新・読書日記 2017_124
『バベルの塔展図録』(国立国際美術館)
東京都美術館での展示の後、7月から10月15日まで大阪・中之島の国立国際美術館で開かれていた「ベベルの塔展」。ようやく10月1日に見に行くことが出来ました。結構、混んでいました。
一番出口に近い所にお目当ての「バベルの塔」がありました。これ、どこかで見たはずなんだけどなあ。こうしてしっかり意識して見るのは初めてかも。と思って調べていたら、ブリューゲルには「バベルの塔」の作品が「2つ」あって、そのうち1つが今回の美術展に出展されている「ボイマンス美術館所蔵」のもので、もう1つは「ウィーン美術史美術館所蔵」の作品だそうだ。そうか、思い出した、どこかで見たような気がしていたけど、1996年にオーストリアに行った時に「ウィーン美術史美術館」で見ていたんだ!今回、見た時に「何か、違うな・・・」と思ったのはそれが原因か。ということは、やっぱり今回見たのは「別の作品」で「初見」だったのか。ブリューゲルの「バベルの塔」が2つあるなんて、知らなかった。でもこれで、2つとも見たことになりますね。こんなに精細に描き込まれた絵だとは、今回見るまで気付きませんでした。
ブリューゲルの絵は、「狩り」や「アイススケート」の絵なんかも好きでしたが、それより前に、ポンチ絵のようなものも描いていたとは知りませんでした。その先達の、
「ヒエロニムス・ボス」
という奇想の画家のことも知らなかったが、まるで、
「『ダリ』や『楳図かずお』」
のような絵・版画ではないですか!おもろいがな!
また、「バベルの塔」の絵の後の、さらに出口近くに、東京藝大の協力での「拡大画プロジェクト」の様子やその解説の5分ほどのビデオも興味深かった。
塔の上の方の部分が「赤い」のは「レンガが新しいから」というのも"目からウロコ"だった。あれは「夕日が当たっているから」だと思ってた!
そのほか、会場の外に『AKIRA』『童夢』の大友克洋が「バベルの塔の内部」を描いた絵が飾られていて興味深かった。これ、見たかったんですよ。まるで「バウムクーヘン」のように、「塔の内部」は「吹き抜け・空洞」になっているという推測は、「ホホウ!」と思わせるものでした。十分、あり得るよなあ。塔の内部なんて、想像もしなかったけど。
そして、ブリューゲルが「イタリア旅行」をしたことがあるという事実から、あの「バベルの塔」のモデルは「ローマのコロッセオ」ではないか?という意見には「なるほど!」と膝を打つ感じがしました。
そういった鑑賞の記憶を追体験できる図録が、2500円也。安い!