新・ことば事情
6482「お花、お酒、おなか、お金、お店、お見合い」
最近、ニュースで「お」が付く単語をよく耳に(目に)します。
「お花」「お酒」「おなか」「お金」
この中で、「おなか」は「お」を取ることはできませんが、普通は、
「腹」「腹部」
と言い換えますよね、「書き言葉」のニュース原稿では。
2017年7月14日のニュース原稿には、
「お菓子」「お茶に睡眠導入剤」
と出て来たので、
「菓子」「茶」
と直しました。犯罪関係のニュース原稿では、「お」は、なじみません。
家の近くの「駅ナカ」にある「お店」で、
「おいもさんのおみせ らぽっぽ」
と表記している店があります。これなんか、
「おいもさん」「おみせ」
で「お」が2回、「芋」には「さん」まで付いていて、めちゃくちゃ丁寧です。
「お」を付けることで「親しみやすさ」をアピールしようとしているんです。客商売ですから。
「お正月」関連の言葉(物)で言うと、
「おとそ」「おせち(料理)」
があります。あ、「お正月」も「お」が付いたなあ。ニュースだと、
「正月恒例の高校サッカー」
のように「お」は取って「正月」でいいですね。でも「お」が付いていてもそんなに気にはならないですね。例えば、
「お正月休みを故郷で過ごした人たちの"Uターンラッシュ"が始まりました」
というニュース原稿で「お正月」を使っても、違和感はありませんね。
「おとそ」は「お」を取って「とそ(屠蘇)」でもいいですが、「おせち(料理)」は、「お」を取って、
「せち(料理」)」
とは絶対に言いませんね。「おなか」と同じですね。もう、
「『お』が付いて『一語』」
になっていますね。
9月17日、JR名古屋駅前からの中継で「台風18号」の様子を伝えるNHKの女性アナウンサーが、
「お店の人が、後片付けに追われています」
と言っていましたが、これは「お店」ではなく「お」を取って、
「店の人が」
で良いと思いました。「台風」ですからね。でも「中継」で「女性アナウンサー」ということを考えると「お店」でも、視聴者はそんなに違和感は持たないのかもしれません。
そして今、若い記者(ディレクター)M君から、
「『見合い』と『お見合い』は、どっちでしょうか?僕は『お見合い』だと思うんですが、デスクが『見合い』だと言うんです・・・」
という質問を受けました。
「文脈によるなあ。どんな文脈で出て来るの?」
と聞くと、
「フィリピン人女性との"偽装結婚"のニュースなんですけど・・・」
とのこと。
「それは『犯罪』に関わるニュースだから『お』はそぐわないね。『見合い』でいいな」
と言うと、
「わかりました!」
と編集室に戻って行きました。