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『道浦TIME』

新・ことば事情

6477「記録づくしの大ヒット」

9月29日の日本テレビ『スッキリ!!』で、アニメ映画『君の名は』がハリウッドで実写化されるというニュースを伝えた際に、森アナウンサーが、『君の名は』の紹介で、

「記録づくしの大ヒット」

と言っていた(原稿を読んでいた)のですが、これは間違いですね。正しくは、

「記録ずくめの大ヒット」

です。

この「づくし」と「ずくめ」は、よく間違われます。そして間違う場合は、ほぼ全て、

「『ずくめ』と言うところを『づくし』と言い間違っている」

ケースです。ここで、「づくし」と「ずくめ」の意味の違いを、もう一度確認しておきましょう。過去にも書いているはずですから、検索すると、

・平成ことば事情3669「異例づくしか?異例ずくめか?」

・平成ことば事情3871「『づくし』と『ずくめ』」

で書いていました。「平成ことば事情3871」を書いたのが「2010年2月」ですから、もう7~8年経つわけで、その間にまた、違いが知らない人が増えたのかな?

一部、以前書いたものを再掲します。

****************************************

「づ」「ず」「じ」「ぢ」は「四つ仮名」と呼ばれるもので、使い分けが難しいのですが、

「黒ずくめ」は「ず」

「黒づくし」ならば「づ」

なのです。漢字で書くと、両方とも、

「尽くし」

なのですが・・・

『新聞用語集2007年版』によると、

「心尽くし(こころづくし)」

「黒尽くめ(くろずくめ)」

「結構尽くめ(けっこうずくめ)」

となっています。

以下は、過去2回も載せた『三省堂国語辞典』編纂者で、早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんのコメントです。

『『四つ仮名は、「現代仮名遣い」の方針にかかわることで、かなり人為的な、もっといえば恣意的なものですね。「心づくし」に対して、「黒ずくめ」「力ずく」になる理由は、「つくす」や「つく(つきる)」とのつながりが感じられるかどうかによります。漢字で書くと、両方とも、「尽くめ」「尽くし」なのですが、「~づくし」は動詞「尽くす」の意識が残っているのに対して、「~ずくめ」「~ずく」は、もはや動詞とのつながりが感じられなくなっているというわけです。実際、「ずくめ」「ずく」の語源が直感的に分かる人は少ないでしょう。

『日本国語大辞典』によれば、「~ずくめ」は「ヅク(尽)に接尾語メの付いた語」とありますが、語法としてはイレギュラーです。「~ずく」については語源の説明もありません。実際のところ、「尽くす」から来たのか、「尽く(尽きる)」から来たのかも(私にとっては)あいまいです。「出ずっぱり」とか「つまずく」なども、「出突っ張り」「爪付く」という語源を考えれば「出づっぱり」「つまづく」でよさそうなものですが、語源が忘れられたために、本則は「ず」を使いますね。これらと同様でしょう。しかし、それなら「こぢんまり」は「小+ちんまり」から来ていることを意識している人は少ないと思いますが、なぜか現代仮名遣いでは「こじんまり」とはしないのですね。恣意的だと私が思うのは、こういう点です。』

飯間さんは、

『実際、「ずくめ」「ずく」の語源が、直感的に分かる人は少ないでしょう。』

とおっしゃっているのですが、言葉の仕事に就く人は、それが直感的に分かるように訓練・修業を積んでほしいと、私は思います。そして、

「わからなかったら、すぐに調べる・確認する」

この作業がすなわち「実地訓練」であり、「修業」だと思います。

「日々是修業」です。

(2017、9、29)

2017年9月30日 18:54 | コメント (0)

新・読書日記 2017_111

『アキハバラ~警視庁捜査一課 碓氷弘一2』(今野敏、中公文庫:単行本1999、4:ノベルズ版2001、11:文庫版2004、2、25・改版2016、5、25)

「警視庁捜査一課 碓氷弘一」シリーズの第2作。舞台は「秋葉原」。もう20年ほど前なので、秋葉原を舞台にしても「ちょっと古いかな?」というのと、場所が「秋葉原」に限定されてしまったことで、動きが少なくなってしまった。密室感があって、それはそれでいいのかもしれないが、もう少し、舞台は広いほうが面白かったと思う。

それとあまり「碓氷弘一」が主人公じゃない感じがして。「狂言回し」と言うか、「司会者・MC」みたいな感じかな。それがちょっと、物足りなかったです。でも、

「ここ(秋葉原)では何が起こっても不思議じゃない」

とうセリフが出て来るのだが、この本が書かれた後に、例の「秋葉原の無差別殺人事件」(2008年6月8日)が起きたことを考えると、本当にそのセリフが悪い意味で実現してしまって、残念。

そして、この著者の「未来を見通す力」に驚きました。


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(2017、9、21読了)

2017年9月30日 11:23 | コメント (0)

新・読書日記 2017_110

『襲撃』(今野敏、実業之日本車文庫、2016、12、15)

ひと言で言うならば「ハードボイルド」。

「警視庁捜査一課 碓氷弘一」シリーズが近くの本屋さんには無かったので、それに近いかな?と思われるものを買って読みました。でも後で、この登場人物が「警視庁捜査一課 碓氷弘一」シリーズにも出てきて、全部読んでいても問題ない。

こちらの物語も、スリルとサスペンスがあり、面白かったです。


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(2017、9、18読了)

2017年9月29日 15:22 | コメント (0)

新・読書日記 2017_109

『新装版 触発~警視庁捜査1課・碓氷弘一1』(今野敏、中公文庫:単行本版1996、9・ノベルス版1998年10・文庫版2001、4、25初版・2016、5、25改版・2016、12、25改版3版)

今野敏さんの本は去年、『隠蔽捜査』シリーズで初めて読んでハマってしまって、一気にそのシリーズは読んで、新作が出れば読んだ。

その他にもたくさんのシリーズがあるのは知っていたが、ハマると怖いので読まなかったが、この「触発」というタイトルに触発されて買ってしまったら・・・またハマってしまったよ!「一触触発」という四字熟語を、よく若いスタッフが「一触触発」とかに間違うので、注意しましょうね!と言ったその日に、本屋さんで見つけてしまったものだから、買ってしまいました。読んでしまいました。また、ハマってしまいました。

これは「警視庁捜査1課・碓氷弘一」シリーズ。単行本からノベルズ、文庫本になって、改版もされているロングセラー。20年以上前に出ているので、時代背景はちょっと古いが、そんなのは気にならない。しかも爆弾事件が起きるこの本を読んでいる時に、実際にイギリスで爆弾テロが!セレンディピティー!シンクロニシティーの驚き!

一気に読みました。おもしろかった!さっそく、シリーズ2作目以降も買ってしまいました!


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(2017、9、17読了)

2017年9月29日 11:21 | コメント (0)

新・ことば事情

6476「皇室と皇族」

9月28日の「ミヤネ屋」で「皇宮警察」の特集を放送する際、事前チェックをしていたら、タイトルが、

天皇・皇室を護(まも)る皇宮警察」

でした。それを見て、「ちょっと待てよ」と。

というのは、

「皇室」=「天皇+皇族」

なので、

天皇・皇室を護(まも)る皇宮警察」

だと、「皇室」に「天皇」も含まれるので「重複表現」ではないか?ということです。

言い換えれば、

「『天皇』は『皇族』には入らない」

のですね。これを直すなら、

「天皇・皇族を護(まも)る皇宮警察」

にするか、いっそのこと、

「皇室を護(まも)る皇宮警察」

にすればシンプルです。結局

「皇室を護(まも)る皇宮警察」

で放送することにしました。

(2017、9、28)

2017年9月28日 22:18 | コメント (0)

新・ことば事情

6475「恋は盲目2」

平成ことば事情5833「恋は盲目」の続報です。

9月19日のテレビを見ていたらあるバラエティー番組で、お笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢さんが、こんな発言を。

「目の見えない魚は?・・・・・コイ。コイ(恋)は盲目。」

と言っていました。スタジオも「うまいこと言うなあ」という感じでした。

「恋は盲目」

という成句は、使ってもOKという判断だったのでしょうね。差別的な意味は、感じられませんからね。

(2017、9、28)

2017年9月28日 18:39 | コメント (0)

新・ことば事情

6474「二足のわらじ」

9月25日、東京都の「知事」と、新党『希望の党』の「代表」という「2つの仕事(役職)」を務めることになった小池百合子都知事。この状態を指して、

「二足のわらじ(をはく)」

という表現がよく出て来ます。しかし、実は「本来のこの言葉の使い方」としては、

「間違い」

なのです。本来「二足のわらじ」という言葉は、

「泥棒と警察」

のように、

「両立しにくい、相反する2種類の職業を兼ねること」

をいうのです。しかし最近は、

「単に2種類の仕事を兼ねること」

の意味でよく使われています。『精選版日本国語大辞典』によると、

「同一人が両立しにくいような職業や任務を兼ねること。特にばくち打ちが捕吏を兼ねること。」

『広辞苑』では、

「同一人が、料率しないような2種の業を兼ねること。転じて、単に二つの職業を兼ねること。略して『二足の草鞋(わらじ)』とも」

とあり、さらに注釈として、

「本来は、博徒が十手(じって)をあずかるような、仕事が相矛盾する場合をいった」

とありました。

少し前になりますが、2011年12月に開かれた「新聞用語懇談会放送分科会」で、この「二足のわらじ」について質問しました。各社からの意見は、

(NHK・共同通信)ある程度、2つの職業が離れていれば使っても良い。

(TBS)本来の意味では今はあまり使われていないので、仕方ないかなと。

(日本テレビ)相反する職業でなくてもいいが、あまり近い(似ている)職業に使うのはダメ。

(フジテレビ)多少ギャップがあって意外性がある場合に使う。「映画監督が役者も」という場合には使わない。

(テレビ東京)ある程度、本業とは違う職業でないと使わない。

(MBS)本来の意味は教えるようにしているが、意外性のある職業であればOK。

(ABC)「二足のわらじ」はOAではあまり聞かない。

(関西テレビ)「二足のわらじ」の本来の意味を初めて知った。ちょっと違う程度でもOKかと思っていた。

(テレビ大阪)どのくらい離れているか?は、その時々の判断。ただ「昼はうどん屋、夜はステーキ屋」のようなものはダメ。

(NHK)アクセントは本来、×「ニ\ソクノワラジ」→○「ニ/ソクノワラジ」。「魚を

三枚におろす」のアクセントも、×「サ\ンマイニ・オ/ロ\ス」→○「サ/ンマイニ・オ/ロ\ス」。

ということでした。

でも「平板アクセント」の「ニ/ソクノワラジ」って、聞いたことがないなあ。

この会議の後の「2015年」に発行された『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみると、

「ニ\ソクノ・ワ/ラジ」(「二足」は「頭高アクセント」)

「ニ/ソクノワラジ」(「二足」は「平板アクセント」)

の2種類が載っていました。古いNHKアクセント辞典も、その2種類が載っていました。今は「頭高アクセント」が主流ですよね。

・平成ことば事情3366「二足のわらじをはく」

・平成ことば事情3868「二足のわらじ」

・平成ことば事情4508「二足のわらじをはく2」

・平成ことば事情4861「二足のわらじ3」

もお読みください。

(2017、9、27)

2017年9月28日 12:38 | コメント (0)

新・ことば事情

6473「規模感」

9月26日の「ミヤネ屋」で、前日に新党「希望の党」を立ち上げ「代表」となった小池東京都知事に、番記者が朝一番で声を掛けている様子を放送しました。

その際に女性記者は、こう問いかけました。

「(新党の)規模感は決まりましたか?」

この中の、

「規模感」

という言葉が引っかかりました。

「『感』は要らない」

ですよね。単に、

「規模は決まりましたか?」

でいいのですが、それを「婉曲表現」で、やんわりと包む言い方として、

「○○感」

という「語尾」を付けたのですね。

「話し言葉」では「ある」としても、それをテロップで「文字」で書くのであれば、「感」は落として、

「規模は決まりましたか?」

にすべきです。「ミヤネ屋」のテロップでは、そうしました。

(2017、9、26)

2017年9月28日 10:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6472「カンサイ」

9月26日の夕方の「かんさい情報ネットten.」で、黒木アナウンサーが読んでいた裁判のニュースがありました。仕事をしながら聞いていたら、

「枚方(ひらかた)カンサイで」

というフレーズが。

「『大阪府枚方市』は『関西』に決まってるやん!」

と思いながらよく聞いていると、どうやら、「関西」ではなく、

「簡裁」

のようでした。つまり、

「『簡易裁判所』の略」

ですね。

「地方裁判所」「高等裁判所」「最高裁判所」

に関しては、それぞれ、

「地裁」「高裁」「最高裁」

という略称が聞き慣れているので、最初からその略称を使われても戸惑うことはありませんが、「簡易裁判所」の略称の「簡裁」は、ニュースでは聞き慣れません。

同様に、「家庭裁判所」の略の、

「家裁」

も、「地裁」「高裁」「最高裁」という「三審制」では出て来ないので、音だけ聞くと、

「火災」

と勘違いするかもしれません。『家裁の人』という漫画やドラマがありましたけどね。

恐らくこれらの「裁判所の略称」の中でも、「簡裁」が「一番、登場回数が少ない」のではないでしょうか?グーグル検索では(9月27日)

「地裁」 =894万0000件

「高裁」 =377万0000件

「最高裁」= 39万6000件

「簡裁」 = 85万6000件

「家裁」 = 91万8000件

ということで、「地裁」「高裁」に比べると、やはり「簡裁」「家裁」は、

「ひとケタ少ない件数」

しか出て来ませんでした。「最高裁」も少ないですが、それは当然、

「1か所しかないから」

でしょう。ちなみに、それぞれの裁判所の実数は

「地裁」 =50か所(46都府県に各1、北海道に4か所)

「高裁」 =8か所(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)

「最高裁」=1か所(東京)

「簡裁」 =438か所

「家裁」 =50か所

ということです。「簡裁」は意外と数が多かったです。

(2017、9、27)

2017年9月27日 22:24 | コメント (0)

新・ことば事情

6471「『渾』が人名用漢字に」

9月25日の夜中3時頃に、スマホでネットのニュースを見ていたら、

「人名用漢字2999字に。渾身の渾、追加」

という記事がありました。読めますか?

