新・読書日記 2017_115
『校閲記者の目~あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞校閲グループ、毎日新聞出版:2017、9、5)
昨秋の日本テレビのドラマ『校閲ガール・河野悦子』で「校閲」というお仕事が脚光を浴びている。先日はその『2時間スペシャルドラマ』も放送されました。「校閲」は、「静かなブーム」ぐらいかもしれませんが、確かにこれまでほとんど知られていなかった「校閲」という仕事が、一般社会(大衆)に認識されたということは言えると思います。
そんな中で、その「校閲」の専門家である「毎日新聞社の校閲グループ」も頑張っています。ネット(ツイッター)で「ことばクイズ」を発信したり、「校閲」に関する単行本を出したり(ことし3月には「2017読書日記054」で書いた『毎日新聞・校閲グループの ミスがなくなるすごい文章術』(岩佐義樹、ポプラ社)も出しています)して、「新聞というメディア以外」でも気を吐いています。そんな中の一冊。気合、入っています。
最初の方に、アメリカのトランプ大統領が選ばれた大統領選挙の「号外の紙面」を基に、わざと間違いを散りばめた「ダミー紙面」を作って「どこが間違っていますか?」という「校閲チェック・クイズ形式」にして、その解説をしていくという作戦で、読者のハートをつかみます。まだ読んでいない人のために、「何か所、間違いがあったか?」は書きません。私は、半分ぐらいしか見つけられませんでした。紙面(ページ)も小さいしね。いきなり、レベルが高いです。
ただ、一つ、「おや?」と思ったのは、私が見つけた「明らか間違い」についての「解説が後ろに載っていなかった」のです。そこで 著者グループの一人であ、る毎日新聞校閲グループの人にメールして、
「"アレ"についての言及がないのですが、なぜでしょうか?」
と聞いてみました。すると返事が返って来て、
「ご指摘の件、お恥ずかしいことにダミー紙面をつくる際のミスでした。申し訳ありま
せん。重版が決まったので、第2刷から修正します。」
とのこと!なんと!!いやあ、本当に「校正畏るべし」ですねえ。まさか「校閲は大変だよ、難しいよ」という本で「間違い」があるなんて・・・。サブタイトルの「あらゆるミスを見逃さないプロの技術」というのは、気負い過ぎたか?
9月末に、重版がかかった「第2刷」が送られてきました。どのように修正されているのだろう?と興味津々でその該当ページを見てみると、私が見つけた「間違い」が直っていません。「あれ?おかしいな?」と思ったら、
「その間違いに関する解説」
が、「写真付きで追加」されていました。ちょうど、ページに少し余白があったところを、うまく使っていました。
これで「誤植があるバージョン」と「誤植がないバージョン」の2種類の「同じ本」を手にするという貴重な経験ができました!