新・ことば事情
6505「安倍内閣の最重要課題」
「安倍内閣の最重要課題ありすぎ問題」
というツイッターが流れてきました。それによると、
「教育再生は我が国の最重要課題」(平成25年1月31日参院本会議)
「震災からの復旧復興は、安倍内閣において最重要課題」(平成25年2月7日衆院予算委)
「福島の復興は政権の最重要課題」(平成25年2月19日参院予算委)
「安倍政権の最重要課題であるデフレ脱却・経済再生」(平成25年10月17日衆院本会議)
「農業の活性化、これは安倍内閣の最重要課題」(平成25年10月21日衆院予算委)
「復興の加速化は、安倍内閣の最重要課題」(平成26年1月29日参院本会議)
「魅力あふれる地方の創生は、安倍内閣の最重要課題」(平成26年9月30日参院本会議)
「拉致問題の全面解決は安倍内閣の最重要課題」(平成26年10月1日参院本会議)
「全ての拉致被害者の日本への帰還、帰国、これは安倍政権の最重要課題」(平成27年7月30日)
「最重要課題である郵政三社の株式上場を成功」(平成27年8月10日衆院予算委)
「女性活躍は、一億総活躍社会の中核として引き続き安倍内閣にとって最大のチャレンジ」「これを政府の最重要課題として強力に推進したのは、第二次安倍政権が初めて」(平成28年1月26日衆院本会議)
「教育を内閣の最重要課題として捉え」(平成28年1月27日参院本会議)
「働き方改革は、安倍内閣の最重要課題」(平成28年9月28日衆院本会議)
「テロ対策は最重要課題」(平成28年9月29日衆院本会議)
「子供の貧困問題は、これからも安倍内閣の最重要課題」(平成28年11月28日参院本会議)
「内閣の最重要課題として地球温暖化対策に全力で取組」(平成29年3月1日参院予算委)
たしかに、「最重要課題だらけ」です。
ただ、「平成25年(2013年)」から「平成29年(2017年)」までの「4年間」ですから、その間に「最重要課題」が変わることはあり得ます。問題は、
「過去の『最重要課題』が解決されているかどうか」
という点ですね。そういう意味では、
「道半ばで、解決していない問題ばかり」
なのは問題です。
「最重要課題は、毎日増える一方」
だと申せましょう。
もう一つ問題は、「重要」課題はたくさんあっても、それはその通りだと思うのですが、
「最重要」
をこうやって「連発する」ことで、
「実はその問題を、本当に『最重要』とは考えていない」
ということが、バレてしまうことです。また「最重要」という言葉を多用することで、「その言葉の価値が低減」
してしまします。そして、信用を失います。
一生懸命取り組んでも、すぐには解決できない課題だからこそ「重要」であることは理解します。その通りだと思います。しかし「本当に取り組んでいる」のであれば、
「途中経過を、しっかりと報告しなければならない」
それをせずに、「新しい課題」を次々に見つけていくのでは、
「国民の目をそらしているだけ」
で、「ウソつき」と言われても仕方がないのではないでしょうか?
「最重要課題に一つ一つ誠実に取り組み、着実に解決してくれる」
そういう人に、日本の政治をお願いしたいと思います。