「コンシンの『コン』」

ですよ、「フンドシ(褌)」じゃないですよ!

なんでも「人名用漢字の追加」は、「2015年1月」の、

「巫」

以来の追加だそうです。

ちょっと気を抜いている間に、そんなに人名用漢字は増えたのか!

いや、きっとそれは「常用漢字(2136字)」と合わせての数じゃないかな?

たしか「2007年」に『新聞用語集』が出た時点での「人名用漢字」の数は、

「983字」

でしたから、これに「2010年11月30日改定の新常用漢字」の、

「2136字」

を足すと、

「3119字」

あれ?オーバーするな。じゃあ、「人名用漢字」単独で「2999字」ということ? そんなにあったっけ?

「2009年11月16日」に「平成ことば事情3749密かに増えた人名用漢字」で書いたときは、

「985字」

でした。2007年の「983字」から後に、「2009年4月30日」に「2文字(「祷」「穹)」増えて、「985字」になっていたのです。

しかし同じ「平成ことば事情3749密かに増えた人名用漢字」の「追記」=「2012年1月29日」に、

「2010年11月30日の『常用漢字の改正』に伴って、常用漢字表に追加された129字を削除(うち3字の異体字が、表2へ移動)、常用漢字表から削除された5字(「斤」も人名用漢字の降格予定だった)を追加し、人名用漢字は合計『861字』となったそうです。」

と書かれていたので、「人名用漢字」はこの時点で、

「861字」

ということで、

「常用漢字(2136字)」+「人名用漢字(861字)」=「2997字」

あ、これで計算が合うぞ。

この「2997字」に「2015年1月」の「巫」と、今回の「渾」を足したら、

「2999字」

ですね!やっぱり、「人名用漢字」"単独"で「2199字」ではなく、

「常用漢字(2136字)」+「人名用漢字(863字)」=「2999字」

ということなのですね。納得。

(2017、9、27)

2017年9月27日 19:23 | コメント (0)

新・ことば事情

6470「えっー!」

9月21日の「ミヤネ屋」のスーパーをチェックしていて、何度か見直して気付いたこと。

「えっー!?」

という表記はおかしい。

「えーっ!?」

のはずです。

「っ」は後ろ、「!?」の前に付きます。

理由は、「え」という母音で伸ばし、それが切れる所に「っ」が付くのですからね。

「母音」でないと、音は伸ばせないのです。

(2017、9、25)

2017年9月26日 21:50 | コメント (0)

新・ことば事情

6469「藁をもすがる?」

9月21日の「ミヤネ屋」テロップをチェックしていたら、こんなフレーズが出て来ました。それは、

×「藁(わら)をもすがる気持ち」

という言葉でした。なんだかおかしい。これは正しくは、

○「藁(わら)にもすがる気持ち」

でしょうね。言いたいことは分かるが、間違い。助詞が違うんですね。

×「をも」→○「にも」

です。「をも」使う、似たような表現があります。それは、

○「藁(わら)をもつかむ気持ち」

です。それとの、

「混交表現」

です。たしかに間違いやすい気はしますが、「にも」と「をも」のニュアンスの違い、感じ取ってくださいね!

(2017、9、25)

2017年9月26日 16:49 | コメント (0)

新・ことば事情

6468「阿武咲」

きょう(9月25日)の「ミヤネ屋」で、大相撲の特集をしました。その中で、若手で頑張っているお相撲さんも紹介しました。その中の一人が、今場所(九月場所)で「敢闘賞」を獲得した、

「阿武咲(21歳)」

です。この四股名、読み方が難しいですよね。所属する、

「阿武松部屋」

も難しいですが、これは、

「おうのまつ(べや)」

と読みます。で「阿武咲」の「阿武」は、部屋の名前と一緒で、

「おうの」

と読み、「咲」は、

「しょう」

と読むので、「阿武咲」は、

「おうのしょう」

と読みます。相撲に詳しい方にとっては常識でも、知らない人は読めない。そこで、テロップのオペレーターに、

「『おうのしょう』に、ルビを振ってください」

と頼みました。しかし、そのオペレーターはなんと、

「『敢闘賞』『おうのしょう』」

とルビを振っているではありませんか!

「違うよ!『おうのしょう』のルビは『阿武咲』に振るんだよ!『敢闘賞』は常用漢字なんだから『かんとうしょう』に決まってるからルビは要らないよ!」

と注意してから、「ハッ!」と気付きました。

「阿武咲(おうのしょう)」「敢闘賞(かんとうしょう)」は、共に「脚韻」が、

「しょう」

なんですね!だから間違えたのか!!・・・って、そんなのおかしいでしょ、やっぱり!

ちょっと、シャレてるけどね、

「敢闘賞(おうのしょう)」

とルビを振るのは。

(2017、9、25)

2017年9月26日 12:48 | コメント (0)

新・ことば事情

6467「他力本願」

9月18日の「ミヤネ屋」の原稿とスーパーを事前にチェックしていたら、

「他力本願」

という言葉が出て来ました。

この言葉は、もともとは「仏教用語(浄土宗)」で、『広辞苑』によると、

*「他力」=仏・菩薩の加護の力。浄土門において阿弥陀仏の本願の力により往生することをいう。

*「他力本願」=阿弥陀仏の本願

*「本願」=()仏・菩薩は過去世(かこぜ)において立てた衆生救済の誓い。阿弥陀仏の四十八願など。請願。宿願。本誓(ほんぜい)。

とあります。

随分昔(14年前)の関西地区新聞用語懇談会で、

「『他力本願』を、宗教上の使い方でない使い方(「人頼み」という意味で使う)だと必ずクレームが来る。先日も某社の全面広告で『他力本願』を使ったら、お寺さんからクレームが来た。」

という意見が出されたことがありました。

また最近(2年前)の用語懇談会でも、関西の放送局から、

「他人に頼る意味での『他力本願』などと使って抗議を受けたりしたことがあるので、使わないようにしている」

という意見が出されました。

でも、同じ『広辞苑』には、「他力本願」の2番目の意味として、

「転じて、もっぱら他人の力をあてにすること」

と載っています。しかし、トラブルを避けるために、今回は、

「他人(ひと)頼み」

という表現に変えて放送しました。

(2017、9、25)

2017年9月26日 10:47 | コメント (0)

新・ことば事情

6466「本田真凜選手の『凜』」

シニア転向の初戦を、見事優勝で飾ったフィギュアスケートの本田真凜選手。スゴイですね。その本田選手の名前、

「真凜」

「凜」の字ですが、「凛」ではありません。「凜」です。字体が違うのです。わかりますか?

右側の「つくり」の下が、

「示」

ではなく、

「ノ+木」(「秋」の「へん」と同じ)。

なのです。

というのも、「ノ+木」の「凜」「1990年」「人名漢字」に入りましたが、「示」の「凛」が「人名漢字」に入ったのは「2004年」

そして、本田真凛選手は、

「2001年8月21日生まれ」

なので、その当時はまだ「示」の「凛」は、認められていなかったのです。

ということで、

×「本田真凛選手」→○「本田真凜選手」

です。

平成ことば事情3646「凛か?凜か?」

平成ことば事情4358「『凛凛と』か?『凜凜と』か?」

平成ことば事情5622「凛と凜」

もお読みください。

(2017、9、25)

2017年9月26日 08:46 | コメント (0)

新・ことば事情

6465「天然ガス液」

9月25日の「ミヤネ屋」のパネルをチェックしていたら

「天然ガス液」

という言葉が出て来ました、見慣れない言葉です、私にとっては。

「液化天然ガス(LNG)ではないのか?」

と思って調べたら、違いました。東京電力のHPによると、以下の通りです。

****************************************『天然ガス液(てんねんがすえき)【NGL】』

最近、「天然ガス液(NGL)」という名前をよく聞きます。「液化天然ガス(LNG)」とよく似た名前ですね。

二つとも地中では、気体の天然ガスとして存在しています。

「液化天然ガス(LNG)」は気体のまま地上に取り出したガスを人工的に液化したものですが、

「天然ガス液(NGL)」は地上に産出されると自然に液状になる性質を持っています。また「天然ガソリン」ともいいます。

「天然ガス液(NGL)」は硫黄分や窒素分が少ない、優れた燃料です。

東京電力では、福島県の広野火力発電所などで、この「天然ガス液(NGL)」を使って発電しています。

****************************************

グーグル検索では(9月25日)

・「天然ガス液」 =   7540件

・「液化天然ガス」=32万6000件

ということで、やはりまだ「天然ガス液」というのは、それほど浸透していないようですね。

(2017、9、25)

2017年9月26日 01:45 | コメント (0)

新・ことば事情

6464「再上陸」

「台風18号」は、最初に、

「鹿児島県南九州市」

に上陸した後に、四国の、

「高知県宿毛市」

「再上陸」し、その後、瀬戸内海を渡って、今度は近畿地方の、

「兵庫県明石市」

「再上陸」して北上し、さらには日本海に出てから、

「北海道 檜山(ひやま)地方」

「再上陸」しました。そして内浦湾を抜けて、

「北海道 胆振(いぶり)西部」

に「再上陸」。結局合計「5回」も、日本列島に上陸したのです。

これは珍しいのではないでしょうか?(あとで知りましたが、九州・四国・本州・北海道の「四島全て」に上陸した台風は、観測史上初めてということでした。)

普通は上陸したら、勢力が衰えて足早に列島を過ぎ去り、「温帯低気圧」に変わるものが、これまではほとんどだった気がします。「台風18号」は最後まで勢力を落としませんでした。

その際に「高知県宿毛市」への「上陸」は「再上陸」でいいのですが、

「兵庫県明石市」への上陸は、

「再々上陸」

ではないでしょうか?さらには「北海道への上陸」は、

「再々々上陸」「再々々々上陸」

なのではないでしょうか。もちろん、何回上陸しても、

「複数回=再」

で表すこともできますが。同なんでしょうか?いや、どうなんでしょうか?

