新・ことば事情
6536「強制性交罪2」
「平成ことば事情6514強制性交罪」の続編です。
「『強制性交罪』の放送用語について」
については、性犯罪の厳罰化に伴い、ことし7月に「改正刑法」が施行されたことで、
「いわゆる『強姦罪』などがなくなり、『強制性交罪』に統一された」
ので、放送でもそれに従って「強姦」「準強姦」という罪名は使わず、日本テレビ系列では、
「強制性交罪」「準強制性交罪」
という罪名にすることになっています。放送局によっては、「等」を入れて、
「強制性交等罪」「準強制性交等罪」
としている局もありますが。しかし、これは、
「『改正刑法』が施行された『ことし7月以降』に逮捕された容疑者・被告」
に関してですから、それ以前に「強姦罪・準強姦罪」などで逮捕された容疑者・被告に関しては、当然、
「強姦罪」「準強姦罪」
という罪名の容疑で裁かれることになります。
そんな当たり前のことを想起させてくれる記事に出会いました。10月27日の「読売新聞」朝刊で、
「準強姦罪事件 医師に無罪判決」
という小さな記事が出ていたのです。記事によると、
「酒に酔って抵抗できない女性に乱暴したなどとして、東邦大学医学部出身の医師らが逮捕された事件で、準強姦罪に問われた慈恵医大病医院医師、松岡芳春被告(32)に対し、さいたま地裁(佐々木直人裁判長)は26日、無罪判決を言い渡した。松岡被告は公判で、『その場にいたが、乱暴はしていない』と無罪を主張していた。」
とのことです。
逮捕されたのが「ことし2月」で「ことし6月」に再逮捕、事件は「去年4月から6月」に起きています。
東邦大学はホームページに以下のような「おわび」を掲載しています。
「本学医学部関係者による準強姦事件の報道について
さる、平成29年2月16日、本学医学部関係者が準強姦容疑で逮捕されましたが、6月14日、一連の容疑で再逮捕されたと報道されました。大学としましては、厳しく受け止めており、誠に遺憾に思っております。
今後の捜査の推移を見守るとともに、できる限り速やかに事実関係を確認のうえ、厳正に対処いたします。
また、教職員、学生に対しては、前回の事件発覚以来、学内にて再発防止委員会を立ち上げ、注意・指導を強化しているところです。
学長 山﨑 純一
医学部長 高松 研」
今しばらくは、「強姦罪」「準強姦罪」と「強制性交罪」「準強制性交罪」の言葉が、両方、使われることになりそうです。