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『道浦TIME』

新・ことば事情

6539「創業者の責任」

衆議院選挙後、「希望の党」の小池百合子代表が進退を問われて、

「創業者としての責任を果たしたい」

と、辞任する気はないことを示しました。この中の、

「創業者」

という言葉に、ちょっと違和感がありました。

これが「企業」「商店」など「商売」に関するものであれば、「創業者」で良いのではないかと思うのですが、今回は、

「政党」

です。「政党」は「創業」されるものでしょうか?この場合は、

「創立者」

と言うべきではないでしょうか?これを「創業者」と言うところに、「希望の党」という「政党」を、小池さんがどう捉えているのかということが透けて見えるような気がするのですが、いかがでしょうか?

(2017、10、27)

2017年10月29日 17:53 | コメント (0)

新・ことば事情

6538「二槽式」

「夫の洗濯物を、他の家族の物と一緒に洗うか?別に洗うか」

という話が、先日の「ミヤネ屋」で出ました。

その際に、林マオアナウンサーが、「別に洗う」と答えたので、ちょっとスタジオが盛り上がりました。放送後に、

「昔は、『二槽式』の洗濯機だったから、分けて洗ったりもしたけど、今は全自動だから、全部一緒に放り込むよね」

と林アナに言ったところ、この「二槽式」が分からなかったようです。

「にそう・・・・しき?」

と言っていました。

グーグル検索では(10月26日)

「二槽式洗濯機」=50万8000件

まだ、売られていますね。うちの実家の母は、もう80歳を超えていますが、今だに「二槽式」の洗濯機を愛用しています。こちらの方が便利だと言います。

ネットを検索すると、

「石けんユーザー、汚れがひどいものが多く出る家、大家族の間で根強い人気を保ち続けているのが二槽式洗濯機」

という見出しを掲げているサイトも見つけました。

https://matome.naver.jp/odai/2142559361273217501

知らない方のために「二槽式洗濯機」の説明文を載せますと、

「二層式洗濯機とは、洗濯槽と脱水槽が分かれた洗濯機で、洗濯槽から脱水槽へは手動で行います。」

そうそう、その通りです。知らないかな。もう一つ前の洗濯機は、「脱水」が、

「手動ロ-ラー式」

で、絞るには結構、力が必要でした。もちろん、そのもう一つ前は、

「洗濯板」

でした。「手洗い」で。どれもこれも、もう、

「死語の世界」

に片足(あるいは両足)突っ込んでるのかなあ。

でも、「二槽式」には、メリットもあるようですよ。

【二槽式洗濯機のメリット:その1】撹拌力があり、汚れ落ちがいい=洗濯槽が小さめなので、モーターの攪拌力が強く水に伝わりやすいということと、洗濯槽の形状に由来します。

【二槽式洗濯機のメリット:その2】水量やすすぎの回数など、細かい点を自分で決められる。融通がきくのが魅力。(例)布巾だけ洗う、手洗いしたものを脱水だけする、白いものから順番に洗う、汚れが強いので少し長めに洗う・・・などなど、手動ならではの「自分流」洗濯ができる

だそうです。ちなみにうちは、一緒に洗っています。

(2017、10、27)

2017年10月29日 10:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6537「夫婦と夫妻」

詐欺の疑いで再逮捕された森友学園の、

「籠池泰典容疑者(前理事長)」と妻の「諄子容疑者」

ですが、2人をまとめて表す場合に、在阪各放送局は、

「籠池夫妻」

としているようです。(読売テレビ・関西ローカルニュースも含む。NHKのみ「夫妻」を使わず「籠池前・理事長と妻」)しかし私は、

「『夫妻』には『敬意表現』が含まれる」

ように感じます。8月21日の「ミヤネ屋」では、サイドスーパーで、

「籠池夫婦」

としたのですが、スタッフから、

「『夫婦』は、すわりが悪い」

という声が出ました。

「夫婦の犯罪容疑者」

等に関して「夫妻」と「夫婦」の使い分けに関して、何か決まりはあるのか?また、各社どのように考えて対応しているのかを、2017年9月の新聞用語懇談会放送分科会で聞きました。ちなみに、随分昔になりますが、

「和歌山毒入りカレー事件」

では、「夫妻」を使わずに、

「林(真須美)夫婦」

「夫婦」を使った覚えがあります。(「夫婦」の「婦」の字が良くないということで、和歌山のカレー事件で「林夫妻」としたところ、視聴者から「あんなやつらに夫妻とは何事か!」というお叱りの電話があり、結局「林夫婦」にしたという他社のケースもあるそうです。)

これに対しての各社の回答は、

NHK)「夫妻」は原稿検索では1件のみ。タイトルではいくつか使っていた。しかし原則は「籠池容疑者と妻」のような形。「夫妻」は改まった感じ。「○○夫婦」は、あまり使わない。

(日本テレビ)決まりはない。「夫妻」を使用している。『類語辞典』では「身近な人には『夫妻』は使わない」とある。

(テレビ朝日)ルールはない。「『婦』は『ちり取りを持つ人』の意味なので、男女差別につながる」と聞いたことはあるが。「夫婦」は、ストレートニュースにはなじまない。

(朝日放送)「夫妻」にしている。「夫婦」はなじまない。

(TBS)ルール・使い分けはないが「夫妻」。報道編集部に聞いたところ、「誰だか名前が分かる場合は『夫妻』」だが、身元(名前)が分からない場合は「『夫婦』と見られる遺体」のように「夫婦」を使うということだった。

(毎日放送)逮捕されるまでは「夫妻」だったが、逮捕後に「夫妻」を使っていたら「つかまったのに『夫妻』はおかしい」という苦情が視聴者から入ったので、「前理事長と妻の諄子容疑者」のような形にした。

(フジテレビ)最初から逮捕後までも「夫妻」。名字が付くと「夫妻」。もし「夫婦」を使うなら「籠池さん夫婦」のような形だが「さん」はおかしい。「夫婦」は名字が付かない場合。

(関西テレビ)フジテレビと同じ。

(テレビ東京)データベースを調べると、主に「夫妻」。「夫婦」は1件のみ。「被告と妻」も。報道局で聞いてみたところ「『夫妻』に、敬意表現はないのではないか?」という意見が出た。

(テレビ大阪)「夫妻」のほうが「夫婦」より「格上」のように感じる。「夫妻」は「上流」、「夫婦」は「庶民」。「夫婦」のほうが「話し言葉的」で「トークの場面」で使い、「夫妻」は「書き言葉的」で「ナレーション原稿」で使う感じ。

(時事通信)「夫婦」「夫妻」の議論なし。全部「夫妻」。私(大阪出身)は「夫妻」には「敬意」を感じるが、周囲の部員は感じないようだった。

(共同通信)特に議論はなかった。「夫妻」にしている。ただ「和歌山毒入りカレー事件」の際は「林夫婦」だった。

ということでした。

(2017、10、27)

2017年10月28日 17:51 | コメント (0)

新・ことば事情

6536「強制性交罪2」

「平成ことば事情6514強制性交罪」の続編です。

「『強制性交罪』の放送用語について」

については、性犯罪の厳罰化に伴い、ことし7月に「改正刑法」が施行されたことで、

「いわゆる『強姦罪』などがなくなり、『強制性交罪』に統一された」

ので、放送でもそれに従って「強姦」「準強姦」という罪名は使わず、日本テレビ系列では、

「強制性交罪」「準強制性交罪」

という罪名にすることになっています。放送局によっては、「等」を入れて、

「強制性交等罪」「準強制性交等罪」

としている局もありますが。しかし、これは、

「『改正刑法』が施行された『ことし7月以降』に逮捕された容疑者・被告」

に関してですから、それ以前に「強姦罪・準強姦罪」などで逮捕された容疑者・被告に関しては、当然、

「強姦罪」「準強姦罪」

という罪名の容疑で裁かれることになります。

そんな当たり前のことを想起させてくれる記事に出会いました。10月27日の「読売新聞」朝刊で、

「準強姦罪事件 医師に無罪判決」

という小さな記事が出ていたのです。記事によると、

「酒に酔って抵抗できない女性に乱暴したなどとして、東邦大学医学部出身の医師らが逮捕された事件で、準強姦罪に問われた慈恵医大病医院医師、松岡芳春被告(32)に対し、さいたま地裁(佐々木直人裁判長)は26日、無罪判決を言い渡した。松岡被告は公判で、『その場にいたが、乱暴はしていない』と無罪を主張していた。」

とのことです。

逮捕されたのが「ことし2月」で「ことし6月」に再逮捕、事件は「去年4月から6月」に起きています。

東邦大学はホームページに以下のような「おわび」を掲載しています。

「本学医学部関係者による準強姦事件の報道について

さる、平成29年2月16日、本学医学部関係者が準強姦容疑で逮捕されましたが、6月14日、一連の容疑で再逮捕されたと報道されました。大学としましては、厳しく受け止めており、誠に遺憾に思っております。

今後の捜査の推移を見守るとともに、できる限り速やかに事実関係を確認のうえ、厳正に対処いたします。

また、教職員、学生に対しては、前回の事件発覚以来、学内にて再発防止委員会を立ち上げ、注意・指導を強化しているところです。

学長  山﨑 純一

医学部長 高松 研」

今しばらくは、「強姦罪」「準強姦罪」と「強制性交罪」「準強制性交罪」の言葉が、両方、使われることになりそうです。

(2017、10、27)

2017年10月28日 10:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6535「一眼カメラと一眼レフカメラ」

カメラの広告を見ていて、ふと思いました。

「フィルムカメラからデジタルカメラに、完全にカメラは代わってしまったが、デジタルカメラだと『レフ』、つまり『(反射)鏡』はないのではないか?そういえば最近『一眼レフカメラ』という言葉を耳にしないし、目にしないように感じるが、呼び名はどうなっているのだろうか?」

という疑問が。以前、

「ミラーレス一眼(カメラ)」

という呼び名を、耳にした覚えがあります。しかし注意深く見ていると「デジタルカメラ」は、「一眼レフカメラ」から「レフ」が取れた。

「一眼カメラ」

という言葉で表現されているようです。つまり、

「被写体を捉えるレンズが1つのものが『一眼カメラ』」

です。(「『二眼』カメラがあるのか?」というと、時々、写真屋さんなどが、レンズが2つ付いた縦長のカメラで撮影しているのを見ることがありますが、あれが「二眼カメラ」ですね。)「一眼」でも「二眼」でも「ファインダー」に関して、

「覗き込むファインダーにレフ(ミラー)を使っているのが『一眼レフカメラ』」

また、

「ファインダーにミラーを使っていないのが『ミラーレス一眼カメラ』」

ということで、「ファインダー」の方式によって「一眼レフカメラ」以外のものの総称が、

「一眼カメラ」

ということかな。

もう8年も前に「ヤフー知恵袋」(2009年9月7日)で、私と同じ疑問を持っていた人がいて、それに対するベストアンサーは、「istar1689さん」という方で、

「一眼カメラと一眼レフカメラの違いは大きい部分ではファインダーの部分ですね。

一眼レフの『レフ』は『レフレックス』、つまり『反射』って意味なんですが、レンズを通った光を、鏡やプリズムを使ってファインダーに導いてます。 一眼カメラはこの鏡やプリズムとは違って、撮影に使う撮像素子からの信号をファインダー部分の小さなディスプレーに写しています。ファインダーに見える像は大体同じ感じなので使う方としては大きな違いはありません。(中略)(一眼レフカメラは)レフがある分、大きさや重量は、『レフ無し』よりも『大きく・重く』なります。」

という回答でした。

しかしまあ、最近は、

「スマホのカメラ」

で撮影しちゃってるからなあ。「カメラ」自体が手軽になりすぎているような気がします。便利だけどね。

グーグル検索では(10月27日)、

「ミラーレス一眼」=262万0000件

「一眼レフカメラ」=154万0000件

「一眼カメラ」  = 51万5000件

でした。

「ミラーレス一眼」の解説では、

「ミラーレス一眼カメラとは、デジタルカメラの分類のひとつで、一眼レフカメラの光学式ファインダーの代わりに電子ビューファインダーや液晶ディスプレイを通じて像を確認する形式のレンズ交換式デジタルカメラの総称である。」

とありました。これこれ。

「一眼レフカメラ」の解説は、

「一眼レフカメラ(英:Single-lens reflex camera SLR)とは、スチルカメラの構造による分類のひとつで、撮影に使用するレンズと撮像面(フィルムもしくは固体撮像素子)の間に鏡(ミラー)を置き、実際に撮影されるイメージを光学ファインダーで確認することができるものをいう。」

そうですね。

(2017、10、27)

2017年10月27日 21:48 | コメント (0)

新・ことば事情

6534「発香」

(2017年5月8日に書き始めました)

花王の「ビーズ」のCMで、

「消臭&発香」

という文字が出て来ました。「消臭」は見たことがありますが、

「発香」

は初めて見ました。発音は

「ハッコウ」

なのでしょうね。音だけ聞くと、「発光ダイオード」の、

「発光」

と間違えそうです。意味はその文字の通り、

「香りが出る」

ということなんでしょうけれど。意外と地味なので「珍しい言葉」「新しい言葉」には感じられませんが、私は見たことがない言葉でした。果たして辞書に載っているのでしょうか?

実際に辞書を引いてみると、『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『旺文社標準国語辞典』(以上、電子辞書)『三省堂国語辞典』『現代国語例解辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には、「発光」「発行」「八紘」「発酵」などは載っていても、「発香」は載っていませんでした。やっぱり!

あ、もしかして、

「ハッカ」

と読むのかな?・・・これも載ってないな。

グーグル検索では(10月26日)、

「発香」=5万4700件

も出て来ました!

「発香性」「発香器官」「発香鱗」「発香ラベル」「埋麝発香(まいじゃはっこう)」「発香力」「発香団」

などといった言葉が出て来ました。あるんですねえ、この言葉、辞書には載っていないけど。

「知らないけれど、あるんだよ(金子みすゞ、もどき)」

知りませんでした。

(2017、10、26)

2017年10月27日 17:11 | コメント (0)

新・ことば事情

6533「南港に沈めたろか」

いつも新しい言葉の疑問・情報を教えてくれるMアナウンサーが、食堂で会った時に、こんな質問をして来ました。

「よく、ドラマとかでヤクザな登場人物が、

『南港に沈めたろか!』

って、大阪だと言うじゃないですか。あのセリフっていつから『南港』なんですかね?他の土地でも、そういった地名が出て来るんでしょうか?」

うーん、少なくとも40年前には聞いたことがあるような気がします。

調べてみると、「大阪港の改修工事」は、明治30年(1897年)に、オランダ人デ・レーケによる「大阪港と淀川河口の改修を一体化する案」を基に、安田財閥(安田善次郎)の支援で着手され、昭和4年(1929年)に第1次修築工事が完成。その後、昭和9年(1934年)の室戸台風、昭和19年(1944年)の東南海地震、昭和21年(1946年)の南海地震で甚大な被害を受け、その都度、復興修築が行われました。

その後、昭和32年(1957年)の大阪港の改修計画によって、

「南港の埋め立て計画」

が位置づけられ、昭和33年(1958年)に埋め立て工事に着手。昭和42年(1967年)に南港を商港化・コンテナ港化する「大阪港整備第二次改訂計画」が策定されました。昭和59年(1984年)には関西電力の発電所用地が南港南埠頭に変更され、昭和60年(1985年)に、南港北地区に「テクノポート大阪」の基本構想が策定されています。つまり、昭和の初めからずっと開発計画の対象となって来て、昭和30年代から「埋め立て」が、さらに昭和50年代末からは現代につながる開発が進んだ地域なんですね。結構、歴史がありますね。

またこういったセリフは、もしかしたら「吉本新喜劇」あたりで使われ始めたのかも?という意見も出ました。グーグル検索では(10月26日)、

「南港に沈めたろか」=1270件

「南港に沈めたる」 = 991件

「南港に沈める」  = 727件

「南港に沈めてやる」=2940件

でした。東京だと、

「東京湾に沈めてやろうか」

なのかなあ?

その話題が出た日の10月17日の日本テレビ・森富美アナウンサーが読んでいたニュースで、「振り込め詐欺」の「受け子」をやらせていた16歳の少年が、グループから逃げようとした際に、その少年に暴行を加えた罪で、別の少年らが逮捕されたというニュースで、

「次、とんだら、埋めるからな」

と言っていたと報道していました。海や川がない所では、

「埋める」

なんですね。怖いなあ、どちらも。「どこへ」埋めるんでしょうね?山?林?森アナウンサナーが読んでいたから、森?

そして、ちょうどこの日に読み始めた佐藤優さんの、

『学生を戦場へ送るには~田辺元「悪魔の京大講義」を読む』(新潮社:2017、7、30)

という本の20ページに、以前、ロシアと「カニの洋上取引」をやっていた漁船でロシア語の通訳をしていたという、佐藤さんの外務省の後輩が、

「佐藤さん、二年もやってると余計なことを知り過ぎた気がする。そのうちオホーツクに突き落とされそうだ」

と言っていたという話が出て来ました。

北海道のそのあたりでは、

「オホーツクへ突き落す」

んだ・・・。コワッ。

(2017、10、19)

2017年10月27日 10:10 | コメント (0)

新・ことば事情

6532「『姉妹都市』はなぜ『姉妹』か?」

2002年に書いた「平成ことば事情750姉妹都市」の続編です。タイトルは変わりましたが。(2016年3月に、ここまでメモしました。)

十数年来の疑問、この項の「タイトル」にもなった、

「『姉妹都市』は、なぜ姉妹なのか?」

という疑問が、解けたのです!ネットを見ていて出て来た答えは

「『都市』という単語が『女性名詞』だから」

とのことです!(本当かどうかは、わからないけど)

日本語には「男性名詞」「女性名詞」がありません(「名詞」に「性」がない)から、こういう視点はなかったなあ。もしそれが正解だとしたら、「姉妹都市」という名前は、日本古来のものではなく、

「外国由来の"翻訳語"」

ということですね。まあ、江戸時代は鎖国してたんだし、こういう概念は近代以降のものだろうから。あ、書いてあったわ、「平成ことば事情750姉妹都市」に。

「『日本国語大辞典・第二版』の『姉妹都市』の項には、『文化交流や親善を目的として外国の都市と特別に親密な関係を取り結んだ二つの都市。日本では昭和三〇年(1955)の長崎市とアメリカのミネソタ州・セントポールとが最初。』」

ということで、「戦後」ですね。

今、「都市」「男性名詞」「女性名詞」で検索したら、2013年7月3日の「日本経済新聞」の言葉のコラム「ことばオンライン」が出て来ました。タイトルはズバリ!