気象予報士の蓬莱さんに尋ねたところ、

「うーん、気象庁の発表ではそもそも『再上陸』とは言いませんね。全て『上陸』ですね」

とのこと。そうだったのか!じゃああとは、報道する側の判断になるわけですね。

関連で言えば、「第3次安倍内閣」が、ことし(2017年)の8月3日に「内閣改造」を行って大臣を入れ替えた後に、どう呼ばれているかで?すが、新聞などは、

「第3次安倍・第3次改造内閣」

としているようです。しかし、

「ダイサンジ、ダイサンジ」

と繰り返されると、

「大惨事」

が起きたみたいで落ち着きません。

最初の「第3次」というのは、11年前の内閣が「第1次」。これは実は衆議院選挙を経験していません。前任の小泉首相から「禅譲」のような形で「自民党総裁」となって、「首相の座」に付きました。次に2012年に当時の民主党から政権を奪った際にできたのが「第2次」。これは朱印船を経ています。そして3年前、2014年の衆議院選挙の後にでできた内閣が「第3次」なのです。つまり、最初を除いて、

「衆院選挙を経てできた、同じ首相の内閣の回数」

「第○次」と呼び、衆院選挙を経ない「内閣改造」は、単なる、

「改造内閣」

であり、最初が「改造内閣」、次が「再改造内閣」もしくは「第2次改造内閣」で、もう一回改造すると、今回のような「第3次改造内閣」になるのです。

それを日本テレビ系列では、

「第3次安倍 再々改造内閣」

と呼んでいますが、もう「第3次安倍内閣」での「改造内閣」は限界です。次もし改造したら、

「再々々改造内閣」

となって言いにくし、何回「サイ」と言ったかがよく分からないです。

ということで、回数分「再」を付ければいいというものでもないなあと思いました。

でも、「内閣改造」の前に「衆院選」になるようだし、もしかしたら首相も変わるかもしれないので、この面での「再」については、悩まなくて良さそうです。

(2017、9、22)

2017年9月25日 22:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6463「再当選」

9月6日の「ミヤネ屋」で、ダブル不倫疑惑で民進党を離党した、

「山尾志桜里衆院議員」

について特集しました。

その際に、山尾議員は実は一度「落選」していて、

「2014年に2度目の当選」

を果たしているのですが、これを指して、

「再当選」

とするのか?それとも、

「再選」

とするのか悩みました。というのは、

「『再選』には『連続当選』のイメージがある」

からです。

結局、ディレクターなどとも話をしいて

「再当選」

にしました。『広辞苑』を引くと、

*「再選」=再度選挙すること。またサイドの当選

とあって

「連続当選かどうか」

は記されていません。「再び当選する」のことを「再選」と言うのだと考えれば、山尾議員の場合も、

「再選」

で、問題ないようにも思うのですが・・・。

(2017、9、22)

2017年9月25日 20:33 | コメント (0)

新・ことば事情

6462「知らんけど」

「ネットでホテル予約ができる」

のは当たり前ですが、その料金を比較できるサイトに「トリバゴ」がありますね。

そのコマーシャルに出ているアメリカ人女性が、日本語をしゃべっているように見えて、かなり流暢なので、少し映像と音声に、齟齬と言うか違和感がありました。

「『アテレコ』で、誰か別の人が話しているのかな?」

と思っていました。ところがこの女性、実は、

「大阪のUSJの元スタッフ」

で、「実際にあの日本語をしゃべっている」ということを、バラエティー番組に出演して日本語で話していました。そうだったのか!

彼女は、実際に大阪で暮していたので、

「大阪弁」

が身に付いたそうです。司会者から投げかけられた、

「典型的な大阪弁は?」

という問いに対し、彼女は、

「大阪人は、何か話した最後に『知らんけど』と付ける」

と。なるほど!たしかにたしかに、絶対そういう傾向、ありますよね!知らんけど。

ということで、「今年の我が家の流行語大賞」は、

「知らんけど」

に、もう決定しました。ちなみに「去年の我が家の流行語大賞」は、

「残念ですね」

でした。知らんけど。

ところでこの「知らんけど」を、使ってないけど使っているに等しい人を思い出しました。

ある国の首相です。

「『そもそも』という言葉に『基本的に』という意味がある」

と、こじつけたり、

「一つ一つ丁寧に説明する」

と言ったにもかかわらず、その説明の舞台である「臨時国会」開催の要求に応えず、ようやく開くとなると冒頭に解散をしようとして、解散の真偽などについて聞かれると、

「いちいち説明することは避けたい」

と言って海外に逃げたり(国連総会出席のためだけど)、まあ本当にあきれるばかりです。

これらの発言の後ろには、もしかしたら、

「知らんけど」

が付いているのではないか?

「『そもそも』には『基本的に』という意味がある。知らんけど」

「一つ一つ丁寧に説明する。知らんけど」

などと付けてみると、ちょっと納得するような・・・。

しかしこの「知らんけど」は、「一般の大阪人」は使ってもいいけれど、

「『政治家』は絶対に使ってはいけません。」

たとえ「心の中」ででも、です。

「政治家は2万パーセント、使ってはいけない言葉」

なのです!・・・・・知らんけど。

(2017、9、22)

2017年9月25日 17:32 | コメント (0)

新・ことば事情

6461「空施錠」

<2015年11月23日に書きかけました>

先日、近くの百貨店にある、

「無料の冷蔵ロッカー」

で見かけた注意書きに、こんな文字が。

「ほかのお客様のご迷惑となる占有使用・空施錠は固くお断りします。」

この中の、

「空施錠」

という言葉に目が留まりました。

「カラセジョウ」

と読むのでしょうね。意味は、おそらくですが、

「そのロッカーに、何も入れないまま鍵をかける」

ということでしょうが、一体、何のためにするのでしょうかね。

これから買い物をして、その後に「無料の冷蔵ロッカー」を使いたいけど、もし、買い物が終った後に、全てのロッカーが使われていたら困るから、空いている今のうちに占有しておこう、ということなのでしょうか?そんなことをする人、いるんだ!?

以前よく、会社の食堂で見かけた、

「座席をまず確保するために荷物を置いておいてから、セルフサービスのカウンターに昼食を注文しに行く人」

のようなものなのでしょうか。

今一つ、この注意書きの指す現象の「意図」が分からなかったのですが、「空施錠」という言葉に、目が留まったのでした。

(2017、9、22)

2017年9月25日 15:28 | コメント (0)

新・ことば事情

6459「病気の表現」

2017年5月16日の「ミヤネ屋」で、モデルの道端アンジェリカさんに、中継で生出演してもらって、彼女が、

「乾癬(かんせん)」

という皮膚病で悩んでいるという話をしてもらいました。その際のテロップをチェックしていたら、

「恐ろしい乾癬(かんせん)」

という表現がありました。病気の表現として「恐ろしい」はダメ。それによって、

「差別を誘発する恐れがあるから」

です。既にその病気になっている人・家族などの気持ちを考えるべきです。

「事実を述べる」のと「感情を言葉にする」のは違います。そこで、

×「恐ろしい乾癬(かんせん)」→○「治りにくい乾癬(かんせん)」

○「皮膚病・乾癬(かんせん)」など。

と修正して放送しました。

翌週の5月22日の「ミヤネ屋」で、今度は「認知症」を取り上げました。ジョン・レノンの妻だったオノ・ヨーコさんが、

「レビー小体型認知症」

にかかっているというニュースを扱ったのです。その際にも事前のチェックで、

「『レビー小体』恐怖の症状」

というテロップが。

いたずらに「病気の恐怖」をあおる表現はダメですから、これも、

×「レビー小体」恐怖の症状→○「レビー小体」症状

と修正して放送しました。

『読売テレビ放送基準ハンドブック2014』には、「障害」に関しては、

「精神的・肉体的障害に触れる時は、同じ障害に苦しむ人々の感情に配慮しなければならない」

という記述がありますが、「病気」もそれに準じますね。

(2017、5、24)

2017年9月21日 18:23 | コメント (0)

新・ことば事情

6460「局地的に雷を伴って」

9月17日夕方6時頃NHKのニュース。「台風18号」が接近していました

男性アナウンサーは、

「局地的に雷を伴って強い雨の降る恐れがあります。」

という文章を、

「局地的に雷を伴って、強い雨が降る恐れがあります」

で切ったのですが、それは恐らく読み方が違います。正しくは、

「局地的に、雷を伴って強い雨が降る恐れがあります」

というように、「局地的に」で切り「雷を伴って強い雨が降る恐れがあります」までをつなげて読む、ですね。文章の意味は、そちらの方が伝わります。

同じ文章でも、切る所によって違ってくるという話。

似たような例は、きのう(9月19日)の「ミヤネ屋」でもありました。

前日、3か月ぶりに公の場に姿を現した、

「このハゲー!」「ちーがーうーだーろー、違うだろっ!」

発言で問題になった「豊田真由子議員」の会見の様子を報じました。その際に、

「本当の会見の狙いは」

というスーパーがあったのですが、

「本当の」

がかかるのは「会見」ではなく「狙い」にあるのですから、この距離は縮めた方が分かりやすい。そう考えて、

「会見の本当の狙いは」

に変更しました。

(2017、9、20)

2017年9月21日 22:07 | コメント (0)

新・ことば事情

6458「躓(つまづ)き」

9月18日の「ミヤネ屋」のテロップを、いつ時ものようにチェックしていると、

「躓き」

という難しい漢字が使われていました。もちろん、

「常用漢字ではない」

ので、「平仮名」で書くか、「ルビを振って」使わないといけません。

しかし、発注したディレクターもそれが分かっていたのでしょう、ちゃんと

「躓(つまづ)き」

ルビが付いていたので、安心して「○」を付けました。

しかし3回目ぐらいの見直しの際に「ちょっと待てよ」と。ルビは、

「つまづ(き)」

でいいのかな?もしかしたら、

「つまず(き)」

なのでは?と思って調べてみると、案の定、

「つまず(き)」

でした。「づ」と「ず」の使い分けは本当に難しい、ややこしいです。

(2017、9、20)

2017年9月21日 13:56 | コメント (0)

新・ことば事情

6457「水圧で浮く」

「台風18号」で大きな被害を受けた九州の様子を、9月18日の「ミヤネ屋」でお伝えしました。その際に、「床上浸水」した家の状況を表したテロップに、

「畳は水圧で浮く」

というのがありました。最初の何回かのチェックでは見逃していたのですが、

3回目ぐらいに見た時に、「ちょっと待てよ」と。

「浮く」のは「浮力」です。「水圧」だと押し付けられて「沈む」はず!

実際の映像では、畳は、

「浮いて」

いました。とすると、

「水圧で」

が間違い。ということで、「畳は水圧で浮く」というテロップは、

「畳は浮き上がる」

に変更して放送しました。

(2017、9、20)

2017年9月21日 10:55 | コメント (0)

新・ことば事情

6456「『ワシントン・ポスト』紙電子版」

「外国の新聞名」の表記では、

「ワシントン・ポスト」紙

のように、「 」の後ろに、

「紙」

を付けていますが、

「電子版」

の場合は「紙」ではないので、「紙」は要らないんじゃないかなあと思います。つまり

「ワシントン・ポスト」電子版(今月25日)

でいいんじゃないかな。

まあ別に、「紙の新聞」でも「紙」を付けずに、

「ワシントン・ポスト」

でいいとは思うのですが。また、「紙の新聞」だと、

「ワシントン・ポスト」今月25日付

と言うように、

「付」

を付けます。これは、その「日付」は、必ずしも、

「発行された日とは限らない」

からです。日本の新聞の場合でも、いわゆる「夕刊紙」は、

「日付の前日に、『次の日の日付』を付けて売っている」

からです。そういうことがあるので、

「あくまで新聞に記された日付」

という意味で「付」を付けるんですね。でも「電子版」、つまり「インターネット」であれば、

「記された日付は、発行日」

ですもんね。わざわざ「付」を付けなくてもいいと。

細かい話ですが、そういう理由なんですね。

(2017、9、20)

2017年9月20日 21:53 | コメント (0)

新・ことば事情

6455「大楠のアクセント」

ことしの5月3日に放送した「かんさい情報ネットten.」の「若一探検隊」で、香川県の志々島(ししじま)を探検していました。その際に見に行った「巨大のクスノキ」、

「大楠」

を、黒木アナウンサーは、

「オ\ークス」

「頭高アクセント」で読んでいて、違和感がありました。

これは「平板アクセント」で、

「オ/ークス」

ではないでしょうか?

