には「平板アクセント」は言わないが、元々「1998年版」に入っていた。そして第2回&第3回の調査報告に上がって来なかったので、削らなかった。
東京の古いアクセントをよく残している『新明解アクセント辞典』に「秋田犬」は、
-
ア/キタ\イヌ ②ア/キタイヌ(平板アクセント) ③ア/キタ\ケン
の順番で載っている。平板アクセントの「ア/キタイヌ」は、古いアクセントだろう。
「支持率が半々」ぐらいのものは残している。