「『姉妹都市』、なぜ兄弟都市とは呼ばないのか?」

です。その記事によると、

「『姉妹都市』という言葉、なぜ兄弟都市とは言わないのだろう。調べてみると、外国語特有の名詞の『性別』に行きあたった。」

と記されています。そして、

「よく知られているのが、アイゼンハワー米大統領が1956年に提唱した『市民と市民のプログラム』だ。第2次大戦で荒廃した欧州を元気づけるため、国境を越えた市民同士の交流を盛んにして相互理解を進めようと呼びかけた。このとき用いた言葉が『姉妹都市』提携で、英語でシスターシティー(sister cities)とあった。なぜ、『ブラザー』ではなく、『シスター』だったのか。広くいわれている説は、『シティー』という英単語が『女性名詞』の流れをくむので『シスター』を当てたというものだ。中学校の英語の授業で、船(ship)を代名詞にするときは、『彼女(she)』で言い換えるようにと教わった人は多いだろう。国も『彼女』で受けることが多かった。フランス語やドイツ語では町は女性名詞。英語でもシティーは女性名詞だったことが遠い昔にあったのかもしれない。」

というような記事でした。やはり「名詞の性」か。しかし「1956年」のアイゼンハワー大統領の呼びかけからとすると新しいですし、『日本国語大辞典』の記述、「日本で初めての『姉妹都市提携』は『昭和30年(1955年)』」とは合致しませんね。既にあったものが、アイゼンハワー大統領の呼びかけで、さらに活発になったということかな。

ちょうどきのう(2017年10月25日)の朝日新聞・夕刊に、こんな見出しの記事が出ていました。

「60年の姉妹都市 継続ピンチ~大阪市・サンフランコ市」

これは、旧日本軍の慰安婦像が建てられたアメリカ・サンフランシスコ市の民有地が、市に譲渡されることになったので、姉妹都市の大阪市の吉村洋文市長が「慰安婦像をパブリックスペース(公共の場所)に置くなら、姉妹都市関係は解消する」と宣言しているのです。両市は「昭和32年(1957年)」に姉妹都市提携を結んだそうですが、先ほどの『日本国語大辞典』によると、日本で初めての姉妹都市提携は「昭和30年(1955年)」だそうですから、大阪市とサンフランシスコ市の姉妹都市提携は、「その2年後」ということですね。わりと早い時期。その間の年、つまり「昭和31年(1956年)」は、まさにそのサンフランシスコで、日本を含む49か国との間で、

「サンフランシスコ講和条約」

が結ばれ、戦後日本が国際舞台に戻ることができた年ですね。そろそろこの「姉妹都市」というものも、見直す時期に来ているのかもしれませんねえ。

ところで、実はもう一つ疑問があります。

「『男子校』同士でも『姉妹校』というのか?『兄弟校』なのでは?」

ということです。これに関しては実は、2002年に、当時、NHKの用語委員をされていた、元スポーツアナウンサーの原田邦博さんから、こんなメールを頂いていました。よく残っていたな。

『甲子園では、奈良の智弁学園と和歌山智弁学園が対戦することになりました。以前、甲子園の実況をしていたころ、「長崎の海星対三重の海星」という試合のラジオを担当したことがあります。大変だった・・・。

さて、この智弁学園の両校は、「姉妹校」でしょうか?それとも「兄弟校」でしょうか。

NHKでは「兄弟校」でいいことにしています。

「姉妹都市」「姉妹艦」など姉妹のつくことばは、原語の「都市」や「船」が女性名詞ということから「sister~」がつくため、翻訳して「姉妹~」となっています。「学校」も女性名詞ですので、その意味では「姉妹校」ですが、日本語として考えれば、名詞に男女の区別はありません。「キョーダイ弟子」「キョーダイ喧嘩」という例もあり、「兄弟校」が誤りであるとは言えないでしょう。

また「兄弟校」は新しいことばですが、「姉妹校」との使い分けは、学校により微妙に違うようです。おおまかに言うと、経営や母体が同じ場合は「兄弟校」、本来は別の学校で提携を結んでいる場合は「姉妹校」と呼んでいるようです。

同じようなことばに「姉妹都市」があります。これも同じ翻訳語ですが、中国と結ぶ場合は「上下」にこだわるので、すべて「友好都市」となるようです。またロシア語では男性名詞で「兄弟都市」になるとか。国内では「親子都市」「夫婦都市」というのもあるそうです。なおイギリス英語?では「ツイン(双子)タウン」と言うそうです。きょうはこのへんで、お「しまい」にします。』

ほおー!これはほぼ全て、網羅していて、謎は解明されていたんじゃないか!

15年間、それに気付かなかったということか・・・・?

お礼が大変遅くなりましたが、原田さん、ありがとうございました!

(2017、10、26)

2017年10月26日 21:01 | コメント (0)

新・読書日記 2017_130

『日本代表を撮り続けてきた男 サッカーカメラマン 六川則夫』(六川則夫、スクワッド:2017、9、4)

サッカー本、好きなんだよね。しかもカメラマン。なので写真も豊富。紙が良いから重い本です。それで1600円+税は安い。

1951年生まれの著者は、私よりちょうど10歳年上。東京オリンピックの頃からサッカーにはまったとのこと。しかも早稲田大学の先輩でもある。早稲田大学ア式蹴球部(=アソシエーションフットボール=サッカー)は、身長170センチ以上でないと入部させてくれなかったので、同好会の「稲穂キッカーズ」の門を叩いたと。これ、有名な同好会です。もう一つ「荒友キッカーズ」という同好会もあって、私も門を叩きましたが。

そして就職に当たっては、自分が一番好きな「サッカー」を封印して(それは「趣味」でやろうと)、2番目に好きな「映画」関連の仕事をしようとしていたら、いつの間にか一番好きな「サッカーを、撮る仕事」=「サッカーカメラマン」になっちゃったと。そんなものかもしれませんね、人生なんて。

サッカー雑誌『サッカーダイジェスト』のカメラマン。私は『サッカーマガジン』派だったけど、もちろん知っていますよ。(立ち読みしてた。)『イレブン』という、ちょっと形が変型のサッカー雑誌もありましたね。

六川(ロクカワ)さんは、ワールドカップは1982年の「スペイン・ワールドカップ」から取材を続けていると。私が初めてワールドカップを見に行ったのは、1990年の「イタリア・ワールドカップ」からなので、それよりも2回早いですね。でも「イタリア」「アメリカ」「フランス」ワールドカップの様子が書かれている所なんかは、「そうそう!」と懐かしい。フランスW杯の日本の試合会場で流れた曲が、安室奈美恵さんの「CAN YOU CELEBRATE?」といいう記述もあったが(112ページ)、そうなんです、私も聴きました、リヨンのジェルラン・スタジアムで。「ドーハの悲劇」も。そして、日本サッカー冬の時代の1970年代から80年代の話も「そうそうそう!!」と、うなずけます。1997年のフランス・ワールドカップアジア最終予選の韓国戦、ソウルの蚕室(チャムシル)スタジアムの試合も見に行ってたから、同じスタジアム内にいたのですねえ。ちょうど20年前かあ、もう、そんなになりますか。もっと前、会社に入った年に、釜本選手の引退試合(1984年)、私も取材に行きましたよ。また、ジーコ選手が、当時2部リーグの住友金属に来た際にも長居スタジアムに取材に行ったけど、試合後にジーコを囲む記者があまりにも少なかったのには驚いたなあ。思い出します。

178~179ページ見開きの白黒写真、JSL最終年(Jリーグ発足の1年前)である1992年に撮影された「日本サッカー界の立役者たち」に映った31人の内、顔と名前が一致して分かった人が17人、名前だけ知っていた人が24人いた。あれから25年、経つのかあ・・・。川淵チェアマンも若い!お亡くなりになった方の写真も。同窓会みたいな感覚で読めました。

1か所、誤植発見。193ページ上の壇の後ろから4~3行目。

×「日韓戦での戦積は」→○「日韓戦での戦績は」

「糸へん」ですね。是非、増刷して、修正を!


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(2017、10、25読了)

2017年10月26日 19:51 | コメント (0)

新・読書日記 2017_129

『小説の言葉尻をとらえてみた』(飯間浩明、光文社新書:2017、10、20)

著者の飯間さんから贈呈していただきました。ありがとうございます。飯間さんと言えば『三省堂国語辞典』の編纂者です。辞書に新しい言葉を載せるために、常日頃から、いろんな「言葉」に接している飯間さん。街で歩いていても「看板」や「ポスター」といった「文字」に目が行って、すぐにご自慢のiPadで写真を撮って記録されています。

当然、「小説」もそのターゲット。「言葉の蒐集」を目的に、様々な小説を読んでらっしゃいます。いろんな「読み方」があるのですね・・・・って、私もちょっとそういう目線でも読んでますけどね。わりとすぐ「誤植」見つけちゃうし。

取り上げられた「小説」は最近の物を中心に15冊。列挙すると、

『桐島、部活やめるってよ』(朝井リョウ)★

『風が強く吹いている』(三浦しをん)★

『残穢(ざんえ)』(小野不由美)

『オレたちバブ入行組』(池井戸潤)★

『チッチと子』(石田衣良)

『桜ほうさら』(宮部みゆき)

『横道世之助』(吉田修一)★

『猫を抱いて象と泳ぐ』(小川洋子)

『マチネの終わりに』(平野啓一郎)

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(伏見つかさ)

『八日目の蝉』(角田光代)★

『阪急電車』(有川浩)★

『グラスホッパー』(伊坂幸太郎)

『ギケイキ 千年の流転』(町田康)

『チョコレートコスモス』(恩田陸)

現代を代表する作家たちの作品。「ラノベ=ライトノベルズ」までと守備範囲が広い!その物語の中にこっそりと飯間さんが乗り込んで行って、ことばを観察する、という体(てい)ですね。これはこれで、面白い。

「男女比」は男性作家7人、女性作家8人。ほぼ半々。これも考えての選択なんでしょう。

この15作品の内、私が読んだことがある作品は、★の付いている「6作品」でした。

また、何と「128ページ」の『猫を抱いて象と泳ぐ』(小川洋子)の中の言葉について書かれたところで、私も登場します!「綿菓子」と「綿飴」についての記述です。読んでね!

あと、「183ページ」の『猫を抱いて象と泳ぐ』(小川洋子)の中で、誤植発見!後ろから4行目、

×「野菜妙め」→○「野菜炒め」

と、ちょっと「妙」なことになっていました。「女へん」ではなく「火へん」ですね。

きっと増刷されるから、直してくださいね!


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(2017、10、21読了)

2017年10月26日 00:49 | コメント (0)

新・ことば事情

6531「大ビン、小ビン、中ビン」

10月4日、アサヒビールが、来年3月1日以降に出荷するビール類を10年ぶりに値上げするというニュースが流れました。主に業務用に販売している「ビンビール」や「たるビール」が対象で、「缶ビール」は含まないそうなので、家でよく飲む「缶ビール」はそのまま。ちょっとホッとしますね。

それで値上げ幅ですが、「大ビン」の店頭価格では10%前後の値上げになる見込みで、競合他社の追随値上げも予想されるそうです。それもイヤやなあ。

ここで問題です。

「大ビン」

は何と読むでしょうか?

「オオビン」

ですよね?一般的には。でも、関西人はこれを、

「ダイビン」

と読みます。また、

「小ビン」

も一般的には、

「コビン」

ですが、関西人は、

「ショービン」

と言います。「なんだかそれって、汚く聞こえる・・・」とよく言われるのですが、関西人は、そんな想像はしません。「ダイビン」「ショービン」が普通です。「オオビン」「コビン」とは言わない。

「それは、おかしいよ!」

関東人に言われたら、こう言い返します。

「ほたら何か?『大』と『小』の間の大きさの500MLのビンは、何て言うねん?」

「そりゃ、『チュービン(中瓶)』でしょ」

「ほら見てみい、『音読み』やないか!『オオビン』って言うなら『ナカビン』でないと、筋が通らんやないか!」

とまあ、こんな屁理屈を言うわけですね。でも、筋が通ってると思うけどなあ。

(2017、10、25)

2017年10月26日 16:13 | コメント (0)

新・ことば事情

6530「不時着か?墜落か?」

米軍の飛行機やヘリコプターが、この1年だけでも結構、落ちています。

その際に、その事象を、

「墜落」

と呼ぶのか?それとも

「不時着」

と呼ぶのか?

一般的なイメージでは、その「飛行機・ヘリコプターの機体」が、

*「原形をとどめている」=不時着

*「大破している」=墜落

あるいは、「乗員」が、

*「無事、あるいは軽傷」=不時着

*「(何人か)死亡」=墜落

という感じではないでしょうか?

10月12日の日本テレビのお昼のニュースでは、

「不時着炎上」

という表現を使っていました。この場合、「機体」は最終的に、

「原形をとどめないほど、燃えてしまった」

のですが、その前に、

「乗員は全員避難して、無事」

でした。そして、

「飛行中には、火は出ていなかった」

そうで、

「炎上したのは、不時着した後」

だったそうです。

(2017、10、25)

2017年10月26日 11:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6529「主席と首席」

<2014年4月29日に書きかけました。このところ、昔、書きかけたものを書き継いでいます>

2014年3月31日、「ミヤネ屋」の放送前に、テロップをチェックしていたところ、この日ご出演いただく「永濱利廣氏」の肩書が、

「第一生命経済研究所"主席エコノミスト"」

となっていたので、

×「主席」→○「首席」

と直しました。しかし、担当ディレクターが「第一生命経済研究所」に電話で確認したところ、この研究所では、

「"主席"エコノミスト」と「"首席"エコノミスト」

があり、永濱氏は、

「"主席"エコノミスト」

であるとのことでしたので、この日は「主席」で放送しました。

なお、「第一生命経済研究所」で「首席エコノミスト」と「主席エコノミスト」では、

「『首席』のほうが偉い」

のだそうです・・・。(なぜ「主席」ではなく「次席」と言わないの?ごまかしてない?という心の声を抑えつつ・・・)

このメールを読んだあるスタッフは、

「北朝鮮の最高尊厳に並ぶ称号ですね。」

また別のスタッフからは、

「いっそ"酒席"エコノミストだったら、違いが分かりやすいのに...。」

という貴重なご意見を頂きました。それじゃ、仕事にならんがな!

ちなみにご存じとは思いますが、北朝鮮の「故・金日成(キム イルソン)」も、2期目に入った中国の「習近平」も、

「国家主席」

です。念のため。こちらは「国家首席」と書くと間違いです。

(2017、10、25)



(追記)
第一生命経済研究所の永濱さんの肩書、2020年1月29日にHPで確認したところによると、
「首席エコノミスト」
になっていました。以前調べたときは「主席」でしたが、今回は「首席」。「首席」のほうが「上」なんだそうです。出世したんですね。おめでとうございます。

(2021、11、25)

2017年10月25日 22:53 | コメント (0)

新・ことば事情

6528「向き合い」

10月24日の「ミヤネ屋」で、

「離婚約(りこんやく)」

という言葉について取り上げました。これは、

「期間を区切って、『離婚』を前提に、結婚生活を継続するというもの」

です。その意味では「結婚」まで「同棲」するのとは「逆のベクトル」のような状態、「登山」に対して「下山」のようなものでしょうか?違うか?

その際に、

「子どもとの向き合い」

という言葉がパネルで出て来ました。事前のチェックで、これはそのまま通してしまったのですが、本番のサイドテロップで、

「子どもとの向き合い方」

という文字が出て来て、

「ああ、やっぱり『方』を入れるべきだった!」

と思いました。そうなんです、この、

「向き合い」

という言葉は、

「平成ことば事情1566受け止め」「平成ことば事情6521受け止め2」で書いた、

「受け止め」

と同じではないですか!これも、

「受け止め方」

とすべきだとしたのに・・・次はちゃんと「向き合い」ます!

(2017、10、24)

2017年10月25日 20:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6527「丁寧な説明」

森友・加計問題などについてのさらに詳しい説明のため、野党から「臨時国会の開催」を求められた安倍首相は、3か月も「臨時国会」を開かず、9月28日にようやく開いたと思ったら、

「冒頭解散」

つまり、「国会での説明」は行いませんでした。

その衆議院解散に当たって、安倍首相は、

「選挙活動の中で丁寧に説明していく」

と話しました。

しかし、実際には、選挙戦の中では全く「丁寧な説明」は行われませんでした。

その説明を避けて通っています。そのことは、同じ自民党の筆頭副幹事長・小泉進次郎氏が、街頭演説の中でも指摘しています。

これは一体、どういうことなのか?考えました。

思うに、野党や国民の多くが求めているのは、

「何を、どのように説明するか?」

なのですが、その「国民が求めていること」に関しては一切説明せず、

「国民が聞いてもいない自分の主張のみを、繰り返し繰り返し、壊れたテープレコーダーのように話すこと」

これが、安倍首相の言う、

「丁寧な説明」

だったのです。安倍首相の「本心」を想像して書いてみると、

「私の言う『丁寧な説明』は、皆さんが思っていることとは違います。私が言いたいこと、伝えたいことのみを『丁寧に言う』だけで、『皆さんの疑問に答える』という意味ではないのです。」

となるでしょう。しかしそれは、

「一般的な言葉の意味での『丁寧な説明』ではない」

のです。安倍首相の話す「日本語」と、私達国民が使っている日本語は

「表面上の音・文字は同じでも、意味が異なる」

のです。これでは、コミュニケーションが取れるはずがありません。

それがわからないのか?あるいは、わからないふりをしているのか?