「オ\ークス」

と「頭高アクセント」読むと、英語の、

oaks

に聞こえます。なんか、そんな名前の「競馬のレース」もあったような気がします。

ただ、現地の案内人の女性も、黒木アナウンサーと同じ、

「オ\ークス」

「頭高アクセント」で話していたので、現地ではそう呼ぶのでしょう。

ちなみに「オーク(oak)」は、日本では

「カシ(樫)」

と訳されることが多いのですが、実は、

「ナラ(楢)」

の木だそうです。(平成ことば事情3688「オークは樫か?」参照)。

いずれにしても「頭高アクセント」だと、

「ク\ス(楠)」

に聞こえない感じです。

・・・・といったメールを、4か月前に黒木アナウンサーに送りましたが、きょう(9月20日)、「再放送」していたので、それを思い出して書いたわけです。

(2017、9、20)

2017年9月20日 18:52 | コメント (0)

新・ことば事情

6454「『詐取』と『威迫』」

ニュースでは時々、聞き慣れない言葉が出て来ます。先週から今週にかけては、

「詐取」

という言葉が出て来ました。神戸の橋本健・元市議が、政務活動費を、

「だまし取った」

疑いがあるというニュースがありました。この「だまし取る」「詐欺」の「詐」と「取る」で、

「詐取」

と言います。

「サシュ」

と読むのですが、聞き慣れない言葉ですね。

聞き慣れないということで、若いディレクターがこれを間違えて、

「搾取」(サクシュ)

と出してしまいました。「搾取」は「だまし取る」のではなく、

「しぼり取る」

ですね。意味が違います。

「農民から税金を搾取する」「ブラック企業が、労働者から搾取する」

のように使いますね。

また、今週は、

「威迫」

という言葉が出て来ました。

「イハク」

と読みます。「脅迫」と「威圧」が交ざったような見慣れない言葉ですが、意味は、

「他人をおどして従わせようとすること。脅迫」「広辞苑」より)

です。その意味では「脅迫」でも良さそうですが、弁護士などの発言で「威迫」と出て来たら、そのまま使わざるを得ないですね。今回はマルチ画面に出すに当たって、念のため、

「いはく」

とルビを振りました。

(2017、9、14)

2017年9月19日 18:14 | コメント (0)

新・読書日記 2017_108

『風よ僕らに海の歌を』(増山実、角川春樹事務所:2017、6、8)

放送作家で作家の増山実さんの待望の3作目。増山さんは、以前「ミヤネ屋」でも構成作家をしてくれていて、今も社内で時々顔を合わせます。これまでに、2013年に『勇者たちへの伝言~いつの日か来た道』、2014年に『空の走者たち』が出ている。いずれもスポーツに絡んだ爽やかな小説。

今回は「音楽」「料理」、そして「戦争」「イタリア」「親子」。

「戦争」を除いて、どれも好きなテーマです。「ワイン」がもっと出て来ても良かったなと。

また、前2作の登場人物(バルボン、円谷)も、ちょこっと出て来るんですね。そのあたり、スピンオフ的な楽しさもあって、前の2作を読んでいると「おお!」と思います。前作の主人公が、ゲスト出演しているような感じで。

神戸が主な舞台とはいえ、外国人が主人公なので、どうしても横文字の名前や地名が多く、なかなか頭に入って来なくて苦労しましたが、100ページあたりから、それまでの出来事や人物がつながって、目の前に世界が広がっていきます。

大分、前のページに戻って読み直したりしましたが。最後まで読むと「シチリア」に行ってみたくなりました。「宝塚」にも!(こちらは、先週行きましたが。)

中で気になったのは185ページ、主人公が宝塚に開いたイタリア料理店が繁盛して、伊丹に続いて山口県の「岩国」にも支店を出すという話を、息子がしている場面。

「伊丹はまだ宝塚から近かったけど、今度は電車に乗ってずっとずっと遠くだって。」

と言う場面。恐らくこれは、

「昭和31年(1956年)」

ぐらいの会話だと思われますが、調べてみると、山陽本線の「全線電化」は、「昭和39年(1964年)」で、「姫路まで」でも「昭和35年(1960年)」なので、この会話の頃(昭和30年~31年頃)には、

「まだ「『岩国』へ『電車」は走っていない』

のではないでしょうか?つまり、

「『電車』ではなく『汽車』」

とした方が良かったのではないかなあと思いました。つい、校閲的な見方をしてしまいました。ちなみに会話をしている、主人公の息子「ジュリアーニ」は「昭和15年(1940年)生まれ」、「エリオ」は「昭和22年(1947年)生まれ」だと思われます。


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(2017、9、6読了)

2017年9月18日 21:11 | コメント (0)

新・読書日記 2017_107

『安楽死で死なせて下さい』(橋田壽賀子、文春新書:2017、8、20)

「渡る世間は鬼ばかり」の脚本家である橋田壽賀子さん、92歳。

90歳を超えて現役である(半分、引退しているようではありますが)彼女の「死生観」について書かれた一冊。

最近、本当に「アラハン」(アラウンド100歳)の方の活躍が目立ちますよね。もう完全に「超高齢社会」に突入しているんだということが、よく分かりますね。

橋田さんは、生涯独身だと思っていたら、40歳前の頃に年下のTBSの社員と結婚してたんですね。でも、旦那さんが若くして(60歳ぐらいで)亡くなっちゃって、それ以来、独り身。でも、ずっと旦那さんと一緒にいる気がするんですって。気配を感じると。

先月、大学時代ののグリークラブの同期が、がんで57歳で亡くなり、今月は会社の1期先輩が、57歳の1か月前に突然亡くなり、同じ日に会社の4つ上の60歳の先輩が亡くなっているのが見つかったりし、超高齢化の一方で、若くして亡くなる人も身近にあると、

「死」ということを考えざるを得ませんね。

80歳以上で元気に長生きされている方は、本当に幸せなんだなあと思います。


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(2017、9、10読了)

2017年9月15日 18:22 | コメント (0)

新・読書日記 2017_106

『感情類語辞典』(アンジェラ・アッカーマン+ベッカ・パグリッシ著、滝本杏奈・訳、フィルムアート社:2015,12,28第1刷・2017,2,20第8刷)

これは密かに「ロングセラー」ではないですか!第1刷から2年で「8刷」!

帯に、『三省堂国語辞典』の編纂者である「飯間浩明さん」が、

『「その表現はありだな」。私は両眉を上げた。』

と推薦文を書いているので買ったのです。

「愛情」「圧倒」「あやふや」「安堵」「怒り」「いらだち」・・・など「アイウエオ順」に並べられた「感情」項目に関してのいろいろな表現が、それぞれ2ページ「見開き」で並んでいる。たとえば役者さんが、その感情を表すのにどういう行動を取ればいいのか?の参考にもなる一冊です。

今、改めて思ったけど、これって「翻訳もの」なんだね。「感情表現」など「擬態語」を

含むだろうし、「翻訳」だと難しいと思うんだけど、それは感じさせないな。


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(2017、5、30読了)

2017年9月15日 11:20 | コメント (0)

新・読書日記 2017_105

『写真アルバム・枚方市の昭和』(樹林社:2017、8、31)

大判で重い写真集。予約制。9250円+税=9990円。つまり1万円。高いけど、資料としての価値はあると思って購入しました。もちろん図書館で見ればいいんだけど、わざわざ見ないでしょ。家に置いておといたら、子どもが何かのきっかけで見るかもしれないじゃない。そういう「きっかけ作り」として置いておく価値はあるかなと思って。買って来たその日に、ざっと眺めました。それでいいと思います。「時代の雰囲気」を知ることができればね。そして新しい発見もあるかもしれないしね。

「きっかけ作り」と言えば、実はまだ全然読んでないんだけど、『昭和天皇実録』。

もう12巻ぐらいまで出ているのも、全部買って家に置いています。「平成」が終ろうとしている今の時代だけに、「昭和」の記録をしっかりと手元に置こうと思ってね。置いてあることに意味があると思っています。


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(2017、9、2読了)

2017年9月14日 21:18 | コメント (0)

新・読書日記 2017_104

『しっくりこない日本語』(北原保雄、小学館新書:2017、8、6)

ベストセラー『問題な日本語』から、もう10年以上か。その間も北原先生は『明鏡国語辞典』の改訂などのお仕事もされている。もう80歳だよね。スゴいです。その後にまたこの『しっくりこない日本語』を、今回まとめられたと。

実は私は、北原先生が編まれた『明鏡国語辞典』がしっくり来ないのだが、その「源」になっているのは「右」の語釈

「人体を対称線に沿って二分したとき、心臓のない方。体の右側」

とあるが、「右」に「心臓がある人」だっているのに、

「心臓のない方」

と断定するのは、例として不適当ではないか?と考えている。

しかも「右」の説明をするのに、

「体の右側」

「右」を使っちゃダメじゃないか!と思っていたが、それは「第2版」でも修正されていないのだ。だから。

でも、この本はタメになりますよ。

第1章は「変な日本語 気になる日本語」。

「基本、ユーザーの責任です」

のように「基本的に」が略された「基本」という形はおかしい(でも、使ってるな)とか、

「来てくれてありがとう」

と孫に言われることの違和感がある(そんなに感じない)とか、

「コーヒーのお客さま」

という場合の「の」の使い方は、融通無碍だから。(それは、そうだ)

「~とは思います」

というように、「と」と断定せずに「とは」と「は」を入れるのは「断定を避ける心情」がにじんでいると。これは共感。また、「きれいになる」の意味での、

「きれくなる」

は、語形に無理があると。これも同感。

「感謝を申し上げる」

の「を」に違和感。「を」は不要!フムフム。政治家に多いよね、この言葉遣い。

そして「フィギュアスケート」の、

「ノーミスをする」

は、確かにおかしい。これは私も書いた。昨今、

「感動を与える」

と言うが、「感動」はするもので「与える」ものではない!といった具合。

「第2章」は、もっと以前から言われている「おかしな言葉遣い」「間違った言い方」を集めてあります。

そして、後半は「対談」が2つ。「梶原しげるさん」との対談と、北原先生のお弟子さんの「鈴木仁也さん」との対談。これは、"雑誌感覚"で、軽く読めます。


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(2017、8、31読了)

2017年9月14日 16:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6453「半紙のタテヨコ」

『校閲記者の目~あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞校閲グループ)を読んでいたら、

「半紙」

の大きさを、

「縦24~26センチ、横32センチ~35センチ」(大辞泉)

と書いてありました。(102ページ)それを見て「おや?」と思いました。

なぜかと言うと、

「縦と横が逆ではないか?」

と思ったのです。習字に使う「半紙」は、

「長いほうが縦、短いほうが横」

で使ったことしかありません。間違っているのでは?と思って『大辞泉』以外の辞書も見てみたんですが、私が見た10種類ほどの国語辞典は、「縦横」に関しては全て、

「『大辞泉』と同じ」

でした。その中の『岩波国語辞典』に、

「元々は横に長いものを、左右に半分に切ったもの」

とありました。つまり元々は、

「縦は同じ長さ(24センチぐらい)で、横は倍の長さ(70センチぐらい)」

の紙だったのですね。

「書き初め」

で縦書きで「初日の出」とか書く紙みたいな感じかな?それとも、旅館などで長押(なげし)や欄間のところに掛かっている「額」に、

「右からの横書き(本当は「縦1文字の縦書き」)」

で書かれているような感じかな?ちょっと小さいか。

つまり、元々の紙を「半分に切った」ので「半紙」というのはわかるし、元々は、

「横が長く、縦が短い形で横書き(縦1文字・縦書き)に使われた」

であろうことはわかるのですが、「半紙」となってしまった現状においては、

「元々の紙で『横』だった部分を『縦』にして使っているのではないか?それならば、長い方を『縦』と呼ぶべきではないか」

と思うのですが、いかがでしょうか?

(2017、9、14)

2017年9月14日 18:33 | コメント (0)

新・ことば事情

6452「足蹴り」

9月13日の日本テレビ『スッキリ!!』内のニュースを見ていたら、ある暴行事件の原稿で、

「足蹴りするなど」

と読んでいました。テロップは、

「蹴るなど」

となっていました。これは、

「足蹴(あしげ)にする」

という慣用句の「足蹴(あしげ)」の「蹴」を「けり」と読んだことから出た間違いではないか?と思っていたら、次に出たテロップでも、

「足蹴り」

と出て、ガックリ来ました。

「蹴る」のは「足」に決まっています。

「手で蹴る」「頭で蹴る」「肩で蹴る」「尻で蹴る」「腰で蹴る」「背中で蹴る」

とは言いません「蹴る」のは「足」です。まあ、あえて「足」以外の言葉を考えても、

「足の裏で蹴る」「足の甲で蹴る」「踵(かかと)で蹴る」「脛(すね)で蹴る」

ぐらいでしょうか?全部「足・脚」の部分であります。まあ「脛」は「蹴る」より「蹴られる」ことの方が多いでしょうが。とにかく、わざわざ「足蹴り」などと言う必要はないのです。

ただ、巷では「足蹴り」という言葉が使われていることは、認識はしています。しかし ニュース原稿に「足蹴り」を使うのはいかがなものか?と思うわけであります。

『広辞苑』で「足蹴」を引くと、意味が2つ載っています。

「あしげ(足蹴)」

  1. 足で蹴ること

  2. 転じて、他人にひどい仕打ちをすること

もしかしたら、この2番目の「転じて」という表現の方が「あしげ」の「1番目の意味」になり、それと区別して本来の「足で蹴ること」という「物理的な暴行」の意味をより強く指すために、

「足蹴り」

という新しい言葉が生まれた、と考えるべきでしょうか?また、プロレスの技で、

「跳び蹴り」

という言葉があることも「足蹴り」という言葉が出て来やすくさせているのではないでしょうか?

と思って、『精選版日本国語大辞典』を引いてみると、なんと!

「あしげり(足蹴)」

が立項されているではありませんか!

