新・ことば事情
6431「血量」
見たら、意味はなんとなく分かるけど、普通は使わない言葉を、飛行機の中で読んだ全日空の機内誌『翼の王国8月号』で見つけました。それは、
「血量」
という言葉です。
意味は恐らく、
「血の量」
なんでしょうかね。でも、「殺人事件」でも「下血」でもないんだから、なぜ「血の量」が・・・あ、そうか!「競馬」だから、
「血統」
が関係しているのかな?
帰って来てからネット検索すると、「競馬用語辞典」というサイトで
「奇跡の血量」
という単語が引っかかりました。「翼の王国」の記事も「奇跡の血量」だった!
それによると、
「3代目と4代目に同一の祖先を持つと血量がその祖先の18.75%となるが、こうした馬が過去の名馬に不思議と多く、奇跡の血量とよばれている。 昭和35年に無敗で皐月賞とダービーを制したコダマがブランドフォードの18.75%の血量であったことから、日本でもこの配合がもてはやされた。最近の例としては、トウショウボーイ、マックスビューティなどが挙げられる。もっともそうした馬が全て走るというわけではなく、走る馬に多く見られる、ということ。」
と、直接「血量」の説明ではありませんでしたが、やはり「血統」に関わりがありそう。さらに、「ゼロから始める競馬入門」というサイトでは、
「1世代前:血量50%
2世代前:血量25%
3世代前:血量12.5%
4世代前:血量6.25%
このように世代を追うごとに血量は1/2で計算されます。」
とありました。ということは「血量」は、
「世代ごとに伝わる血の量の割合」
のことでしょうかね?「競馬」をやらないので、わからないけど。
これはやはり、「アノ人」に聞かないと!ということで、競馬実況でおなじみ、
「関西テレビの石巻ゆうすけアナウンサー」
に聞いてみたところ、以下のようなお返事を頂きました。
「『血量』は競馬用語の中でも血統で使われる言葉です。『奇跡の血量』という言葉があり、ある馬から父方、母方にさかのぼり、それぞれ3代前と4代前(逆でも可)に同じ種牡馬がいる場合『奇跡の血量』という表現をします。
名馬の血統を調べると、この『奇跡の血量』を持った馬が多いことから、この考え方ができました。(逆に「奇跡の血量」を持った馬が必ず走るかというと、全くそんなことはないのが競馬の難しいところです)実際に使う時は、
「オルフェーブルはノーザンテーストの4×3だ」
(父方の4代前と、母方の3代前に、名種牡馬ノーザンテーストがいたということ)
などと言います。概念としては知っていても、牧場関係者やよほどの競馬オタクでない限り、『血量』『奇跡の血量』という言葉をふだん使うことはないですね。」
とのことでした。
石巻さん、ありがとうございます!
よっぽど専門家でないと知らない言葉のようですね、国語辞典にも載っていないし。どうりで私は知らない言葉のはずだ。私が知っているのは、せいぜい、
「血尿」
ぐらいですね。