いずれにせよ、

「国民に対して真摯な態度とは言えない」

のではないでしょうか?あ、そうか、安倍首相の言う、

「国民の皆様」

は、あくまで、

「自民党支持者のみ」

であって、それ以外の、

「『こんな人たち』は、「『国民』という範疇にはない」

と考えているのかもしれませんね。そう考えると納得がいくのですが、そういう人を、

「政治家」

とは、私達の「従来の日本語」では、呼ばないのですが・・・。

(2017、10、25)

2017年10月25日 18:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6526「青色吐息?」

第48回衆議院議員選挙。その翌日(10月23日)の「ミヤネ屋」では、今回の選挙の総括のVTRを作って放送しました。各候補の戦いぶりを描いたその中で、こんなテロップが。

「青色吐息」

ふむ。この候補は、なかなか厳しい選挙戦だったわけね。四字熟語、一応調べておくかと、いくつか辞書を引くが、どこにも載っていない。「青色発光ダイオード」や「青色申告」は、出て来るんだけど・・・。では「吐息」で引いてみるか・・・あ、あった。

「青息吐息」

あ!そうだ「青」ではなく「青」だ!!!道理で、載っていない訳だよ。

高橋真梨子の名曲、

『桃色吐息』

が、あまりにも有名になっちゃて、「○○吐息」の「○○」には、「○色」と入るものだと思い込んでいる人が、たくさんいるということでしょうね。

危なかったな。気付いて直せてよかった。そうだ、原稿も直しとかなきゃ。ディレクターに伝えておこう。これで大丈夫。と思って安心してオンエアーを見ていたら、

「青(あおいろ)吐息」

というナレーターさんの声が!

え?原稿、直してなかったの?と、こちらの顔色が「青く」なり吐息が漏れました。

原稿を確認すると、

「青(あおいき)吐息」

と、ちゃんと直って、しっかりルビも振ってありました。でも・・・「青色」と思い込んでいれば、気付かないよね。

×「青吐息」→○「青吐息」

今後は、もっと気を付けたいと思います。ちなみに「青息吐息」の意味は、

「ひじょうに困ったときや苦しいときに出すため息」(『三省堂国語辞典』)

「嘆息する時や弱った時に出すためいき。また、そのためいきの出るような状態」(『広辞苑』)

類義語には、

「気息奄々(きそく えんえん)」

があります。これは、

「いきもたえだえであるようす」(『三省堂国語辞典』)

「息も絶え絶えで、今にも死にそうなさま」(『広辞苑』)

で、「奄々」の「奄」は「常用漢字外(表外字)」なので、ルビが必要です。

(2017、10、25)

2017年10月25日 16:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6525「薮と闇」

「平成ことば事情6285闇の中?薮の中?」と関連する、「薮」と「闇」について、通勤途中に考えていて、ふと思い付きました。それは、

「薮」=謎

「闇」=反社会勢力

のイメージがある、ということです。

つまり、「薮の中」は、

「純粋に、真相がわからない状態」

であるのに対して、「闇の中」は、

「何らかの反社会的勢力の力によって、表社会には出て来ないような対応がされたような場合」

に使われるのではないか?ということですが、いかがでしょうか?

(2017、10、24)

2017年10月25日 13:22 | コメント (0)

新・ことば事情

6524「日本死ね」

<2016年12月13日に書き始めてました。メモのような感じで>

「保育園落ちた 日本死ね!」

が、今年(2016年)の「ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10」に選ばれました。

2016年2月15日に書き込まれたこの言葉を発した匿名のお母さんの書き込みを基に当時、民主党の山尾志桜里議員が、国会で安倍首相に「待機児童対策」の充実を迫って追及したことで、有名になりました。その「匿名のお母さんの書き込み」をここに転載しておきます。

「何なんだよ日本。

一億総活躍社会じゃねーのかよ。

昨日見事に保育園落ちたわ。

どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。

子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?

何が少子化だよクソ。

子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからwって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。

不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。

オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。

エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。

有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。

どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。

ふざけんな日本。

保育園増やせないなら児童手当20万にしろよ。

保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ。

国が子供産ませないでどうすんだよ。

金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだから取り敢えず金出すか子供にかかる費用全てを無償にしろよ。

不倫したり賄賂受け取ったりウチワ作ってるやつ見繕って国会議員を半分位クビにすりゃ財源作れるだろ。

まじいい加減にしろ日本。」

という過激なもので、主張はまともなんだけれども、その文の「今風の若者の語調」に「品がない感じ」がして私はあまり好きになれず、当時は取り上げませんでした。

しかし「ユーキャン新語・流行語大賞」の審査員を務めた歌人の俵万智さんが、「選考理由」を公式ツイッターで、以下のように明かしました。

「『死ね』が、いい言葉だなんて私も思わない。でも、その毒が、ハチの一刺しのように効いて、待機児童問題の深刻さを投げかけた。世の中を動かした。そこには言葉の力がありました。お母さんが、こんな言葉を遣わなくていい社会になってほしいし、日本という国も日本語も、心から愛しています。」(2016年12月10日)

なるほど、そういう見方もありますか。

実は私は先日、こんな「戦後すぐの頃の言葉」である、

「朕はたらふく食っておるぞ、汝臣民、飢えて死ね」

に接して、

「あ、なんだ、『日本死ね』のような『死ね』が流行語になるのは、何もツイッターなどのSNSの発達した現代の若者だけでなくても、昔からあったんだ!」

と気付かされました。つまり「日本死ね」は、元をたどれば「汝臣民、飢えて死ね」と同じく、

「インパクトある抗議の言葉」

なのではないか?と。

「ウィキペディア」によると、「汝臣民、飢えて死ね」という言葉が有名になったのは「プラカード事件」と呼ばれるもので、

「昭和21年(1946年)5月19日」の、

「食糧メーデー(=「米よこせメーデー」、正式には「飯米獲得人民大会」)

の際に参加者の一人が掲げたプラカードに書かれた、

「ヒロヒト 詔書 曰ク 国体はゴジされたぞ 朕はタラフク食ってるぞ ナンジ人民 飢えて死ね ギョメイギョジ」

です。このプラカードが「不敬罪」に問われたのですが、第一審では「不敬罪」を認めず、天皇個人に対する「名誉毀損罪」のみが認められ、控訴審において「不敬罪」の成立可能性の認定は引き継がれるも、「大赦」を理由に「免訴」。最高裁の上告審も、無罪判決を求める「被告人の上告を棄却」して、結果的に被告人は「不処罰」となっています。

この「日本死ね」という言葉を取り上げた山尾志桜里さん、ご存じのようにその後、紆余曲折あって、先日(10月22日)の衆議院選挙では。愛知7区から「無所属で」出馬して、当選を果たしましたね。

(2017、10、24)

2017年10月25日 10:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6523「我が国の読み方2」

10月10日の、朝のワイドショーのニュースを見ていたら、女性キャスターが、

「我が国」

という言葉を、

「ワガコク」

と読んでいました。久々に聞いたな。もちろん、正しくは、

「わがくに」

ですね。

「平成ことば事情4221我が国の読み方」では、日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会編『放送で気になる言葉・改訂新版』(2003の64ページには、「わが国」について、

「『わが輩』『わが友』などと同様、文語的な言葉でもあり、発言の引用などはやむを得ないが、なるべく『日本』を使うようにする。」

と記されていると書きました。(その後、改訂版として出された、同じく日本新聞協会・新聞用語懇談会放送分科会で出した『放送で気になる言葉2011』でも、63ページに全く同じ言葉が掲載されています。)

ということで、あまり放送では「我が国」を使わないので、慣れていなかったのかもしれません。『NHKことばのハンドブック第2版』の217ページにも、「わが国」について記されており、それによると、

「『わが国』は、文語調のことばであり、やや主観の入ったことばと受け止られるおそれもあるので、ニュースなどの客観的な報道では、原則として使わない。(例)わが国の経常収支は・・・→日本の経常収支は・・・・」

どおりで、最近あまり放送では耳にしませんね。昔はよく耳にした気がするけど。

逆に「日本」のことを、

「この国」

ということがあります。司馬遼太郎のエッセイ、

「この国のかたち」

のような場合で、故・筑紫哲也さんや、その出身母体の「朝日新聞」も、よく「この国」という表現を使うような気がします。これは、

「客観的な感じ」

がしますね。自分も「日本人」で「日本」の一員なのに、あえて距離を取ったような感じ。それに対して「わが国」は、「我が家」同様「一体感」と言うか、「愛国心」を感じるというか、

「主観的な表現」

であることは間違いありませんね。でも、読み方を間違えちゃいけないな。

(2017、10、24)

2017年10月24日 23:08 | コメント (0)

新・ことば事情

6522「17アイスクリームと31アイスクリーム」

通勤で毎日通る、京阪・京橋駅のホームに「アイスクリームの自動販売機」があります。

「17アイスクリーム」

とその販売機には記されています。きょう、それを見てふと思いました。

「もう10月も終わりに近いのに、アイスクリーム、売れるんだろうか?」

置いておくだけのメリットはあるのでしょうか?次に思ったのが、

「なぜ『17』アイスクリームなのだろう?アイスクリームと言えば『31アイスクリーム』があるが、あれも『数字』。あれは『アイスクリームの種類』を表してわしているのだろうか?そして『17』も『31』も、共に『素数』ではないか!何か関連はあるのだろうか?」

調べて見ると、「17(セブンティーン)アイスクリーム」「グリコ」が販売しているんですね。そのグリコのホームページのQ&Aのコーナーに、

「セブンティーンアイスはどうしてセブンティーンアイスという名前になったのですか?」

という、まさにズバリこんな質問が!それに対する答えは、

「デビューした1985年当時流行であったアイスクリームショップ。そこでアイスを買って街中を食べ歩きすることは女子中高生を中心にトレンドとなっており、グリコとしてなんとか商売にできないかを検討致しました。その結果、女子中高生(17歳中心としたヤング女性)をターゲットとしたアイスクリームミニショップとして『セブンティーンアイス』と名づけました。」

なるほど、商品のターゲットとなる層の年齢が「17歳」だから「17(セブンティーン)」だったのですか。雑誌にも『セブンティーン』って、ありましたよね。

一方の「31アイスクリーム」はと言うと、元々アメリカ発祥の会社で、海外では創業者2人の名前である「バスキン・ロビンス」と呼ばれているそうです。これもそのホームページによると、名前の由来は、

「1か月(31日間)毎日違った美味しさを楽しんでいただきたい」

からだということで、

「サーティワンアイスクリームというネーミングやフレーバーの種類の豊富さには、そんな願いが込められています。」

とのことです。また、米ロゴマークには、『Baskin』『Robbins』の文字と頭文字の「BR」が使われ、ピンク色で「31」という数字がデザインされているとのことです。

ということで、「素数」は関係ありませんでしたね。

(2017、10、24)

2017年10月24日 21:07 | コメント (0)

新・ことば事情

6521「受け止め2」

「平成ことば事情1566受け止め」の続編です。

きょう(2017年10月23日)の「ミヤネ屋」のテロップをチェックしていたら、きのうの「第48回衆議院銀選挙」の結果を受けての安倍首相の会見で、

「受け止め」

が出て来たので、

「受け止め方」

に直しました。そして過去に用語懇談会で討議されたような気がして調べたら、

「2015年5月関西地区新聞用語懇談会」

で討議されていましたので、その内容をここに残します。

***************************************

「米国とキューバは国交正常化交渉の開始で合意したが、キューバ国内での【受け止めは】?」   

×直す=13・5社      ○直さない=6・5社

*<直す>13・5社

【日経】×...言葉足らず。「受け止め方は」とする

【産経】×...「反応は?」「受け止め方」あたりか。「受け止め方は?」の省略なのでしょうが、言葉足らずです。

【サンスポ】×...「受け止め方」。 

【日刊スポーツ】×...「受け止め方」にする。

【時事】×...「受け止め方は?」にする。この「受け止め」は、「永田町の会見」で出てくる。「政治部方言」ではないか?社会部では使わない。

【ABC】×

 1・直す...受け止め方は?

2・直す...「受け止め方」「反応」などとすべきところで、「受け止め」だけでは活字、アナウンス共に不十分な感は、いなめません

【MBS】×...受け止め方 

【YTV】×...受け止め方は?(「受け止め」は「NHK用語・政治家用語」だと思います)

【TVO】×...「受け止め方は?」「どう受け止めている?」とする。

【神戸】×...「反応は」などに訂正。紙面化されたケースも多々あるが、この言葉はデータベース検索では2014年以降にしか出てきておらず、流行語的なものかとも思う。

【山陽】×...「受け止め方は?」にすべきだ。

【愛媛】×...「受け止め」は気持ち悪い。「受け止め方は」にする。もしあれば直すが、まだ出てきたことはない。

【高知】×...「受け止め方は?」にする。

*<直さない>6・5社

【朝日】○...本来「受け止め方」だろうが、定着している。政治部は「受け止め」で出稿して来る。(直すとすれば)「受け止め方」。

【毎日】○...「差し止める」→「差し止め」などと同じかと思うと、一概にダメとは言えない。

【読売】○...(直す5:直さない6)

・違和感はあるが、最近の言い回しとしては許容

 ・受け止め方、反応と直す

【スポニチ】○...もう定着している。

【中国】○...直していない。「受け止めはどうですか」とするかも。どっちもあまり変わらない。

【徳島】○...記述なし

【共同】△...「直す2:直さない1」。「受け止め方」の意味で「受け止め」を使用したのは、過去3年で70例もあり、驚いた。政治、経済で多く役所の言い慣らしが広まった気もするが、かなり普通に使われている感じ。「直さない」という意見も3分の1。手直し例は「受け止め方」「反応」など。

という結果でした。それから2年半、経っています。

(2017、10、23)

2017年10月24日 19:06 | コメント (0)

新・読書日記 2017_127

『逆襲される文明~日本人へⅣ』(塩野七生、文春新書:2017、9、20)

月刊『文藝春秋』の2013年11月号~2017年9月号までの「巻頭コラム」を集めたもの。まとめて読めるのはうれしい。その分少しタイムリーさには欠けるが、タイムリーなだけだったら新聞やインターネット・ツイッターで見れば良い。大体「ローマ人の歴史」を書いている人ですよ。数年の差なんて、誤差のようなものでしょ。そういった、ながーーーーーい「時の流れの中」で、「歴史の中」で「現代」を見つめるためには、毎月コラムを読むのもいいけど、こうやって新書にまとまったものを読むほうが良いと思う。

当時30代(39歳)でイタリアの首相の座に就いた、マッテオ・レンツイ首相への期待の寄せ方や分析など、辞めるまでの期間をカバーしているんで、よく分かる。二院制を、事実上の一院制に変えるための憲法改正の可否を問う国民投票で、イタリア国民は「NO」と答えたために、レンツィ首相は辞任することになった。緊縮財政一本槍から、成長路線へと方針転換したが、それによって組合員の職場の保持しか頭にない「中高年の牙城」と化した「既成労働組合」を敵に回してしまう。

塩野七生いわく、

「レンツィ首相の掲げたスローガン『廃車処分』の的にされるのを恐れた中高年層の反撃は、女の嫉妬や恨みの水準ではない。廃車処分が決定的になる前にレンツィをつぶす、の一念の前には、イタリアの将来などは知ったことではないのだ」

言葉はきついが、そりゃあ、そうだろう、「ショック療法」というのは、その対象にならない人からは喝采を浴びるが、槍玉に挙げられた方は必死であるから。同じようなことが、日本でも起こっているような気がする。それでも、イタリアは続くのだ。

本書タイトルの「逆襲される文明」とサブタイトルの「日本人へ」は、「他人のふり見て、我がふり直せ」。ふだんあまり知らない文明国イタリアの情勢を、塩野さんを通じて知ることで、日本の将来を考える糧とすると。

ローマとトリノの「女性市長」の話も、興味深かった。


star4

(2017、10、12読了)

2017年10月23日 11:51 | コメント (0)

新・ことば事情

6520「異体字の使用について」

<2016年5月3日に書きました>

異体字の使用について、結論から言うと読売テレビ「ミヤネ屋」では、

「先方から要望があった場合は、できるだけその要望に応えて、異体字を使用している」

のが現状です。ただし、

「作字をしなければ出ないような異体字」

に関しては、その限りではありません。(必ず「作字をする」とは限りません)

種類別に、思いつく例を挙げて見ると

  1. 人名で異体字を使用した人

・長嶋茂雄(巨人軍終身名誉監督)

・葛西紀明選手(スキージャンプ)

・髙橋大輔選手(フィギュアアスケート)

・辻本茂雄(吉本新喜劇)=「2点しんにゅう」プレスシートに字体の指定あり。

・德永英明(歌手)=プレスシート通りの表記「英」は草冠が途切れて「十」が2つ。

・辻本士誠(熊本・八代市財務部次長)=記者から「1点しんにゅう」でと。

・澤井国一容疑者(5月3日 神戸三宮暴走事故)

・宮澤真史・岡﨑亮・金﨑浩・澤田亨平・廣田晃二・林龍之介・髙橋史・髙栁康・吉(土)田奈央・髙田孝治(故人)・齋藤敬(読売テレビ社員・役員など)

山崇彦理事(全日本スキー連盟理事)=「ニュースZERO」では「高山」だったが、会見の「名札」は「はしご髙」だったので。

  1. 団体名

・大阪教育大学附属池田小学校

・東京藝術大学

・慶應義塾大学(省略した場合は「慶応大学」)

・文藝春秋

・野村證券

・熊本市立龍田小学校(熊本地震・避難所)

  1. 自治体

・大阪・四條畷市

・奈良・五條市

・奈良・葛城市(ヒ)

・東京・葛飾区(人)

福井・鯖江市(つくりは「靑」=円のほう。)

実は2016年5月3日の放送で、間違えて「つくり」を「青」で出してしまったのですが、その後、「鯖江市」のホームページを見てみると、

「どちらでも良い」

と書いてありました。参考までに、ここにコピペします。

※鯖江市の「鯖」の漢字表記について

鯖江の「鯖」の表記については、「うおへん」に青の下が「円」とする文字が正字であることなどを考慮し、鯖江市では、平成5年4月からその文字で統一し、公文書などに使用しています。

ただし、この表記でなければだめというものではなく、特に、近年パソコン等が普及し、パソコンのフォントはJIS規格に準拠して作成されていますが、「円」の鯖の字が表示できないことがあります。

そのため、一般的にお使いいただく場合には、略字等でもかまわないという取り扱いをしています。

また、このような状況から、ホームページ等で文字データとして掲載した場合には、「円」の鯖で作成されたものであっても、ご覧になられる方のパソコン等の環境によって「円」の鯖であったり、「月」の「鯖」であったりします。

なかなか、うれしいではありませんか!また、兵庫県の、

「(旧)龍野市」

は、昔は簡単な「竜」を使って、

「竜野市」

にしていたのですが、「2005年の平成の大合併」で、

「たつの市」

「平仮名」になりました。

(2016、5、3)

2017年10月20日 21:23 | コメント (0)

新・読書日記 2017_127

『見えない不祥事~北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(小笠原淳、解説・清水潔、リーダーズノート出版:2017、9、30)

清水潔さん関連のツイッターでこの本のことを知り、「読まなくちゃ」と思って、買って(取り寄せて)読みました。

いわゆる「調査報道」の原点を続けている、北海道の地方雑誌の記者のノンフィクション。「ノンフィクション」というより「ルポ」という言葉の匂いを残している「昭和な」感じ。取材の合間に掻き込む昼飯の様子や、自身の持病の話、家でビールやウィスキーで酔っぱらっていて奥さんに冷たく(温かく?)あしらわれる話、自転車で取材に行く話など、人間味あふれるエピソードも満載。そんな中で「北海道警察」の不祥事が隠され続けているという実態を暴いていく。

当然、思い浮かべたのは、直木賞作家・佐々木譲の警官シリーズ。あれも、北海道警が舞台だが、「警察内部」から描いた「小説」=「フィクション」(と言っても、相当取材していると感じさせる。その意味では「ノンフィクション」(=「ルポ」か)と、「警察の外から」取材をして内部を暴いていく「ノンフィクション(ルポ)」であるこの本の著者とは、ベクトルの方向は「正反対」だが、実は同じことを抉(えぐ)り出しているのではないかと感じた。それと、やはり北海道が舞台の『探偵はBARにいる』も、ちょっと思い出した。著者の小笠原さん、「私立探偵」みたいな感じでもある。

こういった不正は、北海道警だけでなく全国の警察で、多かれ少なかれ「ある」と思われるが、ひとつひとつ丁寧に、地道に「情報公開請求」を続けるという姿勢は、「調査報道」にとって大切なのだなあと改めて感じました。

小笠原さん、くれぐれもご自愛くださいね。御身御大切に!