*「あしげり(足蹴)」=足で蹴ること。あしげ。*彼女とゴミ箱(1931)<一瀬直行>ゴミ箱「穏順(おと)なしい芥箱(ごみばこ)は男の足(アシ)げりや、吸殻や、唾を我慢しなければならない」

うーん、用例は「昭和初期」だけど、この作家、知らないし、単なる間違いなのでは?と思ってしまいますね。(「ウィキペディア」によると、「一瀬直行(いちのせ なおゆき)」さんは、「(1904227日―19781114日)日本の詩人、小説家。 東京府東京市浅草区浅草吉野町一丁目(現在の東京都台東区今戸一丁目)生まれ。大正大学中退。在学中より詩作を発表。1938年「隣家の人々」で第7回芥川賞候補。」という方でした。)

しかし、『広辞苑』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『旺文社国語辞典』『現代国語例解辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には、「あしげり」は載っていません。

ただ!新語をいち早く取り入れることで知られる『三省堂国語辞典』は、「あしげり」を載せていました!

*「あしげり(足蹴り)」=(格闘技で)足でけること。

そうか「格闘技」、プロレスとか総合格闘技とか、そんな世界で使われていた表現が、若者から広がって来ているのかな?それが「ニュース」の世界にまで入って来たのではないか?というところですかね?

うーん、でも、ニュースでは使ってほしくない表現です。読み間違いのように感じてしまいます。

(2017、9、13)

2017年9月14日 15:02 | コメント (0)

新・ことば事情

6451「党支部福祉部長」

9月5日の「読売新聞・朝刊」の大阪地方面に、こんな「訂正記事」が出ていました。

「4日の柏原市議選立候補者一覧で、大木留美氏の肩書が『党支部福祉部長』とあるのは、『党副支部長』の誤りでした。確認が不十分でした。」

という短いものでした。

そこで、前日4日の「読売新聞」を見てみたら、たしかに

「党支部福祉部長」

と書かれていました。もしかしたら、選挙管理委員会の発表が違っていたかも?と思って、同じ日の他の新聞を見てみたところ、「朝日新聞」と「日経新聞」は、柏原市市議選を載せていませんでした。というか「地方面」が見当たりませんでした。

「産経新聞」と「毎日新聞」は載せていて、ともに、

「党副支部長」

となっていました。選管が間違ったのではなく、「読売新聞」が間違ったようです。

これって、「音」だけ聞くと、

「副支部長」=「フクシブチョー」

「福祉部長」=「フクシブチョー」

は、「全く同じ」で、問題は「どこで区切るか」ですね。

「副・支部長」「福祉・部長」

でも、読むとき・しゃべるときは、そんなところで切りませんから、同じに聞こえてしまいます。

今回のミスは「聞き取り」に問題があったのか?それとも単なる「誤変換」なのか?

いずれにせよ、残念ながら「チェック体制・態勢」にも問題があったということでしょうね。「他山の石」にさせていただきます。

なお、9月10日に投開票が行われた大阪・柏原市議選で、大木留美氏は、見事「当選」されました。立候補者は21人、定数は16。大木さんは1394票を獲得して、12位で初当選です。

(2017、9、13)

2017年9月14日 12:33 | コメント (0)

新・ことば事情

6449「署名の数え方3」

「平成ことば事情6445 署名の数え方2」で、

「ミャンマーのイスラム系少数民族"ロヒンギャ"問題で、アウンサーンスーチーさんのノーベル平和賞取り消しを求める署名活動が広がっている」

ということを取り上げ、9月8日付の「毎日新聞」夕刊が、その署名の数を、

「36万5000筆以上」

と「筆」を使ったことなどについて書いたところ、さっそくこの「署名の助数詞」を使う場面が出て来ました。

9月13日の「ミヤネ屋」で、この「ロヒンギャ」の問題を取り上げることになり、担当ディレクターが、

「署名の数え方は、どうすればいいでしょうか?」

と質問して来たのです。

詳しく話を聞くと、このアウンサンスーチーさんのノーベル平和賞の取り消しを求める署名というのは、

「街頭で名前や住所を書いてもらう」

という従来の「署名」ではなく、

「ネット署名サイト」

である、

「チェンジ・ドット・オーグ」

を使ったものだというのです。毎日新聞の記事もよく読むと、そう書いてありました。そうすると、

「『筆』という助数詞の持つ『筆記具』としてのイメージ」

つまり、

「本人が自筆で書いてくれる」

ということからは、少し離れる気がします。パソコンやスマホなどで記入するのですよね。まだ「署名の助数詞」として、「筆」が完全に定着しているとは言い難いと思いますし、ここは「署名」の持つ意味が、

「それだけの人数が賛成した」

ということを示しているので、

「○人分」

という助数詞を使うように指示しました。(9月8日の「毎日新聞」の記事から、さらに署名の人数が増えて「41万人分以上」になっていました。)

あ、そうそう「日本テレビ系列」は、

「アウン・サン・スー・チー」

と「・」を「3つ入れる」ことになっています。(9月8日放送の『ニュース・ゼロ』で確認しました)

NHKも「・」なしで放送しているそうです。

ちなみに新聞は、各社表記が分かれていて、2012年4月の用語懇談会で聞いたところ、「・」を入れないのは「朝日と毎日」。他社は「・」が入ります。

(読売)「アウン・サン・スー・チー氏」

(産経)「アウン・サン・スー・チー氏」

(日経)「アウン・サン・スー・チー氏」

(共同)「アウン・サン・スー・チー氏」

(朝日)「アウンサンスーチー氏」

(毎日)「アウンサンスーチー氏」

です。毎日新聞が「・」をはずしたのは「1996年7月」と古く、その理由は、

『ビルマ語・ミャンマー人の名には、名字と名前の区別がない。この決定以前に、スーチーさんに「ビルマからの手紙」という原稿を頼んだ際、本人と通訳から、「『・』を外してほしい」という要望があり、その原稿に関しては「・」を外した。それが一般記事にも及んで「・」を外すようになった。』

とのこと。朝日新聞も「2011年1月」から外したそうです。

で、ここまで下調べをしましたが、「ロヒンギャ」の項目はこの日の放送から外れました。

(2017、9、13)

2017年9月13日 12:26 | コメント (0)

新・ことば事情

6450「変な汗、かきました」

1年前のこと。(こうやって書きかけになっているものが、もの凄く多いのです。)

2016年8月25日放送の読売テレビの「かんさい情報ネットten.」で、

「魚焼き器が開かなくなった」

という状況で、タレントさん(誰だったか、忘れた。たぶん、浅越ゴエさん)が、

「変な汗、かきました」

と言ったのが気になりました。これはつまり、

「焦った」

という意味合いでしょうが、こういう時に、

「変な汗」

をかくのでしょうか?これは、従来なら、

「冷や汗」

というのではないでしょうか?

グーグル検索では(9月12日)

「変な汗かいた」=2万5200件

で、「アジアのお坊さん」というサイトでは、「2012年5月9日」に、

「変な汗って、どんな汗?」

というタイトルのコラムが書かれています。

https://blogs.yahoo.co.jp/pwbdt973/38075945.html

それによると、

『最近よく聞く、「変な汗かいた」、「変な汗が出てしまった」という言葉。別に芸人やタレントさんがそんな言葉を使ったからと言って、おかしな言い回しをするべきじゃない!などと怒っている訳ではありません。ただ私が気になるのは、普通一般の素人さんたちがそれをまねて、何でもない場面で「変な汗が出た」と言ってる時です。「変な汗が出た」という言葉は、普通だったら汗が出ないような場面で汗が出るから、「変な汗が出た」なのでしょう?ただ単に、汗をかくほどあせって困ったというだけなら、「汗をかいた」でいいんじゃないですか?』

と記されていました。

同感ですね。

(2017、9、12)

2017年9月13日 16:23 | コメント (0)

新・ことば事情

6448「1分5秒」

お昼の弁当を買いに会社の隣り(歩いて1分30秒)のコンビニへ行き、

「おろしハンバーグ弁当」

を買いました。

このコンビニでは、店員さんがお弁当を温めてはくれません。

店員さんがいるレジから少し離れた所に、電子レンジが5台も並んでいて、

「セルフサービスで温める」

のです。そしてレジで店員さんが、お弁当ごとに異なる「温める時間」を口頭で教えてくれるのです。(まあ、お弁当に「レンジ加熱目安」の時間が書いてあったんですが。)

店員さんが私に告げた、「おろしハンバーグ弁当」の1500Wのレンジでの「あっため時間」は、なんと、

「1分5秒」

だったのです。店員さんに、

「1分5秒!えらい細かいですね?」

と言うと、元気よく、

「ハイ!」

と笑顔で答えてくれましたが、

「1分5秒って、ここの電子レンジで『5秒』まで計れるんですか?」

と聞くと、

「・・・いえ、『10秒刻み』です」

「ええ!じゃあ、ダメじゃないですか!」

とは、もちろん言わず、

「ああ、じゃあ『1分10秒』にセットして、残り5秒になったら『ストップ』を押せばいいんだね」

と言うと、明るい笑顔で、

「ハイ!」

と答えてくれました。ちなみに、若い「男性店員」でしたが。

そしてきっちり「1分5秒」、レンジでチンしたところ、熱くなり過ぎたのでした・・・。

会社からコンビニまで往復に掛かった時間が「3分」で、チンするのに「1分5秒」で、弁当を選ぶのに「1分30秒ぐらい」かかっていますから、合計でも「5分強」の出来事でした。

(2017、9、12)

2017年9月13日 12:22 | コメント (0)

新・ことば事情

6447「PAC3の射程」

<去年(2016年)の2月に書き始めました。>

2016年2月8~25日に行われると通告された、北朝鮮の人工衛星と称するミサイル発射に備えて、2月4日、迎撃ミサイル「PAC3(パックスリー)」が、石垣島と宮古島に配備するために船で輸送されました。

そのニュースを、お昼の「ストレイトニュース」を見ていて、ふと、疑問が。

「PAC3って、どのぐらいの射程があるのだろうか?」

あまりそういった話は耳にしません。調べてみました。(あ、よく使われる「射程距離」という言葉は「重複表現」です。「射程」の中に「距離」の意味が入っているので。)

*『PAC-3ミサイル』

全  長:5.2m

翼  幅:0.48m

弾体直径:0.25m

重  量:315kg

最大射程:20km

最大射高:15km

最低射高:50m

メーカー:ロッキード・マーチン社他

ということは、「射程」は「20km」しかないのか。

近くに来ないと当たらないから、撃てないんだ!着弾の「ターミナル段階」で迎撃するんですね「PAC3」も「THAAD(サード)」も。

ところで、北朝鮮の、というか一般的に「ミサイルのスピード」は、どのぐらいなんでしょうか?つまり、

「最大射程である20km飛ぶのに、何秒かかるか」

ですね。普段、私たちが乗る「飛行機」の速度が「時速900キロ」ぐらいですから、それよりも速いでしょうね。仮に「マッハ1」と想定すると、

「マッハ1=音速=秒速330m」

だから、

「330(m)×60(秒)×60(分)=118万8000m」

ということは、

「時速1188km」(≒1200km/h)

ぐらいかな。「マッハ1」は、飛行機(旅客機)より少し早いね。

調べてみると、「弾道ミサイル」は「マッハ1」よりも格段に早かったのです!

*「弾道ミサイル」→「約7.0km/s」=「2万8000km/h」

=「マッハ23」

そして、

*「F4ファントム戦闘機」→「マッハ2.4」=「2400km/h」

*「銃弾」→「58km/s」=「209km/h」

だそうです。圧倒的に「弾道ミサイル」は速いんですね!「ピストルの弾」の100倍、速い!「F4戦闘機」の10倍以上、「旅客機」の24倍の速さ!

