新・ことば事情
6484「『品』のアクセント」
10月4日、「正倉院展」が間もなく開かれるのにちなんで、朝日放送のお昼の関西ローカルニュースで、正倉院の宝物の「開封の儀」のニュースを女性アナウンサーが伝えていました。
その際に、
「天皇ゆかりの品を」
の「品」のアクセントが気になりました。彼女は、
「ユ/カリノ・シ/ナ\ヲ」
と「品」を「尾高アクセント」で読んだのです。
しかし「品」には「平板アクセント」しかアクセント辞典にも載っていません。ここは、
「ユ/カリノシナヲ」「ユ/カリノ・シ/ナヲ」
と読むべきところだったのでしょう。
ただ、これに似たようなアクセントの単語があります。それは、
「国」
です。「国(が)」のアクセントは「ク/ニ(ガ)」と「平板アクセント」であり、「ク/ニ\(ガ)」という「尾高アクセント」ではありません。
例えば「我々の国が」と言う場合には、
「ワ/レワレノクニガ」
が正しいのですが、かなりの確率で、
「ワ/レワレノ・ク/ニ\ガ」
と言う人がいらっしゃいます。これに関しては、「平成ことば事情3839『この国が』のアクセント」で書きました。
しかし、もしかしたら、
「上」
という言葉と同じように考えているのではないか?
「上」は「上を向く」と言う場合は「平板アクセント」で、
「ウ/エヲ」
ですが、「机の上に」「~を踏まえた上で」と言う場合には、
「ウ/エ\デ」
と言い、「飢え」と同じアクセントになることが『NHK日本語発音アクセント新辞典』にも、きっちりと記されています。その「上」につられて、同じ、
「2文字・2音節」
なので「尾高アクセント」を使っているのではないか?と思い付きましたが、いかがでしょうか?
(追記)
10月4日放送のテレビ東京の『巨悪は眠らせない~特捜検事の標的』というドラマで、日本初の女性総理大臣を狙う政治家を演じた名取裕子と、その相棒の男性が話した、
「国」
のアクセントが、
「この国を(ク/ニ\ヲ)変えてみせる。」
「君ならきっと、この国を(ク/ニ\ヲ)変えられる。」
など、全部「尾高アクセント」でした。
(2017、10、5)