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(2017、10、12読了)

2017年10月22日 12:37 | コメント (0)

新・読書日記 2017_126

『残業税~マルザ殺人事件』(小前亮、光文社文庫:2017、8、20)

「2017読書日記051」で書いた(読んだ)『残業税』(小前亮、光文社文庫)の第2弾は、何と「ミステリー」「殺人事件」に!えらいこっちゃ!

「残業取締官」が通称「マルザ」というのは、当然「マルサ」をもじっているのだが、これはちょっと、なじみにくい感じがする。

前作の登場人物も出てきたりして「続編」という感じだが、前作では本当に「残業」「働き方」という所に焦点を当てて、それを「残業税」というユニークな架空の「税」によって、現代社会の歪みを指摘していたのだが、今回は「ミステリー」としての楽しみ方、「国税庁」と「厚労省」と「警察」という3つのお役所の「三つ巴の戦い」という「組織の戦い」に、見どころが移ったのかなあという感じでした。


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(2017、10、17読了)

2017年10月21日 12:36 | コメント (0)

新・読書日記 2017_125

『幻坂』(有栖川有栖、角川文庫:2016、1、25第1版・2019、7、25第3版)

有栖川有栖さん、お名前は当然、存じ上げていましたが、私はあまりミステリーを読まなかったので、実は初めてご本を読みました。「2017年度大阪ほんま本大賞受賞作」というPRがあったからです。それと、舞台が「大阪」、しかも「坂」にまつわる連作というのにも惹かれた。いや、面白かったです。表紙のイラストも良い。各物語の扉の「坂の写真」も良い。読んでいる途中で、これは全て「怪談」つまり「幽霊話」的であることに気付いた。「坂」だから「カイダン(階段・怪談)」か?しかし、そうでなくても「大阪という都市の歴史」をしっかり知ることが出来て、「行ってみたいな」という「観光ガイド」としても役立つと思った。

今度また、意識して「上町台地」に行って「坂巡り」をしてみたいと思いました。


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(2017、10、15読了)

2017年10月20日 12:34 | コメント (0)

新・読書日記 2017_124

『バベルの塔展図録』(国立国際美術館)

東京都美術館での展示の後、7月から10月15日まで大阪・中之島の国立国際美術館で開かれていた「ベベルの塔展」。ようやく10月1日に見に行くことが出来ました。結構、混んでいました。

一番出口に近い所にお目当ての「バベルの塔」がありました。これ、どこかで見たはずなんだけどなあ。こうしてしっかり意識して見るのは初めてかも。と思って調べていたら、ブリューゲルには「バベルの塔」の作品が「2つ」あって、そのうち1つが今回の美術展に出展されている「ボイマンス美術館所蔵」のもので、もう1つは「ウィーン美術史美術館所蔵」の作品だそうだ。そうか、思い出した、どこかで見たような気がしていたけど、1996年にオーストリアに行った時に「ウィーン美術史美術館」で見ていたんだ!今回、見た時に「何か、違うな・・・」と思ったのはそれが原因か。ということは、やっぱり今回見たのは「別の作品」で「初見」だったのか。ブリューゲルの「バベルの塔」が2つあるなんて、知らなかった。でもこれで、2つとも見たことになりますね。こんなに精細に描き込まれた絵だとは、今回見るまで気付きませんでした。

ブリューゲルの絵は、「狩り」や「アイススケート」の絵なんかも好きでしたが、それより前に、ポンチ絵のようなものも描いていたとは知りませんでした。その先達の、

「ヒエロニムス・ボス」

という奇想の画家のことも知らなかったが、まるで、

「『ダリ』や『楳図かずお』」

のような絵・版画ではないですか!おもろいがな!

また、「バベルの塔」の絵の後の、さらに出口近くに、東京藝大の協力での「拡大画プロジェクト」の様子やその解説の5分ほどのビデオも興味深かった。

塔の上の方の部分が「赤い」のは「レンガが新しいから」というのも"目からウロコ"だった。あれは「夕日が当たっているから」だと思ってた!

そのほか、会場の外に『AKIRA』『童夢』の大友克洋が「バベルの塔の内部」を描いた絵が飾られていて興味深かった。これ、見たかったんですよ。まるで「バウムクーヘン」のように、「塔の内部」は「吹き抜け・空洞」になっているという推測は、「ホホウ!」と思わせるものでした。十分、あり得るよなあ。塔の内部なんて、想像もしなかったけど。

そして、ブリューゲルが「イタリア旅行」をしたことがあるという事実から、あの「バベルの塔」のモデルは「ローマのコロッセオ」ではないか?という意見には「なるほど!」と膝を打つ感じがしました。

そういった鑑賞の記憶を追体験できる図録が、2500円也。安い!


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(2017、10、1読了)

2017年10月19日 21:32 | コメント (0)

新・読書日記 2017_123

『あと20年でなくなる50の仕事』(水野操、青春新書:2015、4、15)

2017読書日記122で読んだ『未来の年表~人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司、講談社現代新書)とも関連する話題。

「あと20年で」というタイトルですが、この本はもう、今から「2年前」に出たものでした。「積ん読」にしていたら、あっという間に2年、経ってしまいました。ということは、「あと18年」。こんな調子で20年経っちゃうんだろうなあ。

既にここ数年、急速に進んでいる「自動運転」の技術がもう少し進んだら、飛行機の「オートパイロット」のように、タクシーなやバスなどの「運転手」という仕事はなくなるんだろうなあ・・・。

今の子どもたちの「将来なりたい職業」を見ていると、10年・20年後に、そのうちいくつの職業が残っているんだろうなあと感じざるを得ませんが、やはり「時代の流れ」が早くなってきていることは、間違いありませんね。「やりたいこと」と「求められていること」を、みんな、よーく考えようね。


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(2017、10、10読了)

2017年10月19日 18:31 | コメント (0)

新・ことば事情

6519「四つ巴」

先週金曜日の「ミヤネ屋」で、衆院選挙の激戦区「東京24区」で「4人の候補」が戦っている様子を、テロップ(Bチャン・サイドスーパー)で

「東京24区 "四つ巴"の激戦区に密着」

と表現したところ、視聴者から、

「『四つ巴』という言葉はありません。『巴』は、水が流れてぐるぐる回る様を表しますので、4人で争う様を表す際は、『四強』が正しいと思います。」

というご指摘が。そういう「慣用句は無い」ことは分かっていたので、わざわざ、

" "

を付けて「比喩的表現」と表したのですが、伝わらなかったようです。

そして週明けに、今度は「視聴者センター」のYさんから、

「教えていただきたい」

というメールが来ました。それによると、

「『四つ巴』は、誤用で使用不可なのでしょうか?ご教示いただけましたら幸いです。」

とのこと。日本テレビのマニュアルでは、

「『三者入り乱れて絡み合う』意味の慣用句は『三つ巴』だから、『四つ巴の戦い』などと言うと違和感をもつ向きもあるだろう」

とあり、

「注意して使いたい言葉、紛らわしい表現」

として記載があるそうです。

そこで視聴者センターのYさんには、こういう返事を返しました。

『お疲れ様です。お尋ねの件、「ミヤネ屋」では一応" "を付けて「三つ巴」ではなく4人なので、そういう言い方は普通はしないけど" "を付けての「四つ巴」としました。

これに関しては今、調べたところ『放送で気になる言葉2011』(ピンクの表紙)の54ページにコラムがありました。書き写しますと・・・、

****************************************

「四つ巴」

四者が争う場合、「四つ巴の争い」などと使うのは「三つ巴」からの類推、あるいは勝手な造語とされてきた。1981年版『新聞用語集』収録の「誤りやすい慣用語句」にも「四つ巴」の項があり、<「三つ巴」までは家紋にあるが、「四つ巴」はない。「四者入り乱れて」などと言い換えるのが妥当である>と記されている。

しかし、その後の調べで「四つ巴」の家紋があることが分かり、この項は1996年版『新聞用語集』では削除された。

参考までに『日本大百科全書』(小学館)の「巴」の一部を引用する。

<<巴を三つ組み合わせ丸紋風に構成したものが「三つ巴紋」であるが、巴にはこのほか、一つ巴から九つ巴までの巴があり、さらに、これに剣や雲などを添えて、きわめて多様な模様、紋章を生み出している。>>

相撲界では三者による優勝決定戦を「巴戦」と呼ぶ。柔道の「巴投げ」は「二つ巴」だろうが、イメージとしてはこの方が理解しやすい。

ただ、「三者入り乱れて絡み合う」意味の慣用句は「三つ巴」だから、「四つ巴の戦い」などというと違和感を持つ向きもあるだろう」

****************************************

いうことで、「四つ巴」という家紋は「ある」ので「間違い」とは言えないが、「慣用句」として使われて来たのは、

「三つ巴の戦い」

なので、「四つ巴の戦い」とか「五つ巴の戦い」などという表現を使うと、違和感を持つ視聴者もいらっしゃるだろうということで、今回は正にそういった事態ではないでしょうか。

ということでした。

(2017、10、17)

2017年10月20日 16:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6518「だとか」

以前、「~だそう」という言い方について書きましたが(「平成ことば事情6394だそう」「平成ことば事情6409『だそう2』」)、それと似た言葉を、10月17日の読売テレビ「かんさい情報ネットten.」で見つけました。それは、

「だとか」

です。

「ペロリと完食する人も多いんだとか」

という用例です。この「だとか」を「だそう」に置き換えても使えますよね。

今後もっと出て来るかもしれませんね。

グーグル検索では(10月18日)

「だそう」=1億7900万件

「だとか」=1億0700万件

スゴイ数なのは、この使い方ではない「だそう」「だとか」も含まれているからだと思いますが、これって、なかなか検索しにくいものですね。

(2017、10、19)

2017年10月19日 16:24 | コメント (0)

新・ことば事情

6517「いちいち」

(2017年9月22日に書きかけました。)

9月28日召集予定の臨時国会の冒頭での「衆議院解散」を決意したと報道された安倍首相が、国連総会へ向かう直前、東京・羽田空港で「ふた言」だけコメントしました。そのうちの一つが、

「いちいち、ご説明は差し控える」

というもの。この

「いちいち」

という言葉に付いて考えてみましょう。

パッと聞くと、「いちいち」という言葉は、

「いちいち、質問するな!」

とか、

「いちいち、うるさい」

のように、

「後ろに『マイナスイメージの言葉』がくっつく言葉」

のように思えますが、元来の意味は「いち・いち」、つまり「ひとつ・ひとつ」なので、安倍首相のこの発言も、

「いちいち、うるさいな、説明はしないよ」

という意味ではなく、

「一つ一つの説明は、あえて、この段階ではしません」

というように言ってるように思います。

しかし、そう聞こえないのは、なんでなんでしょうねえ・・・。

一応、ここで『三省堂国語辞典』を引いてみると、

*「いちいち」=(1)【名・副】ひとつひとつ。ひとりひとり。(例)「いちいちの説明ははぶく」「いちいち反論する」

(2)【副】ことごとく。みな。(例)「いちいちもっともだ」

ということで、安倍首相の言葉は、いちいち点検しなくても(=(2)の用法)、

(1)の最初の用例がピッタリですね。

(2017、10、17)

2017年10月18日 18:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6516「『退社』か?『退所』か?3」

平成ことば事情6356「『退社』か?『退所』か?」と平成ことば事情6380「『退社』か?『退所』か?2」で書いた第3弾です。

9月11日に放送した際に、「ミヤネ屋」のこの日の芸能デスクのTさんから、

「前回も『退社』か『退所』か悩んだのですが...今回は、草彅本人が『退社』と発言したのでそれに合わせ、ジャニーズ事務所を『退社』に統一したいと思います。」

とメールが届いたので、

「退社」

にしました。

その前後(スポーツ報知以外は全て9月11日付)の新聞各紙の表記は、

(スポーツ報知)9月8・9日「退所」:9月10日「退社」

(スポニチ)退社

(サンスポー)退社

(デイリー)退所

(日刊)ジャニーズ事務所から独立

(産経)退社

(毎日)退社

(朝日)退所

で、9月11日の日テレ「スッキリ!!」は、

「退所」

でした。「スポーツ報知」は、途中で方針を換えたのでしょうかね?

また、「NHK」の「6月19日」の放送原稿では、

「契約終了」

「事務所を離れることに」

「事務所離脱」

といった表現を使っています。以下のような具合です。

■元SMAP 稲垣・草彅・香取さんの3人 ジャニーズとの契約終了へ

 2017/06/19 NHKニュース

去年12月に解散した国民的アイドルグループ「SMAP」の5人のうち、稲垣吾郎さんと草彅剛さん、香取慎吾さんの3人が、ことし9月でジャニーズ事務所を離れることになりました。(中略)SMAPの元メンバー5人のうち、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人について、本人からの申し入れを受けて、現在の契約が切れることし9月8日をもってマネージメント契約を終了すると発表しました。

■元SMAP3人・事務所離脱へ ネット上に惜しむ声 再結成に期待も

2017/06/19 NHKニュース

SMAPの元メンバーの3人がジャニーズ事務所を離れることになったのを受けて、

インターネット上では、ファンなどからさまざまな声が上がっています。

なお、10月16日の「ミヤネ屋」で取り上げた、アーティストとして展覧会に作品を出展した香取慎吾さんの話題では、9月11日の放送にならって、

「退所」

を使いました。

(2017、10、16)

2017年10月17日 10:51 | コメント (0)

新・ことば事情

6515「存亡の危機」

9月21日に発表された毎年恒例の文化庁「平成28年度 国語に対する意識調査」によると(調査は平成29年2~3月に、16歳以上の男女3566人に個別面接で行われ、有効回収率56、5%。)

「存亡の危機」

という言葉が、

「存続するか滅亡するかの重大な局面」

の言い方として定着していることがわかりました。

実は、本来の慣用句は、

「存亡の機」

だそうで、どちらを使うかという問いには、

「存亡の機」 = 6、6%

「存亡の危機」=83、0%

と、本来の方ではない「存亡の危機」を使う人が8割を超えました。文化庁は、

「『存亡の危機』も、『誤用』といえる段階ではない」

としています。

この言葉に関しては、5年前の2012年5月に開かれた「関西地区新聞用語懇談会」でも、アンケートと共に討議されたことがあります。

「気になる言葉遣いを、どこまで直すか~発言の引用などの場合」

というアンケートで、その各社の回答を基に、それぞれの相違点や根拠などについて討議、意見交換をしたのです。その際、最初に幹事から、

「『その他』では朝日新聞が多いが、朝日は2人の委員から別々に回答が出され、その2人の間の意見が違った場合に『その他』にした」

との説明がありました。

その朝日新聞からは、校閲担当のデスク・キャップ14人に聞いた具体的な数字の一覧表が配られました。それによると、「14人中10人以上」が、「直す」あるいは「直さない」と答えたものの中には、

*「直さない」=「存亡の危機」13人(○「存亡の機」「存亡のとき」)

と「存亡の危機」があり、朝日新聞ではもう「存亡の危機」は「OK」ということでした。アンケートに回答した社全体では、

*「存亡の危機」 :直す:直さない=8:6  場合による:その他=9:1

という結果で、かなり拮抗していました。

また、文化庁の調査が発表されてすぐに出た『週刊文春』(9月28日号)の特集の見出しが、

「危急存亡の秋に 政治空白3週間」

でした。「秋」と書いて「とき」と読むのですよね。これが本来なのかな?