「時速2万8000km」のミサイルが「20km」の射程に入ってから、目的地に落ちるまでの時間は、

「20(km)÷28000(km/h)=0、000714時間=0、04285分=

2、5714秒」

ということですね。つまり、

「2、6秒で着地」

します。「弾道ミサイル」と「PAC3」が同じ速さだとすると、「着地予想時刻」の

「2、6(秒)×2(=5、2秒)前に『PAC3』を発射」

すると、着地点である宮古島や石垣島から20kmの地点で撃ち落とせるということか。当たれば、の話ですが。

と、ここまでを「去年の2月」に書いて1年半。

もう北朝鮮は「人工衛星」なんてカッコつけていません。堂々と「弾道ミサイル」と言っています。マズイよなあ、これ。

しかも北朝鮮の「大陸間弾道ミサイル・火星14型」は、

「最高高度550km」

を飛んだということは、これは完全に、

「宇宙空間」

ですよね、ミサイルが飛んでいるのは。そもそも「弾道ミサイル」とはそういう物ですが。それを撃ち落とせるのか?昔のレーガン大統領の、

「スターウォーズ計画(SDI)」

じゃないですか。

で、現状は「PAC3」は、弾道ミサイルがかなり近付かないと撃ち落とせないから、もっと「高高度」で撃ち落とせる、

「SM-3」(スタンダード・ミサイル3)

や、

「イージス・アショア」(最大高度1200km)

の配備へというニュースが流れています。「イージス・アショア」は、すぐには配備できないですが。

「SM-3」の迎撃高度は、資料によってまちまちなので、どれが本当かよくわかりません。

米・ロッキードマーチンと三菱重工業が共同プロジェクトとして開発中の、

「SM3ブロックIIA」

は、飛行速度が「マッハ15」(秒速4.5km)で、中距離弾道ミサイルを十分に迎撃できると評価されているそうです。射程は「2500km」。

少し古いデータですが、一応、護衛艦「こんごう」は「2007年2月」の「SM-3」の発射試験で、大気圏外において模擬弾道ミサイルを海上から迎撃することに成功しているそうです。(2008年3月『防衛省 弾道ミサイル防衛』より)

また、「SM-3」の射程は、

「THAAD」(射程200km、最大迎撃高度140km)

よりも、はるかに長く、日本国内の2か所に配備すれば、日本全域を防御できるそうです。

現在「イージス・アショア」は、米・ハワイとルーマニアに配備されていて、北欧防衛のために2018年にポーランドにも配備する計画だそうです。

なんだか、とっても物騒です・・・。

ハッ!!きょうは「9.11」から16年だ・・・。

(追記)

新しく出て、今読んでいる、

『校閲記者の目からあらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞校閲グループ、毎日新聞出版:2017、9、5)

の93~94ページによると、毎日新聞では「THAAD(サード)ミサイル」のことは、

「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」

と表記することになっているそうです。「終末」というのは、着弾直前の、

「ターミナル段階」

の「ターミナル」を訳したんでしょうが、

「ターミナルケア」=「終末医療」

という訳がイメージが強いので、もう日本の命運が「終末」みたいで、嫌ですね。

それなら「ターミナル」のままでいいのでは?思いますが、いかがでしょうか?

(2017、9、13)


(2017、9、11)

2017年9月13日 10:42 | コメント (0)

新・ことば事情

6446「H難度」

去年(2016年)8月に、この、

「H難度」

について書き始めました。というのも、私達世代で「体操の技の難しさ」を示す言葉は、

「ウルトラC」

しかありません。つまり「C難度」です。でももう「C難度」なんて簡単すぎるようで、

「D難度」=difficulty

「E難度」=execusion

と来て、ついに

「H難度」

になっているということについて書こうとして、1年寝かせておいたのです。

すると!2017年9月6日の、いつも読んでいる朝日新聞、

「ことばの広場~校閲センターから」

というコラムで、まさに、

「ウルトラC」

に付いて取り上げていたのです。先にやられた!

記事によると、朝日新聞のデータベースでは「ウルトラC」の記事の初出は、東京五輪が開幕する半年前の1964年4月で、当時の体操の技は「ABCの3段階」だったそうです。「C」が最高段階で、それを超越する技が「ウルトラC」です。

その後、1985年に「D難度」が設定されて、現在は「I」まで上がっているそうです。

え?「H難度」までじゃないの?「I難度」ってまた1段階、上がってるじゃない!・・・「H難度」って、ちょっと「H」な感じがしたから「I」を作った...ということはないと思いますが、

「出た!ウルトラH」

とかの言葉は、アナウンサーは口にしにくいと思います。

コラムは、

「一方で、今でもウルトラCの語が生きているのは、Cが最高難度を指した期間が長く、それだけインパクトが強かったからでしょう」

と記しています。松原雅己記者の記事でした。

(追記)

2017年10月に行われた体操の世界選手権で、白井健三選手が「ゆか」と「跳馬」で金メダル、個人総合で銅メダルを取りました!そして女子では村上茉愛(まい)選手が「ゆか」で見事優勝を果たしました。快挙です!

その中で出て来た「技の難度」ですが、「ゆか」での、

・「リ・ジョンソン」=「G難度」

・「シライ3」   =「H難度」

だそうです。

これは「ゆか」での難度ですが、「同じ技」でも他の種目、たとえば「鉄棒」であると、「難度が下がる」ということもあるようです。

(2017、10、7)


(2017、9、11)

2017年9月12日 23:41 | コメント (0)

新・ことば事情

6445「署名の数え方2」

2008年の7月に書いた「平成ことば事情3317署名の数え方」の続編です。

その後「ミヤネ屋」では、こんな感じで「筆」が出て来ていました。

★2008月12月12日

市岐商の原稿で「署名」の数え方は、

×18万通→○18万筆、18万

~「署名」の「助数詞」は「筆(ひつ)」です。しかし、あまりなじみがないだろうと思い、原稿では「通」を落として数字だけで、「18万もの署名が」と読みました。

★2009年2月25日

パネル「医薬品のネット販売規制」、署名の数(放送は明日に延期予定)

×署名総数約57万件→〇署名総数約57万筆

~署名を数える助数詞は「筆(ひつ)」です。「57万筆」の「筆」の読み方は「ぴつ」あるいは「ひつ」。それ以外に「57万人分の署名」というような言い方もあります。

★2009年3月18日

闇サイト殺人事件の裁判で、

「署名を呼びかけ続けた富美子さん。その数はおよそ32万人分に上った」

という原稿、「署名」の助数詞は、本来は「筆(ひつ)」ですが、「〇人分」も許容ですね。

また、去年秋(2016年11月)の富山での「用語懇談会総会」でも、熊本日日新聞の委員から議題に上がりました。

『有権者や市民が行政や議会に提出する署名活動の数え方を巡り、「○人分」ではなく「○筆」という言い方を見かけるようになりました。小紙のデータベースでは2013年に自社記事で初めて見られ、以後何度か掲載されています。共同通信の配信記事も過去にいくつか掲載例があり、共同通信では署名の単位=「筆」は許容しているとのことでした。ただ、手元にある『広辞苑』『日本国語大辞典』などでは、「筆」は土地の単位であり、署名を数える意味はありません。(その後『三省堂国語辞典』と、2004年に出た飯田朝子さんの『数え方の辞典』(小学館)の115ページに「署名は『筆』で数える」と記載があると聞きましたが、未見です)熊本県市町村課によれば、「条例等では署名を数える単位を定めていない。通常数える時は『人』または『件』としている」。一方、署名を集める側の市民団体等では「筆」の数え方があるようです。小紙ではこれまで、自社記事の地の文で、署名の単位としての「筆」が出てきた際は誤用としてきましたが、各社ではどのような運用をしているか、お尋ねします。なお、先月開かれた「共同通信の加盟社会議」で挙手してもらって聞いたところ、「筆」を使う社と使わない社は「半々ぐらい」でした。』

これに対して各社の委員からは、以下のような意見が出ました。

(共同通信)2014年に出た『三省堂国語辞典・第7版』には載っている。しかし「○人分」で良い。市民団体が「筆」とするのが目立っているので、記事でも出て来るようになった。

(朝日新聞)「筆」はダメ、とはしていない。データベースで検索したのだが、なかなかキーワードが難しくて、「~万筆」「~千筆」で検索したところ、2000年までは「2件」しかなかったのに、その後は「300件以上」出て来た。ほとんどは「地域版」(各県版)の記事だった。発表者(市民団体など)の言葉遣いを、そのまま使っているのでは?自然と広がっている。苦情や問い合わせは、ない。

(毎日新聞)それほど出て来ない。問題なく使われている。読者からのお問い合わせもない。「毎日新聞ハンドブック」の「助数詞」の欄に、「署名」は載っていない。今後加えようかなと思う。

(読売新聞)個人的には「署名」は「人」かなと思った。データベースで、「筆」は数件、出て来た。

(日経新聞)特に「筆」に関する決まりはない。データベースでは「2004年3月」が一番早い(古い)が、件数は少ない。「○人の署名」「○人分の署名」「○件の署名」が多い。

(東京新聞)「筆」は、結構出て来る。「発表モノ」では多い。写真説明(キャプション)で「○筆」になっている例も。ただ、全体としては「○人分」のほうが多い。

(産経新聞)10月21日の2面で「署名活動で100万筆を超え」と出て来たが、特に読者などからの反応はなし。助数詞の間違いに関しての苦情は結構多く、例えば「割り箸」で「○本」と使うと「なんで『○膳』を使わないんだ!」と苦情が来るが、「署名」で「筆」を使ったことでの苦情はない。

NHK)データベースで検索した。調べにくかった。「署名、筆」をキーワードとして検索したところ、この1年で「2件」だった。去年・おととしは「0件」。ほとんど使われていない。放送は「○人分」のほうが聞きやすい。

(ytv)「署名」の数え方で「筆」を載せている『三省堂国語辞典』の「第7版」は、2014年1月(実際は2013年12月)に出ているが、その前の「2008年」に出た「第6版」には載っていなかったので、「2008年~2013年」の間に広まったものではないか?『三省堂国語辞典』の編纂者・飯間浩明氏に「筆」を採用したきっかけについてメールで質問したが、まだ返事が来ていない。(その後、届いたので、ここに載せておきます。)

<例文は、袴田事件で再審開始を訴える署名が「500筆」集まったという文章を、そのまま拝借したものです。私は袴田事件の報道の中でこの文章に触れ、(要求・要請の)署名を「筆」で数えることに気づきました。そこで、他の署名に関する文章にも当たってみましたが、やはり「筆」を使う例が複数見られたので、辞書に意味区分を加えるべきだと判断しました。飯田朝子さんの辞典にも「署名」とありますが、これは著者サインなどの意味の「署名」ですね。『三国』の説明文もそう取れる余地があるので、修正すべきかと思います。:飯間浩明>

(熊本日日)私は「署名、筆、提出」をキーワードに検索してみた。署名を集める側が「筆」を使っており、その例が増えている。そろそろ「筆」を解禁してもいいかな、と思った。

というようなところです。

そして2017年9月8日の毎日新聞夕刊に、署名の「筆」が出て来ました。

ミャンマーのイスラム系少数民族「ロヒンギャ」迫害に無策な、

「アウンサースーチー国家顧問」

が、1991年に受賞した、

「ノーベル平和賞の取り消し」

を求める署名が、

「36万5000筆以上」

集まったという記事でした。去年11月の会議で毎日新聞さんは、

『それほど出て来ない。問題なく使われている。読者からのお問い合わせもない。「毎日新聞ハンドブック」の「助数詞」の欄に、「署名」は載っていない。今後加えようかなと思う。』

と答えてらっしゃったので、ハンドブックの助数詞の欄に、「筆」を加えられたのかもしれませんね。

(2017、9、11)

2017年9月12日 21:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6444「来れる」

さだまさしの『飛梅』という曲を聞いていて「ら抜き言葉」を発見しました。

「来れるといいのにねと」

という歌詞です。「ら抜き言葉」の中でも一番違和感がないのが、「来る」の可能動詞形の、

「来れる」

ですね。本来ならば、「ら」を入れて、

「来られる」

なのですが、やはり随分昔から「来れる」は使われているようです。

さだまさしさんの『飛梅』は、1977年発表のアルバム『風見鶏』に収録されています。このアルバム、持っています。高校の時に買いました。

そうか、もう40年前なのか。少なくともその頃から「来れる」は使われているということですね。

(2017、9、7)

2017年9月12日 19:19 | コメント (0)

新・ことば事情

6443「『退社』か?『退所』か?3」

平成ことば事情6356「『退社』か?『退所』か?」平成ことば事情6380「『退社』か?『退所』か?2」の続きです。

2017年9月8日、稲垣吾郎・草彅剛・香取慎吾の3人のジャニーズ事務所との契約が満了しました。

これを報じた各新聞の表現が、「退社」か「退所」か。ここ数日の新聞は、

(スポーツ報知)9月8・9日「退所」:9月10日「退社」

(スポニチ)退社

(サンスポー)退社

(デイリー)退所

(日刊)ジャニーズ事務所から独立

(産経)退社

(毎日)退社

(朝日)退所

で、けさ(9月11日)の日テレ「スッキリ!!」は、

「退所」

でした。またフジテレビの「直撃ライブ グッディ!」は、

「退社」

でした。

「報知」は、途中で方針を換えたのかな?草彅君のコメントで「退社」と言っていたら、変えたのかな。

また、NHKの過去(ことし6月)の放送原稿では、下記のように、

「契約終了」

「ジャニーズ事務所を離れることに」

「事務所離脱」

という表現を使い「退社」「退所」は使っていないようです。

■元SMAP 稲垣・草彅・香取さんの3人 ジャニーズとの契約終了へ

 2017/06/19 NHKニュース

去年12月に解散した国民的アイドルグループ「SMAP」の5人のうち、稲垣吾郎さんと草彅剛さん、香取慎吾さんの3人が、ことし9月でジャニーズ事務所を離れることになりました。事務所によりますと、木村拓哉さんと中居正広さんは、契約を続けるとしています。ジャニーズ事務所は、昨夜、報道各社に送ったファックスで、SMAPの元メンバー5人のうち、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人について、本人からの申し入れを受けて、現在の契約が切れることし9月8日をもってマネージメント契約を終了すると発表しました。

