新・ことば事情
6526「青色吐息?」
第48回衆議院議員選挙。その翌日(10月23日)の「ミヤネ屋」では、今回の選挙の総括のVTRを作って放送しました。各候補の戦いぶりを描いたその中で、こんなテロップが。
「青色吐息」
ふむ。この候補は、なかなか厳しい選挙戦だったわけね。四字熟語、一応調べておくかと、いくつか辞書を引くが、どこにも載っていない。「青色発光ダイオード」や「青色申告」は、出て来るんだけど・・・。では「吐息」で引いてみるか・・・あ、あった。
「青息吐息」
あ!そうだ「青色」ではなく「青息」だ!!!道理で、載っていない訳だよ。
高橋真梨子の名曲、
『桃色吐息』
が、あまりにも有名になっちゃて、「○○吐息」の「○○」には、「○色」と入るものだと思い込んでいる人が、たくさんいるということでしょうね。
危なかったな。気付いて直せてよかった。そうだ、原稿も直しとかなきゃ。ディレクターに伝えておこう。これで大丈夫。と思って安心してオンエアーを見ていたら、
「青色(あおいろ)吐息」
というナレーターさんの声が!
え?原稿、直してなかったの?と、こちらの顔色が「青く」なり吐息が漏れました。
原稿を確認すると、
「青息(あおいき)吐息」
と、ちゃんと直って、しっかりルビも振ってありました。でも・・・「青色」と思い込んでいれば、気付かないよね。
×「青色吐息」→○「青息吐息」
今後は、もっと気を付けたいと思います。ちなみに「青息吐息」の意味は、
「ひじょうに困ったときや苦しいときに出すため息」(『三省堂国語辞典』)
「嘆息する時や弱った時に出すためいき。また、そのためいきの出るような状態」(『広辞苑』)
類義語には、
「気息奄々(きそく えんえん)」
があります。これは、
「いきもたえだえであるようす」(『三省堂国語辞典』)
「息も絶え絶えで、今にも死にそうなさま」(『広辞苑』)
で、「奄々」の「奄」は「常用漢字外(表外字)」なので、ルビが必要です。