そして、たまたま読んでいた作家の塩野七生さんの『逆襲される文明~日本人へⅣ』(文春新書:2017、9、20)の中でも、

「古代のギリシアでもローマ時代でも、国家存亡の危機でさえも、未成年層は戦場に送り出さず、銃後の作業にも駆り出されなかった。」(192ページ)

というように、

「存亡の危機」

が出てきました。塩野さんも「存亡の危機」を使ってらっしゃるのですね。

もう定着していると見て良いでしょう。

(2017、10、16)

2017年10月16日 23:48 | コメント (0)

新・ことば事情

6514「強制性交罪」

8月中旬に、日本テレビ報道局から連絡が来ました。

「『強制性交罪』の放送用語について」

というものです。それによると、性犯罪の厳罰化に伴いことし7月に「改正刑法」が施行され、

「いわゆる『強姦罪』などがなくなり、『強制性交罪』に統一された」

そうです。

いわゆる性交だけでなく、口腔性交や肛門性交といった性交類似行為も含まれ、男性同士等にも適用されるため、正式名称は、

「強制性交等罪」

「等」が入りますが、ニュースの放送用語では、

「強制性交罪」「強制性交の疑い」

と表記することになったそうです。

これに準じて、酒で酩酊状態にした場合などの、これまでの「準強姦」に相当するような「準強制性交等罪」

についても「等」ははずして、

「準強制性交罪」「準強制性交の疑い」

と表記するとのこと。「性的暴行」の解釈が広がったことに伴うものなので、説明する場合にも「わいせつな行為をした疑い」とは表現せず、

「性的暴行を加えた疑い」

と表現するとのことです。NNN・日本テレビ系列の読売テレビも、ニュースではそれに従って表現することになります。

*「強制性交罪(容疑)」「準強制性交罪(容疑)」=性的暴行を加えた疑い

*「強制わいせつ罪(容疑)」=「わいせつな行為をした疑い」

この件に対する各局の対応を、9月に開かれた「新聞用語懇談会放送分科会」で、以下のように質問しました。

『2017年7月に改正された刑法で性犯罪が厳罰化され、「強姦罪」などがなくなり「強制性交等罪」に統一されました。この表現について、日本テレビ(NNN系列)では「等」を取って、「強制性交罪」「準強制性交罪」とすることにしました。「等」には口腔性交や肛門性交といった「性交類似行為」が含まれますが、OA上"耳慣れない"こと、「等」が何を指すのかについて放送で説明しづらいこと、視聴者へのわかりやすさを優先することが理由です。新聞では、毎日新聞が「等」を入れている他は、おおむね省いているようです。テレビは、日本テレビのほかTBSが「等」なし、CXとEXは「等」を入れていて、分かれています。各社の対応と、その理由などをお聞かせください。』

各局からの回答は以下の通りです。

(NHK)「等」を入れている。今後、議論になるかも。

(日本テレビ)ご説明されたように「等」は入れない。

(テレビ朝日)当初は「等」が入っていたかもしれないが、7月12日に社会部から変更についてのメールが届いた。それによると「等」は「省く」。朝日新聞・共同通信と同じ。

(TBS)「等」が入るとわかりにくいので「等」は「なし」。しかし、全社的ではなく「報道局」のローカルルールかもしれない。

(フジテレビ)FNNでは「等」を入れているが「『等』は省略可」となっているので、法律名の変更の際は「等」を入れたが、そのうち「等」はなくなるのではないか。

(テレビ東京)原稿検索をしたところ、新しい法律名が出て来たのは、法律名が変わった際のニュースのみ。その際は「等」を入れていたが、今後、議論されるだろう。ただ、これまでも「強姦」は「性的暴行」などと言い換えていたので、「強制性交(等)罪」も同じように言い換えるのではないかと思う。

(時事通信)「強姦」を「強制性交」と読み換える。「等」は省いているが、理由はわからない。見出しで「性交」という文字があると違和感があるので、使わないようにという議論はあった。模索中。

(共同通信)「等」は省いている。新しい法律は「性交の類似行為を含めたところがポイントだから、『等』は入れるべきだ」という意見もあったが、「一般読者には伝わらない」という意見が強かった。社会部からは「等」を入れた原稿が上がって来たが、省いた。見出しでは「乱暴」などにしている。

そして、10月16日お昼前の『ストレイトニュース』で、読売テレビ発の全国ネットニュースでこの、

「強制性交罪」

という表現を、私は初めて画面で目にし、ナレーションで耳にしました。元民放テレビ局局員による犯罪でした。

(2017、10、16)

2017年10月16日 21:47 | コメント (0)

新・ことば事情

6513「歯槽膿漏と歯周病2」

「平成ことば事情5712歯槽膿漏」「平成ことば事情5765歯槽膿漏と歯周病」の続きです。そこで書いたように、

「『歯槽膿漏』は死語」

と思っていたのですが、きのう見た大竹しのぶさんが出演している歯磨き粉のCMで、

「歯槽膿漏」

という言葉が出て来ました。まだ、生き残っていたのか!

おそらく「高齢者」にとっては「歯周病」よりも「歯槽膿漏」のほうが、なじんでいるということや、最近は「歯周病」という名称が出てき過ぎて"飽和状態"なので、昔の「歯槽膿漏」のほうがインパクトがあると考えたのではないか?と思いました。

(2017、10、16)

2017年10月16日 16:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6512「予選会と予餞会」

箱根マラソンの「予選会」が行われたというニュースを日本テレビ『スッキリ』でやっていました。(余談ですが、この10月から番組がリニューアルされて、それまでの、

『スッキリ!!』

というタイトルから「!!」が取れて、

『スッキリ』

になりました。)

本番では「20チーム」が出場するのですが、半分の「10チーム」は前回の箱根駅伝本番の「10位まで」がシードで出場権を得ているので、「残り10枠」を巡って、この「予選会」が行われるのです。

さて、その「予選会」のアクセントが気になりました。

ナレーターは「平板アクセント」で、

「ヨ/センカイ」

と言ったのですが、それだと、

「予餞会」

の様に聞こえないでしょうか?2度目は、

「ヨ/セ\ンカイ」

というように「中高アクセント」で読んだので、もしかしたら、迷っていたのかもしれませんが。

『NHK日本語発音アクセント新辞典』には「予選」は載っていましたが、「予選会」も「予餞会」も載っていませんでした。

(2017、10、16)

2017年10月16日 12:00 | コメント (0)

新・ことば事情

6511「『新』はすぐに古くなる」

家の近くの「パチンコ店」で、取り壊し工事をしていました。

「ニュー○○会館」

という名前です。たしか、出来てまで10年は経ってないと思うのですが。

それを見て思ったのは、

「『ニュー』=『新』は、すぐに古くなる」

ということです。思えば、

「新自由クラブ」「新進党」「新生党」・・・・etc.

それぞれ、

「出来た瞬間が、一番新鮮」

であり、あとは「右肩下がり」だったのではないでしょうか?いや、内容はともかく、その「ネーミング」に関しての話です

「新」というのはインパクトはあるけれども、それゆえに、長続きしない。

「ニューヨーク」「ニューオリンズ」「ニューメキシコ」

など「地名」は長続きしますが、長続きすればもう、「ニュー」に「新しい」という意味は失われています。それは、

「名前に頼らない『あり方』を確立できたから」

ではないでしょうか?

「パチンコ店」の場合は、名前に関係なく「新しい機材の入れ替えが重要」です。しかしもしかしたら、

「パチンコじゃない業種の店」

に変わるのかもしれません。そういえば、昔、近くにあった別のパチンコ店は、建物そのままで、

「学習塾」

になっていたっけなあ。

(追記)

やはりこのパチンコ店も、内装を変えて「学習塾」が入るそうです。

「パチンコ店」の建物は、「学習塾」に利用しやすいのか?そういえば、先日廃業した「コンビニエンスストア」も、「学習塾」が入っています。街じゅう「学習塾」と「美容室」(「理髪店」「ヘアーサロン」)だらけです。それだけ、顧客がいるということなんでしょうねえ。

(2017、12、18)


(2017、10、12)

2017年10月14日 12:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6510「愚直に」

自民党の安倍晋三総裁が、衆院選に向けて発した言葉の中に、

「愚直に」

というものがありましたが、本来この言葉は「プラスイメージ」で使われるものではありません。その点では、

「実直に」

とは違います。『広辞苑』を引くと、

*「愚直」=正直すぎて気のきかないこと。馬鹿正直。(例)愚直な男

*「実直」=誠実で正直なこと、りちぎ。じってい。(例)実直な人柄

とありました。

この「愚直」の使い方に関しては、2014年10月に開かれた「関西地区新聞用語懇談会」で、

「本来とは異なる意味合いで使用される言葉への対処に関するアンケート」

の結果を基に議論された際には、意見が分かれました。そこでは、

「愚直に稽古を積んだ大関」

という文章が、例文として出されました。今回の安倍総裁の使い方と同じ「本来とは異なる意味での使い方」です。それによると各社の対応は、

・「本来の意味で使う(新しい意味では使わない)」=12、5社

・「新しい意味でも使う」            = 8、5社

と、ほぼ真っ二つに割れました

< >内は、「直す場合の各社の正解」です。「0、5社」(△)というのは、その社の中で意見が割れた社です・・・って、うち(ytv)か!

具体的には、

*【本来の意味で使う(新しい意味では使わない)】(12、5社)

=毎日・産経・スポニチ・共同・時事・ABCMBSKTV・△YTV・福井・神戸・中国・徳島

→<地道に・きまじめに・真面目に・熱心に・黙々と・愚直なまでに>

「直す」とした社の意見としては、

「『愚直に』は自分や身内について言うのならいいが、他人へのインタビューなどでは使いにくい言葉だ。『愚直なまでに』が省略された言葉ではないか。」

というものでした。

*【新しい意味でも使う】8、5社

=朝日・読売・日経・サンスポ・日刊スポーツ・TVO・山陽・愛媛・△YTV

ということでした。

(2017、10、11)

2017年10月13日 16:33 | コメント (0)

新・読書日記 2017_122

『未来の年表~人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司、講談社現代新書:2017、6、20第1刷・2017、8、7第10刷)

すごい勢いで売れているベストセラー。1か月半で10刷です!

表紙の「5分の4」を覆った「広い帯」(「第二表紙」とでも言えるような)には、

「12万部!」

と書かれていますが、さらに売れていることでしょう。その帯の文字を書き抜くと、

「2020年 女性の半数が50歳超え」

「2024年 全国民の3人に1人が65歳以上」

「2027年 輸血用血液が不足」

「2033年 3戸に1戸が空き家」

「2039年 火葬場が不足」

「2040年 自治体の半数が消滅」

「2042年 高齢者人口がピークを迎える」

というような出来事が、データに基づいて考えると怒る可能性が高いということ。うーん大変だあ!でも、こういう視点は絶対に必要ですよね。

中でも「ほう、そうか」と思ったのは、これまでは「都市」が「地方」の人口を吸収して来たが、これからは「豊かな地方」が「大都市部の人口」を吸い上げるかもしれないという話。というのも、東京に若者が流入しても、それによって高齢者人口が減る訳ではなく、確実に将来の高齢都市を築く。更に、地方にいる両親を、東京に出た若者が呼び寄せれば、都市は高齢化すると。おや?将来は「地方消滅」じゃないの?と思いましたが、いろいろな見方があるのだな、と思いました。


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(2017、10、6読了)

2017年10月12日 19:19 | コメント (0)

新・読書日記 2017_121

『笑顔のママと僕と息子の973日間~シングルファーザーは今日も奮闘中』(清水健、小学館:2017、10、11)

今年1月に会社(読売テレビ)を辞めた、後輩の清水健・元アナウンサー。

奥さんを若くして「がん」で亡くしたことで、その体験に基づく講演活動と、まもなく3歳になるお子さんの子育て=シングルファーザーの生活で頑張っている様子が、本書から見てとれた。とにかく、体(健康)には気を付けて、頑張ってほしい。息子さんも、すこやかに育ってほしい。


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(2017、10、7読了)

2017年10月12日 08:16 | コメント (0)

新・読書日記 2017_120

『ペトロ~警視庁捜査一課碓氷弘一5』(今野敏、中公文庫:2015、1、25第1刷・2016、12、25第3刷)

『警視庁捜査一課碓氷弘一シリーズ』の5冊目。現在、出ている文庫本ではこれが最新刊。なんか"一気通貫"で読んでしまいました。

今回の殺人事件のポイントは、殺害現場に残された謎の文字。その謎を解いていくという、"刑事物"と言うよりは "ミステリー物"かな、「名探偵コナン」みたいな。なんか、このシリーズは1作・1作、傾向が全然、変わるな。

「ペトロ」と言うのは、その「古代文字」に関連し、また「キリスト教」にも関連する。そうそう、その意味ではあのトム・ハンクス主演のダン・ブラウン原作の映画『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』『インフェルノ』を彷彿させました。


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(2017、10、7読了)

2017年10月11日 21:15 | コメント (0)

新・ことば事情

6509「絶食と断食」

<2009年11月25日19:46に書きました>

以前(たぶん2006年秋)、用語懇談会で用字用語に関する質問が出ました。

「食事をたつ」

という場合の「たつ」は、「絶つ」か「断つ」か?という問題です。

私は、意味によって使い分けができると思ったのですが、実は、それは難しいと。

私なりに分類をしてみると、

*「絶食」の範疇の中には「断食」が入る。

*「絶食」は何らかの理由で食べることが出来ない、あるいは食べないこと。

「断食」は宗教上、あるいは願掛けなど、なんらかの理由で、自らの意志で食事を取らないこと。

だと思うのですが。

「千日回峰」を2007年10月達成のニュース。飲まず食わず眠らず、横にならず。これは、

「食事を断つ」

でしょう。

あ、そうか、『新聞用語集2007年版』を見てみればいいんだ!(用語懇談会で質問が出たのは『2007年版』を作っている最中でしたが)で、「たつ」のところの「断つ」と「絶つ」の違いは・・・

*「断つ」=(打ち切る、分断する、遮る)用例:きずなを断つ、公害を断つ、後続を断つ、国交を断つ、酒を断つ、雑念を断つ、食事を断つ(断食の場合)、退路を断たれる、断ち難い思い、断ち切る、茶断ち塩断ち、通信線を断たれる、電源を断つ、(電気・熱の)伝導を断つ、補給路を断つ

*「絶つ」=(絶える・絶やす、途中で切れる、やめる)用例:後を絶たない、跡を絶つ(消息)、命を絶つ、交際を絶つ、消息を絶つ、食事を絶つ(絶食の場合)、通信・連絡を絶つ

とありました。「食事を断つ」「食事を絶つ」、両方載っていますね。

『三省堂国語辞典』では、

*「絶食」=食事をしないこと

*「断食」=ある期間食事をとらないこと。

うーん、ビミョー。

2009年11月、千葉のイギリス人女性の死体遺棄容疑で逮捕された市橋容疑者が、

「逮捕から2週間にわたって水とお茶しか飲まず、食事を取らなかった」

ことに関して、

「絶食」

と表現した新聞と、

「断食」

と表現した新聞がありましたが、やはり「断食」は「宗教的な修行」のような感じがしま

した。

***************************************

ここまで書いてから、なんと8年が経ち、ほったらかしでしたが、読んでみたら、特に加

えることは、ありませんでした。

(2017、10、11)

2017年10月13日 10:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6508「リアス式海岸2」

10月10日、第48回の衆議院議員選挙が公示されました。

その夜のテレビ朝日「報道ステーション」で、司会の富川悠太アナウンサーが、

「各党の第一声の主張内容の所要時間別の帯グラフの凸凹(デコボコ)」

を指して、

「リアス式海岸のようですが」

と言いました。しかし、実は最近は「式」を付けない、

「リアス海岸」

と学校では習うみたいなんですね。彼は、私達の側(古い)人間だ。

これに関しては、「平成ことば事情6213リアス式海岸」に書きましたが、まだまだ、「式」が取れた、

「リアス海岸」

という言葉は、普及していないのかもしれませんね。

(2017、10、11)

2017年10月12日 22:20 | コメント (0)

新・ことば事情

6507「死火山、活火山」

2015年5月8日に「ミヤネ屋」にご出演いただいた、武蔵野学院大学特任教授の地震学者・島村英紀さんによると、昔は、

「活火山」「休火山」「死火山」

と言っていたが、「1979年の木曽・御嶽山の噴火」を機に、

「『死火山』と言わなくなった」

そうです。知らなかった!つまり「火山」には、

「『活火山』と『休火山』」

の2種類しかないと。ちなみに

「活火山」

の読み方は「カツカザン」か?「カッカザン」か?これはアナウンサー的には、

「カツカザン」

です。「促音」にはなりませんが、「ツ」は、

「母音が無声化」

するために、

「促音のように聞こえる」

ことがあります。

この原稿2年半前に書きかけで、そのままほったらかしになっていました。その意味では、「死火山のような原稿」

でしたが、ちゃんと「活動を再開」したので、

「休火山のような原稿」

だったと言えるでしょう。

(2017、10、11)

2017年10月12日 21:00 | コメント (0)

新・ことば事情

6506「ゼッケン2」

10月10日、カナダ・モントリオールで行われた「体操の世界選手権」で、個人総合で銅メダル、種目別の「ゆか」と「跳馬」で金メダルを獲得(「跳馬」は日本勢で39年ぶり金メダル)した白井健三選手ら一行が、千葉・成田空港に帰国しました。

会見で白井選手は、

「内村航平選手の"ゼッケン"を、お守りとして持って行った」

と話していました。この、

「ゼッケン」

という名称ですが、最近、「陸上競技」では使われなくなっています。代わりに、

「ナンバーカード」

という名称が一般的になっていますが、体操では使うのかな?内村航平選手も、会見で、

「ゼッケン」

と言っていました。競技によって違うのかもしれませんね。

「平成ことば事情3411ゼッケン」もお読みください。

(追記)

10月15日、池井戸潤原作のTBSの新ドラマ『陸王』の中で、竹内涼真さん演じる実業団のマラソン選手が、大会で名前を読み上げられた際に、

「ゼッケン12番、茂木」

というように、

「ゼッケン」

が使われていました。原作も「ゼッケン」だったのかな?読んだけど覚えてないな。

「2016読書日記110『陸王』」(池井戸潤、集英社:2016、7、10)もお読みください。

(2017、10、16)


(2017、10、11)

2017年10月12日 19:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6505「安倍内閣の最重要課題」

