新・ことば事情
6479「臍帯血か?さい帯血か?」
「臍帯血」
の「臍」は「サイ」と読みますが、訓読みでは「へそ」。
つまり、「臍帯(サイタイ)」は、
「へその緒」
のことですね。その「へその緒」の中の「血液」には、特に細胞を造る力があるということで、白血病などの治療に活用されています。
あらかじめ、「臍帯血」を保管しておくところを「臍帯血バンク」と言います。これは本来、「献血」と同じで、
「臍帯血を必要とする他人へ、ボランティアとして自分の臍帯血を寄付したものを保管する」
ものでした。ですから「臍帯血バンク」も「公的機関」でした。
しかし、「臍帯血バンク」が広がるにつれて、
「自分や子供などが、将来、白血病などになったときに、自分で使えるように保管しておく」
という営利企業としての「民間の臍帯血バンク」も出来てきました。もちろん、保管のためには費用が必要ですから、それは自己負担で払わなければならないのですが、民間の営利企業ですから、営業が立ち行かなくなると、潰れることもあります。また、臍帯血バンク登場から20年ほどがたち、設備の更新などで、当初思っていたより費用が掛かり、潰れるバンクも出て来ました。
そういったバンクが保管していた「臍帯血」を違法に売買していた業者が逮捕されました。
私が注目したのは、表記のほう。「臍帯(さいたい)血」と「臍」を漢字を使うか、「さい帯血」と「平仮名」で書く課?でした。
2017年9月12日の各紙夕刊では、
*「臍帯血(さいたいけつ)」=朝日・日経・産経
*「さい帯血」=読売・毎日
と分かれていました。
放送では各社「平仮名」を使った交ぜ書きで、
「さい帯血」
のようです。