新・ことば事情
6467「他力本願」
9月18日の「ミヤネ屋」の原稿とスーパーを事前にチェックしていたら、
「他力本願」
という言葉が出て来ました。
この言葉は、もともとは「仏教用語(浄土宗)」で、『広辞苑』によると、
*「他力」=仏・菩薩の加護の力。浄土門において阿弥陀仏の本願の力により往生することをいう。
*「他力本願」=阿弥陀仏の本願
*「本願」=(仏)仏・菩薩は過去世(かこぜ)において立てた衆生救済の誓い。阿弥陀仏の四十八願など。請願。宿願。本誓(ほんぜい)。
とあります。
随分昔(14年前)の関西地区新聞用語懇談会で、
「『他力本願』を、宗教上の使い方でない使い方(「人頼み」という意味で使う)だと必ずクレームが来る。先日も某社の全面広告で『他力本願』を使ったら、お寺さんからクレームが来た。」
という意見が出されたことがありました。
また最近(2年前)の用語懇談会でも、関西の放送局から、
「他人に頼る意味での『他力本願』などと使って抗議を受けたりしたことがあるので、使わないようにしている」
という意見が出されました。
でも、同じ『広辞苑』には、「他力本願」の2番目の意味として、
「転じて、もっぱら他人の力をあてにすること」
と載っています。しかし、トラブルを避けるために、今回は、
「他人(ひと)頼み」
という表現に変えて放送しました。