「安倍内閣の最重要課題ありすぎ問題」

というツイッターが流れてきました。それによると、

「教育再生は我が国の最重要課題」(平成25年1月31日参院本会議)

「震災からの復旧復興は、安倍内閣において最重要課題」(平成25年2月7日衆院予算委)

「福島の復興は政権の最重要課題」(平成25年2月19日参院予算委)

「安倍政権の最重要課題であるデフレ脱却・経済再生」(平成25年10月17日衆院本会議)

「農業の活性化、これは安倍内閣の最重要課題」(平成25年10月21日衆院予算委)

「復興の加速化は、安倍内閣の最重要課題」(平成26年1月29日参院本会議)

「魅力あふれる地方の創生は、安倍内閣の最重要課題」(平成26年9月30日参院本会議)

「拉致問題の全面解決は安倍内閣の最重要課題」(平成26年10月1日参院本会議)

「全ての拉致被害者の日本への帰還、帰国、これは安倍政権の最重要課題」(平成27年7月30日)

「最重要課題である郵政三社の株式上場を成功」(平成27年8月10日衆院予算委)

「女性活躍は、一億総活躍社会の中核として引き続き安倍内閣にとって最大のチャレンジ」「これを政府の最重要課題として強力に推進したのは、第二次安倍政権が初めて」(平成28年1月26日衆院本会議)

「教育を内閣の最重要課題として捉え」(平成28年1月27日参院本会議)

「働き方改革は、安倍内閣の最重要課題」(平成28年9月28日衆院本会議)

「テロ対策は最重要課題」(平成28年9月29日衆院本会議)

「子供の貧困問題は、これからも安倍内閣の最重要課題」(平成28年11月28日参院本会議)

「内閣の最重要課題として地球温暖化対策に全力で取組」(平成29年3月1日参院予算委)

たしかに、「最重要課題だらけ」です。

ただ、「平成25年(2013年)」から「平成29年(2017年)」までの「4年間」ですから、その間に「最重要課題」が変わることはあり得ます。問題は、

「過去の『最重要課題』が解決されているかどうか」

という点ですね。そういう意味では、

「道半ばで、解決していない問題ばかり」

なのは問題です。

「最重要課題は、毎日増える一方」

だと申せましょう。

もう一つ問題は、「重要」課題はたくさんあっても、それはその通りだと思うのですが、

「最重要」

をこうやって「連発する」ことで、

「実はその問題を、本当に『最重要』とは考えていない」

ということが、バレてしまうことです。また「最重要」という言葉を多用することで、「その言葉の価値が低減」

してしまします。そして、信用を失います。

一生懸命取り組んでも、すぐには解決できない課題だからこそ「重要」であることは理解します。その通りだと思います。しかし「本当に取り組んでいる」のであれば、

「途中経過を、しっかりと報告しなければならない」

それをせずに、「新しい課題」を次々に見つけていくのでは、

「国民の目をそらしているだけ」

で、「ウソつき」と言われても仕方がないのではないでしょうか?

「最重要課題に一つ一つ誠実に取り組み、着実に解決してくれる」

そういう人に、日本の政治をお願いしたいと思います。

(2017、10、9)

2017年10月12日 18:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6504「群馬県南牧村」

ニュースで、

「群馬県南牧村」

という地名を目にしました。この「南牧」ですが、

「なんもく」

とルビが振ってあったのです。普通に考えると、

「牧=マキ」

と読みます。しかし、この地名では、

「牧=モク」

になっています。そういえば横浜の「本牧」も、

「ホンモク」

「牧=モク」ですよね。この、

「マ→モ」

「キ→ク」

の音の違いについて、通勤の電車の中で考えてみました。

両方の音を発音してみて、その違いが、

「口の開き」&「舌の位置」

にあることに気付きました。

「マ」は、

「舌は下に下げて、口を大きく開く」「口の中の前の位置で発音」

しますが、「モ」は、

「口は余り開かず、舌の位置は、真ん中あたり」

です。また、「キ」は、

「口を横に広く開き、口の中は狭く、舌は前に出すような感じ」

です。そして「ク」は、

「唇をすぼめて前に付き出すような感じで、舌の位置は『キ』と同じ」

です。ただ「マキ」と続けて言う場合の「キ」は、それほど横に口を開かなくても、舌をうまくコントロールすれば、音が出るという感じ。

また、両手でほっぺたを押さえて「マキ」というと「モク」に聞こえるように発音できます。そんな、音の関係かな。

わかったような、わからないような。

(2017、10、10)

2017年10月12日 15:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6503「1人区・2人区」

7月3日、「ミヤネ屋」の原稿に、

「1人区」

という言葉が出て来ました。これをナレーターさんが、

「ひとりく」

と読んでしまいました。正しくはもちろん、

「いちにんく」

です。ちゃんとルビを振っておくべきだったなあと思う一方で、

「このぐらい、知らんかあ?」

とも思いました。

そして、なぜちゃんと読めなかったか?その理由について考えたのですが、もしかしたら、

「衆議院選挙で『中選挙区』がなくなり『小選挙区制』になったことで、『当選枠=1人』が当たり前となり、『衆議院選挙』から『1人区』という表現が消えたことが影響しているのではないか?」

と思ったのです。もう、20年ほど経ちますからね。そしてそれに伴って、

「『2人区』も読めないのではないか?」

と不安になりました。これはもちろん、

「ふたりく」

ではなく、

「ににんく」

と読むのですが・・・。

(2017、10、10)

2017年10月12日 10:30 | コメント (0)

新・ことば事情

6499「床か?ゆかか?」

体操の世界選手権の「女子・ゆか」で、初めて優勝を果たした村上ゆか選手...ではなく、

「村上茉愛(まい)選手」

この種目の「ゆか」の表記ですが、新聞によって分かれました。10月10日の各紙夕刊では(この日は、朝刊が休刊日で「お休み」だったので「夕刊」)

<朝日・読売>   「ゆか」「女子ゆか」

<毎日・産経・日経>「床」「床運動」

だったのです。

日本テレビ系列は、たぶんこれまでの五輪報道などから考えると「平仮名」の、

「ゆか」

だったはずですが、きのう(10月9日)の「ミヤネ屋」ではちょっとチェックが甘くて、

「床」

と漢字で出てしました。

「間違い」というわけではないのですがね。

(2017、10、10)

2017年10月10日 21:29 | コメント (0)

新・ことば事情

6498「チキンレースか?チキンゲームか?2」

「平成ことば事情6299チキンレースか?チキンゲームか?」と「平成ことば事情6294チキンゲーム」の続編です。

インターネットで「コリア・レポート」編集長で「ミヤネ屋」でもおなじみの辺真一(ピョンジンイル)さんの文章を読んでいたら、

「トランプ政権とのチキンレースは、対応を一歩誤れば」

という文章が出て来ました。ここで辺さんは、

「チキンレース」

を使っています。

それを見て思ったのは、

「私と同じ世代(50代)以上の人たちは『チキンレース』を使い、それより若い世代(40歳以下ぐらい)は『チキンゲーム』を使うのではないか?」

ということでした。どうでしょうか?

(2017、10、10)

2017年10月10日 19:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6502「ハロウィンジャンボ宝くじ」

10月11日、これまで、

「オータムジャンボ」

の名前で親しまれて来た宝くじが、今年から名前を変えて発売されるそうです。その名も、

「ハロウィンジャンボ宝くじ」

それだけ「ハロウィン」が、日本の国民に浸透して来たということでしょうか?また、

「ウィン」

が入っているから、

「ウィン=勝ち」

というイメージがあって、縁起を担ぐ人に人気が出るかも?

表記は「-」で伸ばす、

「ハロウィーン」

ではなく、伸ばさない短い、

「ハロウィン」

だとのこと。ちなみに、

「ハロウィンジャンボミニ」

というのもあるそうです。

「ジャンボなんかミニなんか、どっちやねん!」

と思いました。

「オータム(秋)」の名前が「ジャンボ宝くじ」から消えるのなら、

「サマージャンボ」

も名前が変わるのかな?その時期のイベントと言えば・・・・そう、

「お盆ジャンボ宝くじ」

は、いかがでしょうか?

(2017、10、11)

2017年10月11日 19:27 | コメント (0)

新・ことば事情

6501「千佐子被告」

青酸保険金連続殺人事件の裁判の報道で、

「筧(かけひ)千佐子被告」

の表現が、各新聞で違います。9月19日夕刊で見ると、

<見出し>  <本文>

(読売新聞) ****   筧被告

(朝日新聞) ****   被告

(毎日新聞) 千佐子被告  千佐子被告

(産経新聞) 筧被告    筧被告

(日経新聞) ****   被告

なぜか「毎日新聞」だけ「千沙子」被告と「ファーストネーム」を使っています。

最初は「夫」を殺した疑いだったので、被害者の夫も「筧さん」だったので、加害者を、

「千佐子被告」

として、それが続いているのだと思われます。また、被害者の筧さんの遺族からは、

「もう、『筧』という名字を使わないでほしい」

という要望も出されているようです。

もう20年近く前になりますが、「和歌山の毒入りカレー事件」で逮捕された、

「林真須美・死刑囚」

の場合も、

「真須美被告」

と「ファーストネーム」で呼ばれていましたが、あの場合は「夫」も逮捕されていて、名字が二人共「林」であったので、区別を付けるためという理由がありました。

「森友学園問題」で逮捕された、「籠池泰典容疑者」と「妻・諄子容疑者」の2人をまとめて、逮捕前に、

「籠池『夫妻』」

と呼んでいたので、逮捕後も「夫妻」を使い続けているのと、ちょっと似ているかもしれません。(「和歌山毒入りカレー事件」では「夫妻」ではなく「林夫婦」と「夫婦」が使われていました。)

ちなみに、読売テレビの夕方のニュース番組「かんさい情報ネットten.」でも、

「千佐子被告」

としていました。

10月10日、その千佐子被告に対して、「死刑」が求刑されました。

(2017、10、10)

2017年10月11日 15:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6500「いず」

塩野七生『逆襲される文明』(文春新書)を読んでいたら、

『あの頃はのちに起る「アラブの春」とか「ジャスミン革命」はまだ爆発していず、これらの国々の独裁者たちも健在で』(110ページ)

という一文が出て来て、目に留まりました。この、

「爆発していず」

という文章の「いず」ですが、普通は、

「おらず」

と書くところではないでしょうか?「話し言葉」で言うと、

「爆発していなくて」

となるところ。「おらず」が「書き言葉」的なので、避けたのでしょうか?

「~していず」は、「話し言葉」と「書き言葉」の「中間」というイメージがありますね。

(2017、10、10)

2017年10月11日 10:25 | コメント (0)

新・ことば事情

6497「縦か?横か?」

「縦か?横か?」

という問題は、大変「相対的」であります。

角度が「90度」変わると、「逆」になり、また「180度」変わると、元に戻ります。

同じように、

「右か?左か?」

も「相対的」です。角度が「180度」変わると、「逆」になります。

しかし「上下」は、「縦か?横か?」に関係ありません。つまり「縦か?横か?」は主に、

「水平方向の問題」

といえるでしょう。

また、「東西南北」は「絶対的」です。だからこそ辞書の「右・左」の説明には、多く「方角(東西南北)」が使われるのです。

そんな中、

「縦と横が入れ替わる魚」

がいるそうです。「2017読書日記116」にも書きましたが、

『ざんねんないきもの事典~おもしろい!進化のふしぎ』(今泉忠明監修、下間文江・徳永明子・かわむらふゆみ絵、高橋書店:2017、3、10)

によると、

「カツオは こうふんすると シマシマの向きが変わる」

というのです!サザエさんもビックリ!です。

縦の物を横にもしない亭主がいる一方で、興奮すると縦の物が横になる・・・何か「力」が働くのですね。

「平成ことば事情2062数字のたてよこ」

「平成ことば事情5115縦笛と横笛」

「平成ことば事情5822縦断か?横断か?」

「平成ことば事情6146三陸沖を縦断」

「平成ことば事情6406縦断か?横断か?2」

「平成ことば事情6453半紙のタテヨコ」

もお読みください。

(2017、10、10)

2017年10月10日 19:23 | コメント (0)

新・読書日記 2017_119

『浮浪雲・最終回(『ビッグコミックオリジナル』2017年10月5日号)』(ジョージ秋山、小学館)

なんと44年の長きにわたって連載されて来た『浮浪雲(はぐれぐも)』の連載が、ついに終了しました。連載1039回。長期間の連載が終ったと言えば、『こち亀』こと『こちら葛飾区亀有公演前派出所』が、去年9月に40年間の連載(1976年~2016年)終了。その前に『あぶさん』が(もう3年前(早い!)になりますが)、41年にわたる連載(1973年~2014年)を終えています。「40年」を越える連載ってすごいなあ。

実は『ビッグコミックオリジナル』は、ここ何十年も毎回(隔週発売)読み続けているのですが、その中で『浮浪雲』は、あまり読まなくなっていたんですよねえ・・・。

『総務部総務課・山口六平太』の作者逝去による連載中断(終了)も、大変残念でしたが。とにかくお疲れ様でした!一つの時代が終わったのですね。

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(2017、9、23読了)

2017年10月 9日 18:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6496「美人モデル」

「ミヤネ屋」のテロップチェックの中で、

「美人モデル」

という言葉が出て来ました。これを見て、少し疑問が。

「『美人』という表現が果たして必要なのか?」

と。だって、

「『モデル』になるような人は『美人』に決まってる。『不美人モデル』という人がいるのか?」

と思ったからです。これが、「女優(俳優)」であったら、

「美人女優」

ならば、

「性格女優(俳優)」

などもいるので、特に気にならないと思うのですが。もちろん、

「美人アスリート」

というような表現も「注目するのは、そこかい!」という突っ込みは別として、あり得る表現だとは思いますが。

「『美人モデル』って、モデルは美人に決まってるんと違うの?」

と思わず声を上げたら、たまたま横にいた女性ディレクターが、

「私もそう思いました」

と言っていました。

(2017、10、9)

2017年10月10日 11:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6495「紙菅」

テニス教室のトイレで、使い切った状態のトイレットペーパーの芯に、こんな文字が印刷されているのに気付きました。

「この紙管はトイレに流さないでください」

この、

「紙管」

という言葉、見慣れません。「紙の管」。そりゃ「鉄の管」は「鉄管」だし、「コンクリートでできた菅」は「土管」ですから、「紙でできた管」は「紙菅」で不思議はないですが、あまりみかけない言葉です。『広辞苑』を引くと、ちゃんと載っていました。

*「しかん(紙菅)」=紙・布・ラップなどを巻く芯とする紙筒」

そう、

「紙筒」

こっちの方が、なんか意味が伝わりやすいような。「紙菅」は、言葉としては「硬い表現」ですね。

『三省堂国語辞典』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『現代国語例解辞典』『岩波国語辞典』には載っていませんでした。

グーグル検索では(10月9日)、

・「紙菅」=41万2000件

・「トイレットペーパーの紙菅」=     7件

・「トイレットペーパーの芯」=63万7000件

でした。「トイレットペーパー」と「紙管」「芯」を別にして検索すると、

・「トイレットペーパー」「紙管」=13万5000件

・「トイレットペーパー」「芯」 =94万3000件

でした。「紙菅」で最初に出て来たサイトは、

「紙菅・紙筒の製造販売」

でしたから。専門用語のようですね。

(2017、10、9)

2017年10月 9日 18:31 | コメント (0)

新・読書日記 2017_118

『漢字ときあかし事典』(円満字二郎、研究社:2012、3「、30初版・2016」、4、22第5刷)

5年も前に出ていたのですが知らずに、最近知って、購入。「読む事典」ですね。700ページ近くありますから読みごたえは十分です。一気にはとても読めないけど、円満字さん、仕事とはいえ、よくこれだけ書けたなあと。

楽しみに少しずつ読んでいきます!


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(2017、10、3購入)

2017年10月 9日 16:10 | コメント (0)

新・ことば事情

6494「あなたに刺さる一冊」

本屋さんで見かけたキャッチコピーに、こんなものがありました。

「あなたに刺さる一冊が見つかるかもしれません。」

硝子で出来ていて角が硬くて尖っていて「ブスッ!」と体に刺さって、「や、やられた~」・・・という本ではありません。「凶器」じゃないんだから。これはもちろん、

「あなた"の心"に刺さる一冊」

という表現の内の、

「の心」

を略した形ですね。その方が「カッコよく見える」と思ったのでしょうね、新しい「ツウ」な言い方として。でも・・・・

「普通に丁寧に言ってくれる」

方が、

「私の心には刺さる」

んだけどねえ・・・。

(2017、10、6)

2017年10月 9日 11:10 | コメント (0)

新・ことば事情

6493「『細くなる』のアクセント」

パンストのコマーシャルで、女優・モデルの菜々緒さんが、

「足が5センチ細くなる」

と言っていました。その、「細くなる」のアクセント

「ホ/ソ\クナル」

「中高アクセント」で言っていたのですが、それは「関西弁のアクセント」ではないでしょうか?これは「標準語アクセント」では、「頭高アクセント」

「ホ\ソクナル」

ではないでしょうか?

念のため『NHK日本語発音アクセント新辞典』「ほそい」を引いてみました。この新しいアクセント辞典は、

「形容詞や動詞の『活用形のアクセント』」

まで載っているのです!これは便利ですよねえ。こういうのがもっと早く欲しかった。

で、「ホソク」のアクセントは、やはり「頭高アクセント」で、

「ホ\ソク」

でした。「菜々緒さん」は「埼玉県(大宮)出身」のようですから、

「関西弁アクセントではないはず」

なのですが、最近、関東出身の若い人でも、関西弁風のアクセントでしゃべる人が増えているように感じます。「関西弁」が、それだけ浸透しているということですかねえ・・・?

