新・ことば事情
6464「再上陸」
「台風18号」は、最初に、
「鹿児島県南九州市」
に上陸した後に、四国の、
「高知県宿毛市」
に「再上陸」し、その後、瀬戸内海を渡って、今度は近畿地方の、
「兵庫県明石市」
に「再上陸」して北上し、さらには日本海に出てから、
「北海道 檜山(ひやま)地方」
に「再上陸」しました。そして内浦湾を抜けて、
「北海道 胆振(いぶり)西部」
に「再上陸」。結局合計「5回」も、日本列島に上陸したのです。
これは珍しいのではないでしょうか?(あとで知りましたが、九州・四国・本州・北海道の「四島全て」に上陸した台風は、観測史上初めてということでした。)
普通は上陸したら、勢力が衰えて足早に列島を過ぎ去り、「温帯低気圧」に変わるものが、これまではほとんどだった気がします。「台風18号」は最後まで勢力を落としませんでした。
その際に「高知県宿毛市」への「上陸」は「再上陸」でいいのですが、
「兵庫県明石市」への上陸は、
「再々上陸」
ではないでしょうか?さらには「北海道への上陸」は、
「再々々上陸」「再々々々上陸」
なのではないでしょうか。もちろん、何回上陸しても、
「複数回=再」
で表すこともできますが。同なんでしょうか?いや、どうなんでしょうか?
気象予報士の蓬莱さんに尋ねたところ、
「うーん、気象庁の発表ではそもそも『再上陸』とは言いませんね。全て『上陸』ですね」
とのこと。そうだったのか!じゃああとは、報道する側の判断になるわけですね。
関連で言えば、「第3次安倍内閣」が、ことし(2017年)の8月3日に「内閣改造」を行って大臣を入れ替えた後に、どう呼ばれているかで?すが、新聞などは、
「第3次安倍・第3次改造内閣」
としているようです。しかし、
「ダイサンジ、ダイサンジ」
と繰り返されると、
「大惨事」
が起きたみたいで落ち着きません。
最初の「第3次」というのは、11年前の内閣が「第1次」。これは実は衆議院選挙を経験していません。前任の小泉首相から「禅譲」のような形で「自民党総裁」となって、「首相の座」に付きました。次に2012年に当時の民主党から政権を奪った際にできたのが「第2次」。これは朱印船を経ています。そして3年前、2014年の衆議院選挙の後にでできた内閣が「第3次」なのです。つまり、最初を除いて、
「衆院選挙を経てできた、同じ首相の内閣の回数」
を「第○次」と呼び、衆院選挙を経ない「内閣改造」は、単なる、
「改造内閣」
であり、最初が「改造内閣」、次が「再改造内閣」もしくは「第2次改造内閣」で、もう一回改造すると、今回のような「第3次改造内閣」になるのです。
それを日本テレビ系列では、
「第3次安倍 再々改造内閣」
と呼んでいますが、もう「第3次安倍内閣」での「改造内閣」は限界です。次もし改造したら、
「再々々改造内閣」
となって言いにくし、何回「サイ」と言ったかがよく分からないです。
ということで、回数分「再」を付ければいいというものでもないなあと思いました。
でも、「内閣改造」の前に「衆院選」になるようだし、もしかしたら首相も変わるかもしれないので、この面での「再」については、悩まなくて良さそうです。