新・ことば事情
6454「『詐取』と『威迫』」
ニュースでは時々、聞き慣れない言葉が出て来ます。先週から今週にかけては、
「詐取」
という言葉が出て来ました。神戸の橋本健・元市議が、政務活動費を、
「だまし取った」
疑いがあるというニュースがありました。この「だまし取る」は「詐欺」の「詐」と「取る」で、
「詐取」
と言います。
「サシュ」
と読むのですが、聞き慣れない言葉ですね。
聞き慣れないということで、若いディレクターがこれを間違えて、
「搾取」(サクシュ)
と出してしまいました。「搾取」は「だまし取る」のではなく、
「しぼり取る」
ですね。意味が違います。
「農民から税金を搾取する」「ブラック企業が、労働者から搾取する」
のように使いますね。
また、今週は、
「威迫」
という言葉が出て来ました。
「イハク」
と読みます。「脅迫」と「威圧」が交ざったような見慣れない言葉ですが、意味は、
「他人をおどして従わせようとすること。脅迫」(「広辞苑」より)
です。その意味では「脅迫」でも良さそうですが、弁護士などの発言で「威迫」と出て来たら、そのまま使わざるを得ないですね。今回はマルチ画面に出すに当たって、念のため、
「いはく」
とルビを振りました。