■元SMAP3人・事務所離脱へ ネット上に惜しむ声 再結成に期待も

2017/06/19 NHKニュース

SMAPの元メンバーの3人がジャニーズ事務所を離れることになったのを受けて、

インターネット上では、ファンなどからさまざまな声が上がっています。

■元SMAP3人・事務所離脱へ 東京・渋谷 びっくり・解散と違った悲しさ

 2017/06/19 NHKニュース

SMAPの元メンバーの3人がジャニーズ事務所を離れることになったことについて、東京・渋谷で聞きました。

「ミヤネ屋」としては今回は、担当ディレクターのTさんの意見を尊重し、草彅本人が「退社」と発言したのに合わせて、ジャニーズ事務所を、

「退社」

に統一ということになりました。

(2017、9、11)

2017年9月12日 10:17 | コメント (0)

新・ことば事情

6442「ボーイング777」

9月5日、羽田空港発の日本航空6便が、左のエンジンから火が噴き出して、引き返すというインシデントがありました。

その飛行機の「機材」は、

「ボーイング777」

でした。このニュースを報じた9月5日の夕刊各紙の表現は、以下の通り。

(読売)日本航空6便(ボーイング777型機)

(朝日)日本航空6便(ボーイング777型)

(毎日)日本航空(JAL)006便(ボーイング777)

(産経)日本航空6便ボーイング777

(日経)日本航空6便ボーイング777

ということで、まあ、大体同じなのですが、「ボーイング」の「型」を「数字だけ」で、

「777」

と表したのが、「毎日・産経・日経」。

「777型」

というのが、「朝日」。

「777型機」

というのが「読売」でした。毎日新聞がちょっと他に比べると独自のような感じですね。「006便」とか「日本航空(JAL)」とか。微妙な表記の違いが、各社あるようでした。

(2017、9、6)

2017年9月11日 19:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6339「セカンドオピニオン」

大阪の環状線に載っていると、前に座っている2人のおばあさんの会話が耳に入って来ました。どうやら、病院に行くところのようです

最近、環状線はUSJができてから(「環状線」やのに)グルグル回らんようになって、乗り慣れてへんので、迷惑やわ。」

それ聞いていた、もう一人のおばあさんは、聞いていたのに全然関係のない話を始めます。

「最近、セカンドオピニオンとかいうのが出てきたんで、それを聞いてみようかなあ、と思て。」

「えらい言葉、知ってはりますなあ」

と一応、驚いた最初のおばあさんですが、また「セカンドオピニオン」とは関係のない、さっきの「自分の話の続き」を始めました。

「便利になりすぎて・・・便利になり過ぎたら、ややこしいですな。尼崎から乗ったら梅田へ行くと思いますやん。それやのに駅員さん、『これ、梅田へ行きませんよ』と。ややこしいわあ。」

普通のおばあさんが「セカンドオピニオン」という言葉を知っていることに、私も驚いたのですが、たぶんですが、

「こういうおばあさんは『セカンドオピニオン』は、聞かないんやないのかなあ。いや、聞かないというか、医者の言うことは、聞かないんじゃないかなあ・・・」

と思いました。

(2017、9、6)

2017年9月 7日 18:40 | コメント (0)

新・ことば事情

6441「安全合格」

9月6日の「ミヤネ屋」の「250(ニーゴーマル)ニュース」(「午後2時50分」ごろに放送するニュースなので、スタッフはそう呼んでいます)の項目で、東京電力が再稼働を目指す新潟県の「柏崎刈羽(かりわ)原発6・7号機」について、原子力規制委員会が「事業者としての新基準に適合していると判断した」というニュースを伝えました。

その、スタジオのマルチ画面に出た項目の見出しが、

「柏崎刈羽原発の安全合格の見通し」

というものでした。これは、事前のチェックで、そのままOKで通してしまったのですが、放送後によく考えると、

「安全」

という文字が気になります。

「新基準に適合した」ということで、

「合格」

は良いのですが、それをもって「安全」と言っていいのか?これは、慎重に表現するべきだったと思います。この見出しだと、

「合格=安全」

という単純な考えにミスリードしてしまうことになり、その意味では「フェイクニュース」的な見出しに取られかねません。

この日の夕刊各紙の見出しは、

(読売)「柏崎刈羽原発『合格』へ

(毎日)「東電 原発新基準合格へ」

(産経)「柏崎刈羽『合格』判断へ」

※朝日・日経はこの記事はなかった。

というもので「安全」と出した新聞はありませんでした。そうあるべきでした。反省。

それにしても、「朝日」と「日経」は、なぜこのニュースを扱わなかったんでしょうね?

(2017、9、6)

2017年9月 8日 10:35 | コメント (0)

新・ことば事情

6440「スイープ」

『ビッグコミック』(小学館)で連載されている野球漫画『フォーシーム』(さだやす圭)を読んでいたら、

「三連勝」

の文字の上に、ルビが、

「スイープ」

とありました。日本だと

「3タテ(を食らう)」

と使うところが、アメリカでは「スイープ」ということですかね。

私は子どもの頃から「サッカー」をやっていて(もう50年ぐらい前ですが)、その頃から、ディフェンス(当時は「フルバック」と言いました)の一番後ろ、ゴールキーパーの前にいて、他のフルバックが突破されたら、それをカバーしてピンチを守るポジションを、

「スイーパー」

と言いました。

「スイープする人」

という意味ですね。「掃除人」。小学校の時、私は「スイーパー」をやっていたんです。

野球の「3連勝」の意味の「スイープ」は、

「当面の対戦相手を、拭い去る」

ということかな?

ここで『ジーニアス英和辞典』で「スイープ(sweep)」を引いてみたら、

「掃く、掃除する」

等の基本的な意味の下の方に、

(選挙に)圧勝する」

「【米】(シリーズなど)に全勝する」

とありました。この「全勝する」ですね、この場合は「アメリカ英語【米】」の。

疑念がすっきりと「スイープ」されました。

(2017、9、6)

2017年9月 7日 21:34 | コメント (0)

新・ことば事情

6438「『乗員乗客』か?『乗客乗員』か?2」

「平成ことば事情5958『乗員乗客』か?『乗客乗員』か?」の続編です。

9月5日、羽田空港を飛び立ってアメリカ・ニューヨークへ向かっていた日本航空6便・ボーイング777型機の左エンジンから火が噴き出たため、飛行機は羽田空港に引き返すというインシデントがありました。

このニュースで「乗客」「乗員」の順番に関して「日本テレビ」は、

「乗客乗員」

の順番で「乗客」が先でした。翌(6日)朝の「TBS」の番組「ビビット」も、

「乗客乗員」

でした。翌(6日)昼の「テレビ朝日」のニュースは、

「乗員乗客」

で、逆に「乗員」が先でした。した。

9月5日の夕刊各紙は、

(読売新聞)乗員乗客 計約250人

(朝日新聞)乗客乗員 248人

(毎日新聞)乗客233人と乗員15人の計248人 

(産経新聞)乗客乗員 計248人

(日経新聞)乗客乗員 計248人

でした。ということで、「乗員」が先に来る「乗員乗客」は、私が見た限りでは、

「テレビ朝日と読売新聞だけ」

になりますね。

(2017、9、6)

2017年9月 7日 18:06 | コメント (0)

新・ことば事情

6437「瞳を閉じる」

<2016年12月1日に書き始めました>

「瞳を閉じる」

という表現、よく使いますよね。たしか、平井堅さんの曲で、

「瞳を閉じて」

というのもあったかと。

でも、よく考えると、厳密(狭義)には

「『閉じる』のは『瞳』ではなく、『まぶた』」

ですね。急に雰囲気が壊れるようなことを言いますが。これって、

「瞳を閉ざす」

ならOKなのかな?つまり「瞳」を「閉ざす」のは何か他の物なので、

「他動詞」

になります。「閉じる」だと、

「自動詞」

なので「瞳」が自ら「閉じる」みたいになるので、違和感があるのでしょう。

「瞳」自体は「自動詞」としては「閉じない」けど、「他者が閉ざす」ことは可能ということですね。これは、「狭義」では、

「まぶたを閉じる」

なのですが、「広義」ではこれを、

「目を閉じる」

と言っても、全く問題ないのと同じでしょうね。

「水を沸かして、お湯にする」

という状態を、

「お湯を沸かす」

と言うのが「普通」なのと同じでは?

そして、きょう(2017年9月5日)、斉藤由貴にキス写真が流出したというニュースで、1987年の斎藤由貴の曲が出て来て、その中で、

「てれた瞳(め)

というのがありました。「瞳」と書いて「め」と読む(歌う)のです。ということは、

「瞳=目」

なんですね。つまり「瞳を閉じる」は、「目を閉じる」の「目」を「瞳」に置き換えただけなんだな!

(2017、9、5)

2017年9月 7日 10:05 | コメント (0)

新・ことば事情

6436「ご懐妊2」

「皇室の女性」が妊娠すると、

「懐妊」「ご懐妊」

という言葉が使われます。あまり一般人には使われません。

ただ、時々「パンダ」には使われるようですが。

「懐妊」というのは「敬意表現(敬語)」なのでしょうか?

また、皇室の場合は「ご」を付けて「ご懐妊」とするべきなのでしょうか?

時代劇の「大奥」あたりでも使われているようですね。

でも「懐妊」が「敬語」ならば「ご懐妊」は「二重敬語」にならないか?

また、皇室に、

「ご妊娠」

とは言いませんよね。一般人にも「ご妊娠」とは言いません、「妊娠」は「ご」という「美化語の接頭辞」が付きにくいのでしょうか?

きょう(9月5日)の「ミヤネ屋」で、英国王室の「キャサリン妃」「第3子を妊娠」したというニュースで、

「キャサリン妃第3子懐妊」「ご懐妊」

というサイドスーパーが発注されていました。私は、

「『外国の王室には敬語を使わない』という原則から言うと、『ご懐妊』はおかしい」

と気付いて、「ご」を取った「懐妊」にしようと思って連絡したところ、スタッフから、

「『懐妊』は『敬語』だと思ったので、全部『妊娠』でいくことにしました!」

という声が返って来ました。

毎日新聞の9月5日夕刊は、見出しが

「英キャサリン妃 第3子懐妊」

で、本文が、

「第3子を妊娠したと発表した」

でした。

こういう場合は、「言葉の歴史」を調べて見ましょう。つまり「妊娠」と「懐妊」の用例はどちらが古いのか?『精選版日本国語大辞典』の用例を見てみるんです。

すると「懐妊」は、

*「懐妊・懐姙」=子をはらむこと。みごもること。妊娠。懐胎。受胎。懐孕(かいよう)。

とあり、用例は、まず「漢文」で出て来ました。

★「家伝」(760年頃)上「汝児懐姙之付、与(二)常人()異、非凡之子、必有()神功()

なんと「8世紀」!古い!漢文ですから「懐妊」(懐姙)は「漢語」ですよね。

もう一つ用例が。こちらは漢文ではありません。

★「平家物語」(13c前)三「御悩(ごなう)ただにも渡らせ給はず御懐姙とぞ聞こえし」(晉諸―何曾伝

これも13世紀と古い!「平家物語」で「懐妊」は使われていた言葉なんですね。

「懐妊」の最初の語意説明に出て来た「妊娠・懐胎・受胎・懐孕(かいよう)」の用例についても、どれが古いのか、調べてみましょう。(意味は省略)

*「妊娠」=「浮世草子・世間旦那気質」(1773年)

*「懐胎」=「源平盛衰記」(14c前半)

*「受胎」=「幸若・硫黄之嶋」(室町末―近世初)、「刑事訴訟法」(1890年)

*「懐孕(かいよう)」=「律」(718年)、「翁問答」(1650年)

ということで、これらの中では「妊娠」が「一番新しい言葉」であるようです。

そういった意味では、「伝統ある言葉」の方が、

「敬意が高く感じられる」

ということなのではないでしょうか?

「婉曲表現=敬意が高い」

ということでは?「妊娠」は「医学用語」でもあるし、かなり「直接的な表現」なのでしょうね。

「平成ことば事情40 雅子さま、懐妊の兆候」「平成ことば事情268ご懐妊」「平成ことば事情2478紀子さま、ご懐妊・懐妊」もお読みください。全部「皇室」ですね。

(2017、9、5)

2017年9月 6日 21:06 | コメント (0)

新・ことば事情

6435「ミズ(Ms.)」

私が夕食を食べている横で、中1の娘が英語の宿題をしていました。

答え合わせで音読しているのを聞いていたら、

「ミズ」

という音が聞こえてきました。見てみると、

Ms.