(2017、10、6)

2017年10月 8日 12:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6492「R15+」

9月29日の「ミヤネ屋」に映画監督の北野武さんが出演しました。ビートたけしさんです。最新作の映画『アウトレイジ最終章』の宣伝のためです。

この映画『アウトレイジ最終章』には、

R15+

の表記がありました。これは、

R15」

なのではないのか?と思って調べたら、

「2009年から表示が変わった」

のだそうです。それまでのR15」は、

「15歳未満は観覧禁止」

で、新しいR15+は、

「15歳以上観覧OK

だそうです。

「同じじゃないか、コノヤロウ!」

と、たけしさんが怒りそうな変更ですね。

「プラス志向」

ということで・・・。

(2017、10、5)

2017年10月 7日 11:29 | コメント (0)

新・ことば事情

6491「サ高住」

10月4日、テレビ東京の『巨悪は眠らせない~特捜検事の標的』というドラマをチラッと見ていたら、さかんに、

「サコージュー」

という言葉が出てきました。意味が解らないので、そのドラマを黙って見ていた妻に、

「サコージューって何?」

と聞いたところ、どうやら、

「サービス付き高齢者向け住宅」

の省略語、つまり、

「サ高住」

のようです。なんでも略すよなあ。そういえば

「左近充」

という名字の人が、昔いたなあ。音が似てるなあ。

「サ高住」は、ドラマに出て来るぐらい一般化されている言葉なのでしょうか?

グーグル検索(10月5日)では、

*「サ高住」=137万件

*「サービス付き高齢者向け住宅」=163万件

も出て来ました。

『『未来の年表~人口減日本でこれから起きること』(河合雅司、講談社現代新書)によると、「2024年」には、

「全国民の3人に1人が65歳以上」

になり、「2026年」には、

「認知症患者が700万人以上」

になる、というようなものをお読んでいると、確かに「サ高住」のような施設というか住居が求められるのもわかります。その一方で、「2033年」には、

「全国の住宅の3戸に1戸は、空き家になる」

ということで考えると、住宅供給は「全国で平均すれば足りている状態」ので、

「都市部でのみ、不足が起きている」

ので、また本当に必要なのは、

「介護のための人手」

つまり、

「『サ高住』の『サ』が問題だろう」

ということもわかりますね。

(2017、10、5)

2017年10月 6日 15:24 | コメント (0)

新・ことば事情

6490「『下水道』のアクセント」

読売テレビのお昼のニュースを聞いていたら、山本隆弥アナウンサーが、「下水道」のアクセントを、

「ゲ/スイドー」

「平板アクセント」で読んでいました。でも私の語感では、

「ゲ/ス\イドー」

「中高アクセント」です。念のため、アクセント辞典を引いてみたら、

「ゲ/ス\イドー」「ゲ/スイドー」

の順番で、両方載っていました。最近は「平板アクセント」もOKなのか。

しかし、これって「言葉の意味の内容」が違いますよね。

*「ゲ/ス\イドー」=「下・水道」

*「ゲ/スイドー」=「下水・道」

となるように思います。(違うかな?)

「水道」に「上下」があると考えるのか?それとも「上水」「下水」があって、そのための「道」があると考えるのか?

うーん、難しい問題だ。どちらも「可」とするしかないんですかねえ。

(2017、10、5)

2017年10月 5日 23:23 | コメント (0)

新・読書日記 2017_117

『ちいさい言語学者の冒険~子どもに学ぶことばの秘密広瀬友紀、岩波科学ライブラリー:2017、3、17第1刷・2017、5、25第3刷)

著者は、「関西出身」で「東京大学准教授」で「お母さん」。

「お母さん目線」+「言語学者目線」で、子どもの言葉の習得の様子を記録して来た。こういった観察は、言葉に関心の深い人は子育てに際して必ず行っているだろうと、著者は言う。たしかに、私もやってました!子どもの言葉はおもしろいし、その成長過程の観察は、とても勉強になります。それを、より深く「言語学者」の分析を交えながら、しかし学術書のような硬い感じでなく、素人にもわかりやすく書かれた一冊。「子どもの言葉の成長日記」。「そうそう!」と、うなずきながら読めます。「ちいさい言語学者」とは、もちろん「子ども」のことですね!


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(2017、10、2読了)

2017年10月 6日 15:50 | コメント (0)

新・読書日記 2017_116

『ざんねんないきもの事典~おもしろい!進化のふしぎ』(今泉忠明監修、下間文江・徳永明子・かわむらふゆみ絵、高橋書店:2017、3、10)

かなりのベストセラーのようです。「事典」と言っても、その動物のイラストがカラーで大きく描かれていて、すべての漢字にルビが振ってあって、子どもから大人まで楽しめます。特に子供さんは絶対、興味を持って読むと思います!「ざんねんな」「いきもの」と「平仮名」で書かれているのは、子どもに親しんでもらうと共に、それらの「ざんねんんないきもの」に、著者が「愛着・親しみ」を持っているからだと思います。

項目を見てみると、

「カツオは こうふんすると シマシマの向きが変わる」

「ツチブタの体は 超かたい。でも、頭は 超弱い」

「イルカは 眠るとおぼれる」

「ウサギは 自分のうんこを 肛門から直に食べる」

「ホッキョクグマの毛がぬけると、肌は黒い」

などなど、興味深いエピソード満載!中でも「絶対この動物・昆虫だけには、生まれ変わりたくないな」と思ったのは、「ダイコクコガネ」でした。

「ダイコクコガネは 親子そろって 主食がうんこ」

絶対にいや!!!


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(2017、10、4読了)

2017年10月 6日 12:18 | コメント (0)

新・読書日記 2017_115

『校閲記者の目~あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞校閲グループ、毎日新聞出版:2017、9、5)

昨秋の日本テレビのドラマ『校閲ガール・河野悦子』で「校閲」というお仕事が脚光を浴びている。先日はその『2時間スペシャルドラマ』も放送されました。「校閲」は、「静かなブーム」ぐらいかもしれませんが、確かにこれまでほとんど知られていなかった「校閲」という仕事が、一般社会(大衆)に認識されたということは言えると思います。

そんな中で、その「校閲」の専門家である「毎日新聞社の校閲グループ」も頑張っています。ネット(ツイッター)で「ことばクイズ」を発信したり、「校閲」に関する単行本を出したり(ことし3月には「2017読書日記054」で書いた『毎日新聞・校閲グループの ミスがなくなるすごい文章術』(岩佐義樹、ポプラ社)も出しています)して、「新聞というメディア以外」でも気を吐いています。そんな中の一冊。気合、入っています。

最初の方に、アメリカのトランプ大統領が選ばれた大統領選挙の「号外の紙面」を基に、わざと間違いを散りばめた「ダミー紙面」を作って「どこが間違っていますか?」という「校閲チェック・クイズ形式」にして、その解説をしていくという作戦で、読者のハートをつかみます。まだ読んでいない人のために、「何か所、間違いがあったか?」は書きません。私は、半分ぐらいしか見つけられませんでした。紙面(ページ)も小さいしね。いきなり、レベルが高いです。

ただ、一つ、「おや?」と思ったのは、私が見つけた「明らか間違い」についての「解説が後ろに載っていなかった」のです。そこで 著者グループの一人であ、る毎日新聞校閲グループの人にメールして、

「"アレ"についての言及がないのですが、なぜでしょうか?」

と聞いてみました。すると返事が返って来て、

「ご指摘の件、お恥ずかしいことにダミー紙面をつくる際のミスでした。申し訳ありま

せん。重版が決まったので、第2刷から修正します。」

とのこと!なんと!!いやあ、本当に「校正畏るべし」ですねえ。まさか「校閲は大変だよ、難しいよ」という本で「間違い」があるなんて・・・。サブタイトルの「あらゆるミスを見逃さないプロの技術」というのは、気負い過ぎたか?

9月末に、重版がかかった「第2刷」が送られてきました。どのように修正されているのだろう?と興味津々でその該当ページを見てみると、私が見つけた「間違い」が直っていません。「あれ?おかしいな?」と思ったら、

「その間違いに関する解説」

が、「写真付きで追加」されていました。ちょうど、ページに少し余白があったところを、うまく使っていました。

これで「誤植があるバージョン」と「誤植がないバージョン」の2種類の「同じ本」を手にするという貴重な経験ができました!


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(2017、9、16読了)

2017年10月 5日 16:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6489「皇后さまのしんどい」

「2011年11月14日」に書きかけました。

皇后さまが「喜寿(77歳)」のお誕生日のコメントで、

「しんどい」

とおっしゃっていたのです。それを聞いて、

「『しんどい』は、もう標準語なのか!」

と感動したのでした。

それをメモしておいて、「6年」が経ちました。

先日、タモリさんとノーベル賞の山中伸弥教授の司会で放送していたNHKの「人体」の特集番組を見ていたら、実は「脳」からだけでなく、体中の各細胞が「指令」を出していると。その中で、「心臓」が出す「ANP」というメッセージの中に、

「疲れた、しんどい」

という文字が見えたのです。「心臓」も「しんどい」と言うのかあ・・・。

「しんどい」は「疲れた」とも、またニュアンスが少し違うのですよね。「しんどい」としか言えない状態があるのは確かです(キッパリ!)。

もう「標準語」ですかねえ・・・・「しんどい」は。(なぜか、ちょっと弱気)

いや、もう完全に「標準語」なのでしょうね。

(2017、10、4)

2017年10月 5日 22:38 | コメント (0)

新・ことば事情

6487「アウフヘーベン」

(2017年6月21日に書き始めました)

東京・築地市場の豊洲への移転問題。2017年6月9日の小池百合子東京都知事の会見で、こんな言葉が出て来ました。

「アウフヘーベン」

なつかしい言葉ですね。大学を出てから、とんと耳にしない言葉でした。

横文字・カタカナ言葉が大好きな小池都知事、英語だけでは飽き足らず、「ドイツ語まで」使い始めましたね。

「東京都のHP」からその部分を抜き出して読んでみると、「東京新聞の榊原記者」が、

「小池都知事は『文藝春秋』7月号の中で、『築地の改修案も市場問題PTから出され、百花繚乱の様相を呈しているが、ここはアウフヘーベンすることだ』と書いているが、この『アウフヘーベン』を使った意図と、意味するところを教えて欲しい」

と聞いているんですね。

それに対して小池知事は、こう答えています。

「はい。『アウフヘーベン』というのは、一旦立ち止まって、そして、より上の次元にという、日本語で『止揚』という言葉で表現されますが、これまで安全、安心、法的、科学的、さまざまなチェックが行われてきました。専門家会議も、この11日(日曜)にもう一度、休会していた会を開きます。そして、市場問題プロジェクトチームの非常に多角的な報告書をおまとめていただいてきたということでございます。それから、『もう6000億もつぎ込んだんだから早く移れよ』という乱暴な意見もよく聞くところでございます。さまざまな調査などを見ておりますと、『豊洲も良いけれども、安全にしてからお願いね』という方が一番多いんですよね。そこの部分はまだ達成されていないというのも、これはよく知らされていない事実だと思います。ですから、そういったことを全部含めて、どう判断するかという、そのための『アウフヘーベン』が必要だということを申し上げた。」

さらに榊原記者は、

「もはや二者択一ではないということですか。」

と尋ねると、小池知事は、

「二者択一か、全体を見ながら判断しなければならないと思っております。市場のあり方戦略本部が近々開かれると考えておりますので、そういったところからまた、それをまた総合的にまとめた形での戦略本部としての考えということを聞くことになろうかと思います。」

と答えています。             【ここまでは6月21日に書きました。】

****************************************

約3か月後の9月25日に「希望の党」の立ち上げを発表し、代表となった小池百合子氏。

また久々に「アウフヘーベン」を使っていましたね。

でも、「都知事を辞めて、衆院選に出馬するんですか?」と聞かれたら、少しムッとした感じで、

「だから、出馬しないと、日本語で何度もお答えしている」

と。わざわざ、

「日本語で」

というところが「上から目線」の言葉だなと思いましたが、普段「ワイズスペンディング」だの「アウフヘーベン」だの外国語を駆使しているので、わざわざ、

「あなたたちにもよく分かるように、日本語で言ってあげたのよ」

という感じがしました。イライラしてますね、きっと。

「そんなことは、さらさらない」「そんな感情は、排除していますから」

と言われるかもしれませんが。

(2017、10、3)

2017年10月 5日 19:25 | コメント (0)

新・ことば事情

6488「『三権の長』のアクセント」

「希望の党」が民進党からの「合流」を求められた際、「排除」の対象として最初に設けられた基準は、

「三権の長を務めた人」

というものでした。この「三権の長」とは、

「首相」「衆院議長」「最高裁長官」

です。それぞれ、

「行政」「立法」「司法」

のトップですよね。もっとも安倍首相は自分の役職のこと(首相)を、

「立法の長」

だと思っていたようですが・・・。

さて、この「三権の長」のアクセントは、どう読めば良いのでしょうか?

「1語」でコンパウンドして、

「サ/ンケンノチョ\ー」

なのでしょうか?それとも「三権」と「長」の「2語」に分けて、

「サ\ンケンノ・チョ\ー」

なのでしょうか?

「三権」

のアクセントを『NHK日本語発音アクセント新辞典』で引いてみると

「サ\ンケン」(頭高アクセント)

「サ/ンケン」(平板アクセント)

と両方載っていました。

ただ、「三権」を強調したいのであれば、「サ\ンケン」ですよね。例えば、

「三権分立」

のアクセントは、「三権」と「分立」の「2語」に分けて

「サ\ンケン・ブ/ンリツ」

と言った方が意味が伝わりやすいように思います。(「平板アクセント」もあると思うけど)

しかし結局、もう「三権の長」は「1語」になっていると考えて、

「サ/ンケンノチョ\ー」

で読みました。

(2017、10、3)

2017年10月 5日 20:12 | コメント (0)

新・ことば事情

6486「『筆算』のアクセント」

(2016年7月に書き始めました)

皆さんは、

「筆算」

をどういうアクセントで言いますか?

  1. 「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)

  2. 「ヒ/ッサン」(平板アクセント)

でしょうか?私は、何の迷いもなく、

(1)「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)

です。ところが!!『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみると、

「ヒ/ッサン」(平板アクセント)

しか載っていないのです。ビックリ!!

放送で「筆算」という言葉が出て来た場合にどのように読むか?を、用語懇談会でご一緒している各局の委員の方など、知り合いのアナウンサーにメールで聞いてみました。

その結果、関西のアナウンサーは全員、私と同じように「頭高アクセント」の「ヒ\ッサン」と読み、関東のアナウンサーは、「平板アクセント」で「ヒ/ッサン」と言う人が多い傾向が分かりました。

「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)=7人

(朝日放送・Aアナ)「筆算」のアクセントの件、私も今まで「頭高アクセント」だと思っていた。放送原稿で出てきても、よほどの指摘がなければ今後も「頭高」で読むと思う。しかし、「筆算」という言葉、私は一度も放送原稿で読んだことはない!

(関西テレビ・Bアナ)私も迷いなく「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)で読んでいた・・・『アクセント辞典』を引きもしなかったことを反省する。

(毎日放送・D氏)『アクセント辞典』は万全ではない。「ヒ\ッサン」=「頭高アクセント」以外、ありえないと思う。

(フジテレビ・E氏)私も、何の迷いもなく「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)。

(フリーアナウンサー・I氏)迷うことなく「頭高アクセント」の「ヒ\ッサン」。「平板アクセント」はありえない。

(フジテレビ・J氏)私も迷うことなく「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)。

(テレビ東京・K氏)私は道浦さんと同じで「ヒ\ッサン」と読んでいたし、変えるつもりもない。

「ヒ/ッサン」(平板アクセント)=6人

(NHK・C氏)「方言」かどうかは、よくわからない。個人的には昔からずっと「ヒ/ッサン」 と「平板アクセント」で言っていた。

(山形放送・F氏)私は「ヒ/ッサン」 と「平板アクセント」だが、東と西でアクセントが大きく違うものもあり、これも地域差があるのかなあと勝手に思っている。

(フジテレビ・G氏)「筆算」のアクセントは何の迷いもなく「ヒ/ッサン」 と「平板」。でも使わなくなりましたね、この言葉。

(朝日新聞・H氏)私は「平板アクセント」。「ヒ/ッサン」は、私の日常会話では、頭にアクセントを置かないと思う。いずれにしても実際に音で聞かないとよくわからない。「頭高」「平板」の区別がついていないかもしれない。新聞では、放送と違ってあまり意識していない。

(フリーアナウンサー・L氏)「筆算」に関しては、見た瞬間に浮かんだのは「平板アクセント」。『アクセント辞典』も「平板」だった。放送でも「平板」で語る。

(元NHK・M氏)「筆算」は、「頭高アクセント」は元々「東京方言アクセント」にもなく(語彙がない、といったほうがいいかもしれない)「平板アクセント」で処理している。2拍目が促音になるものについては、漢語は「平板アクセント」が優勢。といっても、「平板」「頭高」の両方を認めている(現実に流通している)ものもある。ある地域(兵庫、神奈川、静岡など)では「頭高アクセント」傾向が強いこともある。「ヒ」で始まる語は、発音上、ストレスを置いたほうが発生しやすいので「頭高アクセント」になることは、容易に想像できる。「筆者、筆致」などの「第2アクセント」が「ストレス性の『頭高アクセント』」と考えられる。

と、意見を頂いた方は「五分五分」といった感じです。

去年(2016年)12月の「新聞用語懇談会放送分科会」で、『NHK日本語発音アクセント新辞典』を編纂・出版したNHK放送文化研究所の研究員の方(塩田雄大さんですが)がいらっしゃったので、「摸試」と併せて伺ってみました。

『個人的には、「モ/シ」(平板アクセント)、「ヒ\ッサン」(頭高アクセント)だが、『NHKアクセント新辞典』では「模試」は「モ\シ」(頭高アクセント)のみ、「筆算」は「ヒ/ッサン」(平板アクセント)しか採用されていない。「頭高アクセント」で「モ\シ」と言うと「if」の意味の「もし」と紛らわしくないか。「水仙」が、これまでの「ス/イセン」(平板)に加えて「ス\イセン」(頭高)を採用するなら「模試」「筆算」も「モ/シ」「ヒ\ッサン」を採用しても良いのではないか。』

すると、以下のような回答でした。

(NHK・塩田氏)「2字漢語」は「頭高アクセント」になるものが多い。「筆算」は調査対象にならなかったと思う。「摸試」は、私も現役の高校生のときは「モ/シ」と「平板」で言っていた気がする。「水仙」の「第2アクセント」で「頭高」の「ス\イセン」を入れたのも、調査の結果による。従来の「ス/イセン」(平板アクセント)は81%、「ス\イセン」(頭高アクセント)は71%だった。

ということで、「筆算」に関してはあんまり直接的な回答ではなかったのですが、アクセント辞典上では、

「昔から『平板アクセント』」

ということなんでしょうね。

(2017、10、2)

2017年10月 5日 11:11 | コメント (0)

新・ことば事情

6485「必死の救助活動」

10月4日のテレビ朝日のお昼のニュースを見ていたら、東京・日本橋(にほんばし)で火事があり、その様子を中継していた男性記者かアナウンサーが、

「必死の救助活動が行われています」

と言っていましたが、「必死」という「死」が入った表現は、ふさわしくないのではないか?似たような意味で、

「懸命の救助活動」

のほうが良かったのではないか?と思いました。まあ「懸命」も、

「命懸け」

なんですけどね。

この日の夕方の日本テレビ「every.」ではサイドスーパーで、

「懸命の救助」

と出ていました。

(2017、10、4)

2017年10月 4日 22:07 | コメント (0)

新・ことば事情

6484「『品』のアクセント」

10月4日、「正倉院展」が間もなく開かれるのにちなんで、朝日放送のお昼の関西ローカルニュースで、正倉院の宝物の「開封の儀」のニュースを女性アナウンサーが伝えていました。

その際に、

「天皇ゆかりの品を」

「品」のアクセントが気になりました。彼女は、

「ユ/カリノ・シ/ナ\ヲ」

「品」を「尾高アクセント」で読んだのです。

しかし「品」には「平板アクセント」しかアクセント辞典にも載っていません。ここは、

「ユ/カリノシナヲ」「ユ/カリノ・シ/ナヲ」

と読むべきところだったのでしょう。

ただ、これに似たようなアクセントの単語があります。それは、

「国」

です。「国(が)」のアクセントは「ク/ニ(ガ)」と「平板アクセント」であり、「ク/ニ\(ガ)」という「尾高アクセント」ではありません。

例えば「我々の国が」と言う場合には、

「ワ/レワレノクニガ」

が正しいのですが、かなりの確率で、

「ワ/レワレノ・ク/ニ\ガ」

と言う人がいらっしゃいます。これに関しては、「平成ことば事情3839『この国が』のアクセント」で書きました。

しかし、もしかしたら、

「上」

という言葉と同じように考えているのではないか?

「上」は「上を向く」と言う場合は「平板アクセント」で、

「ウ/エヲ」

ですが、「机の上に」「~を踏まえた上で」と言う場合には、

「ウ/エ\デ」

と言い、「飢え」と同じアクセントになることが『NHK日本語発音アクセント新辞典』にも、きっちりと記されています。その「上」につられて、同じ、

「2文字・2音節」

なので「尾高アクセント」を使っているのではないか?と思い付きましたが、いかがでしょうか?

(追記)

10月4日放送のテレビ東京の『巨悪は眠らせない~特捜検事の標的』というドラマで、日本初の女性総理大臣を狙う政治家を演じた名取裕子と、その相棒の男性が話した、

「国」

のアクセントが、

「この国を(ク/ニ\ヲ)変えてみせる。」

「君ならきっと、この国を(ク/ニ\ヲ)変えられる。」

など、全部「尾高アクセント」でした。

(2017、10、5)


(2017、10、4)

2017年10月 4日 18:05 | コメント (0)

新・読書日記 2017_114

『エチュード~警視庁捜査一課 碓氷弘一4』(今野敏、中公文庫:単行本2012、11:文庫2013、12、20初版・2015、5、15第5版)

シリーズ4作目。シリーズ1作目は、もう20年ほど前の作品で、少し時代の違いを感じたが、これはまだ5年ほど前なので、それほどそういった意味での違和感はない。

このシリーズは1作目が「触発」で漢字2文字だったが、2作目はカタカナで「アキハバラ」、そして3作目が英語のカタカナで「パラレル」となり、4作目のこの本が「エチュード」と、これも外国語のカタカナ。タイトルの「エチュード」は、作品後半で「キーワード」となって来る。渋谷と新宿で起きた単なる「連続通り魔事件」だと思われた事件が、なぜか不思議な共通点があり、美人心理調査官の登場で、話は俄然、盛り上がって来る。今回の「主役」は「美人心理調査官・藤森紗英」ではあったが、バイプレーヤー・相棒としての碓氷の存在は、十二分にもう一人の「主役」だったと思う。そして「藤森紗英」は、地の文で最初の2回だけ(74・75ページ)「フルネーム」だったが、3回目(75ページ)からはずっと「紗英」という「ファーストネーム」で呼ばれている。特に意味はありませんが。


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(2017、10、2読了)

2017年10月 4日 11:07 | コメント (0)

新・読書日記 2017_113

『新装版・パラレル~警視庁捜査一課 碓氷弘一3』(今野敏、中公文庫:単行本2004、2:文庫版2006、5、25・改版2016、5、25)

シリーズ3作目。

これはねえ、ちょっと「陰陽師」みたいなっ感じなので、「警察モノ」と言えるのかどうか・・・という気がしたのですが・・・。でも面白いからグイグイ引き込まれてしまいました。

「イブシ銀刑事×今野作品オールスター」と帯に書いてあるように、あのキャラもこのキャラも出て来ます。解説を読むと、このシリーズは「碓氷弘一」がサブタイトルにあるのだけれども、必ずしも、碓氷が「主役」として振る舞うわけではないと。その通りです。もっと「主役」っぽくてもいいのにと思いつつも、「相棒」となる人たちが「その回の主役」というのも、まあいいのかなと思えて来た一冊でした。

「横浜のマルソーたちの動きが活発になってきたようだ。」(172ページ)

ここに出て来た、

「マルソー」

というのは、

「暴走族対策室」

のことのようです。私はまた、

「ソフィ・マルソー」

かと思いました。しかしその後に、

「横浜の『マルソー』といえば、『相州連合』のこと」

と出て来て、「ああなるほど、小説の中ではそういう風に意味を掛け合わせているのか」と思いました。


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(2017、9、28読了)

2017年10月 3日 21:06 | コメント (0)

新・読書日記 2017_112

『もっとハゲしく声に出して笑える日本語』(立川談四楼、光文社知恵の森文庫:2017、9、20)

シリーズ第3弾。小ネタ満載。ニヤニヤ、ワハハハ。面白いねえ。

よくこれだけ小ネタをたくさん集められたなあと思ったら、ツイッターなどで書きためた?というか書いて来たものをまとめた本だと。なるほど、それだと一つ一つは短くなりますね。でも、読みやすくて面白いエピソードが山ほどあります。"何とかも積もれば山となる"・・・というと失礼に当たりますが、「継続は力なり」です!

「184(いやよ)」を6回足すと「1104(いいいわよ)」になるという話(180ページ)は、「へえー!」と思いました。実際に足してみたもんね。

また、「関西では大瓶を『ダイビン』と言うらしい。では小瓶は『ショウビン』か?」と書かれていましたが(146ページ)その通り、「ショウビン」です。おかしい? 関東じゃ「オオビン」「コビン」なんですよね。それは知ってますけどね。じゃあ逆にお聞きしますが、「中瓶」は何て言うんですか「ナカビン」って言うんですか?「チュウビン」でしょ?じゃあ「ダイビン」「ショウビン」でもおかしくないのでは?

ちょうど真ん中あたりを読んでいたら(102ページ)、いきなり先輩の「辛坊治郎」の名前が出て来た。

「キャスターの辛坊治郎はナインティナインに向かって『岡部さん』と言ったという。岡村、矢部ともにハイと返事をしたとか。また、辛坊氏、ほんこん(お笑いタレント)に向かって『台湾』と言ったらしいのだが、ほんこんのリアクションは不明である」

と!

たまたま辛坊さんが社内にいたので、この本を持って行って、

「こんなん、書いてありますけど、ホンマですか?」

と聞いたら、

「どうせ、ネタだろ?」

と言いながら、この下りを読むと、

「・・・言ったかもな」

とのことでした。これをツイッターでつぶやいたら、なんと「談四楼さんご本人」から、

「裏取り、ありがとうございます(笑)」

と返事が来ました!


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(2017、9、29読了)

2017年10月 3日 19:04 | コメント (0)

新・ことば事情

6483「『一触即発』の間違い」

「ミヤネ屋」のテロップチェックをしていて、結構よく出て来る「四字熟語」に、

「一触即発」

があります。しかし、この四字熟語、なぜかみんな、間違います。例えば、

「一触触発」

という間違い、多いです。パッと見ると、どこが間違っているか分かりにくいのですが、

×「触発」→○「即発」

この言葉の元々の意味である、

「ちょっと触れると、即、爆発する」

を考えれば、「一触」「即発」という漢字は頭に浮かぶと思うのですが・・・。

たぶん、間違える人は、意味をあまり考えずに、

「音だけに反応している」

のではないでしょうか?

「一触」の「触」という拗音(ショク)につられて、同じ発音を繰り返す。たまたま、

「触発」

という言葉があるので、その言葉にまさに「触発」されて、「一触」の後に「触発」としてしまう。言いにくいでしょ、そっちの方が。

「イッショクショクハツ」

アイタタ、舌、噛んじゃったじゃないの!

この四字熟語、よく使うくせにちゃんと覚えていないからか、先日はこんな間違いも出て来ました。

「一発即発」

今度は「発」が2回。あと1つで「ポン」して「発のみ」・・・って「麻雀」じゃないんだから!

「一触」よりも「一発」の方が危ない感じが。現在の北朝鮮のミサイルは「一触即発」よりも「一発即発」のほうが イメージ的には合っているような気が、しないでもないんですが・・・。

同じような間違いをする人はどのくらいいるのか?グーグル検索しました(10月2日)。

正しい人は、

「一触即発」=55万2000件

間違った人は、

「一触触発」=を検索したら「一触即発」と同じ結果が出てきてしまいました。そして、

「一発即発」=4万0300件

でした。まあ結構、間違っている人いるんですねえ・・・。

(2017、10、2)

2017年10月 3日 18:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6482「お花、お酒、おなか、お金、お店、お見合い」

最近、ニュースで「お」が付く単語をよく耳に(目に)します。

「お花」「お酒」「おなか」「お金」

この中で、「おなか」は「お」を取ることはできませんが、普通は、

「腹」「腹部」

と言い換えますよね、「書き言葉」のニュース原稿では。

2017年7月14日のニュース原稿には、

「お菓子」「お茶に睡眠導入剤」

と出て来たので、

「菓子」「茶」

と直しました。犯罪関係のニュース原稿では、「お」は、なじみません。

家の近くの「駅ナカ」にある「お店」で、

「おいもさんのおみせ らぽっぽ」

と表記している店があります。これなんか、

「おいもさん」「おみせ」

で「お」が2回、「芋」には「さん」まで付いていて、めちゃくちゃ丁寧です。

「お」を付けることで「親しみやすさ」をアピールしようとしているんです。客商売ですから。

「お正月」関連の言葉(物)で言うと、

「おとそ」「おせち(料理)

があります。あ、「お正月」も「お」が付いたなあ。ニュースだと、

「正月恒例の高校サッカー」

のように「お」は取って「正月」でいいですね。でも「お」が付いていてもそんなに気にはならないですね。例えば、

「お正月休みを故郷で過ごした人たちの"Uターンラッシュ"が始まりました」

というニュース原稿で「お正月」を使っても、違和感はありませんね。

「おとそ」は「お」を取って「とそ(屠蘇)」でもいいですが、「おせち(料理)」は、「お」を取って、

「せち(料理」)」

とは絶対に言いませんね。「おなか」と同じですね。もう、

「『お』が付いて『一語』」

になっていますね。

9月17日、JR名古屋駅前からの中継で「台風18号」の様子を伝えるNHKの女性アナウンサーが、

「お店の人が、後片付けに追われています」

と言っていましたが、これは「お店」ではなく「お」を取って、

「店の人が」

で良いと思いました。「台風」ですからね。でも「中継」で「女性アナウンサー」ということを考えると「お店」でも、視聴者はそんなに違和感は持たないのかもしれません。

そして今、若い記者(ディレクター)M君から、

「『見合い』と『お見合い』は、どっちでしょうか?僕は『お見合い』だと思うんですが、デスクが『見合い』だと言うんです・・・」

という質問を受けました。

「文脈によるなあ。どんな文脈で出て来るの?」

と聞くと、

「フィリピン人女性との"偽装結婚"のニュースなんですけど・・・」

とのこと。

「それは『犯罪』に関わるニュースだから『お』はそぐわないね。『見合い』でいいな」

と言うと、

「わかりました!」

と編集室に戻って行きました。

(2017、10、2)

2017年10月 3日 15:15 | コメント (0)

新・ことば事情

6481「スピード離婚」

先日、結婚から「3年で離婚」した、俳優の満島真之介さんのニュースを扱った際に、

「スピード離婚」

という見出しを使ってしまいました。放送後に、

「3年で離婚というのは『スピード』離婚なのか?」

という疑問がスタッフから出ました。言われてみれば、確かに、

「3年という結婚生活は、短い」

ですが、

「『スピード離婚』というほどは、短くない」

気がします。昔よく言われた、

「成田離婚」

のようなのは「スピード離婚」ですが、「3年」は、そこそこ長い。

「スピード離婚」が使えるのは、

「結婚から1年以内ぐらい」

が目安ではないでしょうか。あ、これって、

「『新婚』はいつまでか?」

というのと似てますよね。一般的には「1年以内」ですが、本人たちにとっては、

「子どもが生まれるまで」「3年以内」

という人が多いのではないでしょうか?(特に女性は。)

そう思っていたら、また出て来ました「スピード離婚」

今度は、女優の尾野真千子さんで、

「2年で離婚」

でした。うーん、「2年」も、たしかに早いが、「スピード離婚」とまでは言えないのでは?「スピード離婚」は「1年以内」に使いましょう。

×「尾野真千子(35)スピード離婚」

→○「尾野真千子(35)わずか2年で離婚」

と直したのですが、

「当日の項目デスクがOKしたので、きょうは『スピード離婚』でいく」

となりました。

「スピード」を強調することでニュースバリューを上げたいという意図はわかるのですが、

「使えば使うほど、その効果は低減する」

ことも考えておかなければなりません。今後、要検討ですなあ。

(2017、10、2)

2017年10月 3日 10:24 | コメント (0)

新・ことば事情

6480「ぼやき川柳」

9月30日のNHKラジオ第一の「ぼやき川柳」、久々におもしろかったなあ。車に乗っている時ぐらいしか、ラジオは聞かないのだけれど、たまたまその日は「当たり」でしたね。

覚えているものを書き連ねると(記憶に頼っているので、少し違うかも知れません。悪しからず。)

「棺桶の ガラスの窓が 曇ってる」

「弁当に ノリで"ハズレ"と 書いてある」

「俺の肩 触れればちょっと よろけるぜ」

「包丁が悪いと 妻のみじん切り」

「朝起きて ヒヤッと便座 秋を知る」

特に最初の、

「棺桶の ガラスの窓が 曇ってる」

って、これはもう事件ですよ!なんで客観的に落ち着いて川柳なんか読んでるのよ、警察呼んで!!っちゅう話でしょ。中の人、まだ生きてるで!

単にガラスが汚れてるということも?そうそう、これ使い回しの棺桶で・・・のわけ、ないいやんか!「中古の棺桶」はイヤでしょう、中の人も周りの人も!大体、焼いちゃうんだから、「中古の棺桶」なんて、残ってないよ

最後の、

「朝起きて ヒヤッと便座 秋を知る」

も、なんか季節を感じますなあ。これは「川柳」と言うか、ちゃんと「俳句」ですね。

最後の「秋を知る」は「秋を知り」の方がいいかな、「しり(尻)」だけに・・・。

才能とウイットに富んだ皆さんが、このラジオを聞いているんだなあと、車の中で声を上げて笑いながら感心したのでした。

(2017、10、2)

2017年10月 2日 21:48 | コメント (0)

新・ことば事情

6479「臍帯血か?さい帯血か?」

「臍帯血」

「臍」は「サイ」と読みますが、訓読みでは「へそ」

つまり、「臍帯(サイタイ)」は、

「へその緒」

のことですね。その「へその緒」の中の「血液」には、特に細胞を造る力があるということで、白血病などの治療に活用されています。

あらかじめ、「臍帯血」を保管しておくところを「臍帯血バンク」と言います。これは本来、「献血」と同じで、

「臍帯血を必要とする他人へ、ボランティアとして自分の臍帯血を寄付したものを保管する」

ものでした。ですから「臍帯血バンク」も「公的機関」でした。

しかし、「臍帯血バンク」が広がるにつれて、

「自分や子供などが、将来、白血病などになったときに、自分で使えるように保管しておく」

という営利企業としての「民間の臍帯血バンク」も出来てきました。もちろん、保管のためには費用が必要ですから、それは自己負担で払わなければならないのですが、民間の営利企業ですから、営業が立ち行かなくなると、潰れることもあります。また、臍帯血バンク登場から20年ほどがたち、設備の更新などで、当初思っていたより費用が掛かり、潰れるバンクも出て来ました。

そういったバンクが保管していた「臍帯血」を違法に売買していた業者が逮捕されました。

私が注目したのは、表記のほう。「臍帯(さいたい)血」と「臍」を漢字を使うか、「さい帯血」と「平仮名」で書く課?でした。

2017年9月12日の各紙夕刊では、

*「臍帯血(さいたいけつ)」=朝日・日経・産経

*「さい帯血」=読売・毎日

と分かれていました。

放送では各社「平仮名」を使った交ぜ書きで、

「さい帯血」

のようです。

(2017、10、2)

2017年10月 2日 15:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6478「エロ歯科医院」

車を運転していたら、左手に見えたビルの「看板の文字」に目が留まりました。そこには「縦書き」で、こう書かれていたのです。

え?「エロ歯科」!?そんな名前って・・・

と思っていると、信号が変わって車が少し進み、電柱で隠れていた左側の部分の、

「さんずい」

が見えて来ました。看板の文字は、

だったのです。良かった・・・。

(2017、10、2)

2017年10月 2日 12:25 | コメント (0)