と書かれています?

あれ?「ミス(Miss)」でも「ミセス(Mrs.)」でもなく「ミズ(Ms.)」なの?

もちろん、女性を「未婚・既婚」で分ける敬称は「女性差別」だということで、どちらにも使える「ミズ(Ms.)」という言葉があることは知っていましたが、

「中学校でそれを普通に使っている(教えられている)」

ということは、恥ずかしながら全く知りませんでした。

じゃあ「ミス○○コンテスト」(叩かれてることもあるけど)は、

「ミズ○○コンテスト」

になるの?ミュージカルの『ミス・サイゴン』は、

『ミズ・サイゴン』

になるの?サイモン&がーファンクルの名曲『ミセス・ロビンソン』

『ミズ・ロビンソン』

になるの?アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが主演したスパイ映画『Mr.&Mrs.スミス』は、

『Mr.&Ms.スミス』 

になるの?と次々と疑問が押し寄せて来ましたが、まあそれは全部、関係ないでしょう、固有名詞だし。わかっていて、言ってます。

学校で「ミズ(Ms.)」を教えている、つまり「ミス」や「ミセス」は使っていないということに、ちょっと動揺しているだけです。

なぜ「ミズ(Ms.)」そを教えるようになったか?

やはり「時代の流れ」なんでしょうけど、

「妙齢の女性に語りかける時に『ミス(Miss)』か『ミセス(Mrs.)』確認するのが面倒」

ということもあったのでしょうね。よく知っている人には、

「ファーストネーム(名前)

で呼ぶでしょうけれども、初対面の人や、それほど親しくない人には、

「ミス(Miss)○○」「ミセス(Mrs.)○○」「ミスター(Mr.)○○」

と、「○○」には、

「ファミリーネーム(名字)」

を入れて呼びます。

でも、女性でも繰り返し「離婚」をしたり、年齢が高いけど「未婚」だったり、「同居・同棲」はしているが「結婚はしていない」などの人が増え、

「生活のスタイルが多様化」

してきているので、区別するのが難しくなって来たのでしょう。「男性」の

「どんな状況でも『ミスター(Mr.)○○』」

と呼んで良いほうが、理にかなっていますからね。それに合わせたのでしょう。

つまりは、

「ミズ知らずの人にでも使える」

という利点があったということなんでしょうねえ。

(2017、9、5)

2017年9月 6日 16:05 | コメント (0)

新・ことば事情

6434「色泣き」

クリーニング屋さんに出したワイシャツを取りに行ったときに、壁に貼ってあったポスターが目に留まりました。そこには、

「浴衣の色泣き」

とありました。この、

「色泣き」

という言葉は、初めて見ました。なんでも、「色泣き」とは、

「色が滲み出ること」

だそうです。また、浴衣などの色は、

「堅牢度か弱くて、色泣きすることがある」

のだそうです。この、

「堅牢度」

というのも、初めて見た言葉です。

『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『旺文社標準国語辞典』『三省堂国語辞典』『現代国語例解辞典』『岩波国語辞典』『新潮現代国語辞典』には「色泣き」は載っていませんでした。

グーグル検索では(9月4日) 

「色泣き」=2万0700件

出て来ました。その中の「日本繊維製品・クリーニング協議会」のサイトには、2012年8月に、「色泣きについて」という文章がありました。

http://nichisenku.jp/thismonth/bleeding/

それによると、

「色泣きとは、濃淡(白を含む)のある生地において濃色部から染料が流れ出し、淡色及び白場を汚染させる現象を言います。色泣きが起きる原因は商品の素材、クリーニング・洗濯方法によりいくつかあります。」

と説明があり、さらに、

1.ポリエステル素材で柄物・プリント・縫製切り替えによる濃淡配色製品ではドライクリーニングにより色泣きすることがあります。ポリエステルを染める分散染料は、繊維の内部に拡散することで堅牢な染着状態となりますが、その後の様々な工程で熱処理を受けることで染料が繊維内部から繊維表面に移行していきます。この染料がドライクリーニング溶剤で溶出し、乾燥時に淡色部へ移行し色泣きが発生するのです。色泣きを防ぐにはドライクリーニング時にすすぎを十分に行ない、速やかに乾燥することが必要です。」

と素材別に「色泣きの原因・防止策」が記されています。

これ以上詳しいことはサイトを見てもらうとして、「色泣き防止策」の結論としては、

「水洗いの場合でも、すすぎを十分に行ない、脱水後は速やかに乾燥することが必要」

のようですね。

あ、そういえばこないだ買ったジーンズ、最初の洗濯の際に「色落ち」したけど、あれも「色泣き」なのかな?

(2017、9、4)

2017年9月 6日 12:07 | コメント (0)

新・ことば事情

6433「オブラート」

先日、日テレの「今夜くらべてみました」という番組を見ていたら、司会のフットボールアワーの後藤さんが、ゲストの「むき出しの発言」に対して、

「オブラート、置いてきたな」

と言いました。この、

「オブラート」

ですが、最近は余り見かけなくなりました。昔は、

「苦い薬を飲むとき」

に使ったりもして、家庭に常備されていましたし、子どもの目にも触れる物だったのですが、最近、苦い薬は、

「ゼリー・(ジェル)にくるむ」

ので「オブラート」は使わないのだそうです。

オブラートが使われない・見かけなくなると、

「オブラートに包んだ物言い」

も減って来るのかな?少なくとも、そういう表現は「死語」になっていくのかもしれませんねえ、残念ながら。

「ゼリー(ジェル)に包んだ表現」

という言い方になるのかな?まだ耳にしたことはないけど。

「オブラート」と言えば、高校の時に、西ドイツのサッカー選手で、

「ウォルフガング・オベラーツ」

という左足の職人の選手がいました、バイエルン・ミュンヘンの選手で。引退試合で日本に来た時に、京都の西京極競技場まで試合を見に行きましたね。

私は「オブラート」と聞くと、その「オベラーツ選手」を思い出します。40年ぐらい昔の話ですけどね。知らんだろうなあ。

なお、この後藤さんの番組のファンの、中学1年の娘によると、学校の友達はみんな、「今夜くらてみました」のことを略して、

「こんくら」

と言っているそうです。

(2017、9、5)

2017年9月 5日 21:06 | コメント (0)

新・読書日記 2017_103

『キャスターという仕事』(国谷裕子、岩波新書:2017、1、20)

23年間、NHKの「クローズアップ現代」通称「クロ現」のキャスターを務めた著者の「卒業論文」とも言うべき一冊。

実を言うとこの国谷さんという先輩キャスターを、アナウンサーとしては軽く見ていた。前にも書いたが、「こんばんは、クローズアップ現代です」という挨拶が、早口過ぎるのだ。それは本書の中で国谷さん自身が、「帰国子女なので英語は出来るが、日本語が苦手」と書いているように、

「日本語がちゃんと出来ていない」

という思いからである。「日本語のアナウンサー」としては、当然の思いだ。

なぜ、早口に聞こえたのかと言うと、彼女は「日本語」を「日本語」としてしゃべっていなかったからだ。「英語のしゃべり方」でしゃべっていたからだ。具体的には、

「こ・ん・ば・ん・は・く・ろ・ー・ず・あ・っ・ぷ・げ・ん・だ・い・で・す」

という、日本語だと「18拍」の言葉を、彼女は以前、

「『こんばんは』『クロースアップ』『現代です』」

とたったの「3拍」で話していたのだから、速く感じるわけだ。

しかし、視聴者などからおそらくそういう指摘もあったのであろう、ある時期から「こんばんは」だけは、丁寧に言うようになった。つまり「こんばんは」が、それまでの「1拍」から「5拍」になったのである。それだけでも、ずいぶん印象は変わった。その頃からではないだろうか、彼女がキャスターとしての深みを感じさせるようになってきたのは。

彼女はある意味恵まれていて、それこそ、この23年間、「平成」の期間、1990年代~2000年代までの「2ディケイド」、世界の政治報道の最前線で、世界を動かす人たちにインタビューするという立場にあった。それによって得られた経験は、第一人者としてやっていくに十分の貴重な経験だと思う。でも、当人がそれを感じるのが遅かったような気も、端(はた)から見ていると感じたんですよね。なぜかな?

本書の一番の読みどころは、やはり例の「捏造事件」の「おわび放送」の際の現場の様子であろう。内部の人がそれを話している重みは大きい。それまで「取材する側」であったキャスターが、「取材される側・説明しなくてはならない当事者」になった時に、どう考え、どう行動したのか。その辺りを読み解きたい。


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(2017、8、30読了)

2017年9月 5日 12:21 | コメント (0)

新・読書日記 2017_102

『美しい日本の廃墟』(エムディエヌコーポレーション:2016、9、1第1刷・2017、6、11第3刷)

2017読書日記101で書いた『朽ちゆく世界の廃墟』(自由国民社:2017、3、24)と同時に購入。出版の順番から言うと、こちらの方が先。「日本の廃墟」で、次が「世界の廃墟」だから、「世界」のほうが「二番煎じ」のように思うのだが、スケールから言うとやはり「世界」のほうが大きいかなあ。

ところで、新聞・放送では「廃墟」の「墟」は使わずに「廃虚」と書くのですが、これだと「廃墟感」が出ないですよね。やはり「土へん」が付いた方が良いな。

日本の廃墟は、美しさと共に「おどろおどろしさ」「恐ろしさ」のようなものが感じられるのは偏見かなあ?


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(2017、8、22読了)

2017年9月 4日 19:19 | コメント (0)

新・読書日記 2017_101

『朽ちゆく世界の廃墟』(自由国民社:2017、3、24)

新聞の書評欄で特集していたので、興味を持って購入。

「廃墟」は、確かに「美しいもの」だった。特に「世界の」ものは、

「一度は、見に行ってみたいな」

と思わせるに十分な魅力を持っている。そして、その写真と文章を読み進むうちに、

「何かに似てるな」

と思った。最後まであと何ページかというところで、ハタと思い当った。

「これは宮崎駿の世界だ!」

と。そうなのだ、

「ジブリ映画に出て来る自然の世界」

に大変よく似ているのですね、これらの廃墟は。

それは一体どういうことか?というと、宮崎駿さんが描くのは、人間が過去に築いた文明が一度崩壊して、その後の世界で如何に人間が生きていくか?というような話を描くという一貫したポリシーがあるように思うのですね。何となく、養老孟先生の「バカの壁」的な世界。♪人間なんてラララーララララーラーのように、「自然には敵わない」という視点を持っているように思う。

「廃墟」とは、「文明の限界」と「自然の強さ」の象徴ではないか。「滅びの美」とはつまり、そういうことなのではないかなあ・・・と感じたのでした。


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(2017、8、22読了)

2017年9月 4日 19:11 | コメント (0)

新・ことば事情

6432「ニコラ・テスラ」

ことし1月7日に、

「ニコラ・テスラの命日」

とツイッターで情報が入って来ました。

「ニコラ・テスラ」という名前の人は知りませんが、

「テスラ」

という名前には憶えがありました。最近、ニュースでも時々出て来る(新聞・一般紙)でもよく出て来る、

「アメリカの電気自動車会社の名前」

です。このツイッターを見て数か月後には、時価総額で世界一の自動車会社になったというニュースも!あまり「テスラの自動車」が走っているのは見ないのですが。

興味を持って、この「ニコラ・テスラ」という人について検索してみました。すると、やはり「電気」と関係のある人だったのですね。

「エジソンのライバル」

とも目された人だそうです。知らなかった!

エジソンに憧れて、エジソンの会社「GE」に入ったのですが、エジソンも嫉妬するぐらいの存在になった人だそうです。だから「"電気"自動車」の会社の名前にしたのか!

先月(2017年8月)、夏休みでカナダに行った時に、バンクーバーの街角で「テスラ」のショールームを見かけたので、写真に撮りました。まだ日本で見かけたことないなあ。

6432img.jpg

(2017、9、1)

2017年9月 1日 12:16 | コメント (0)

新・ことば事情

6431「血量」

見たら、意味はなんとなく分かるけど、普通は使わない言葉を、飛行機の中で読んだ全日空の機内誌『翼の王国8月号』で見つけました。それは、

「血量」

という言葉です。

6431img.jpg

意味は恐らく、

「血の量」

なんでしょうかね。でも、「殺人事件」でも「下血」でもないんだから、なぜ「血の量」が・・・あ、そうか!「競馬」だから、

「血統」

が関係しているのかな?

帰って来てからネット検索すると、「競馬用語辞典」というサイトで

「奇跡の血量」

という単語が引っかかりました。「翼の王国」の記事も「奇跡の血量」だった!

それによると、

「3代目と4代目に同一の祖先を持つと血量がその祖先の18.75%となるが、こうした馬が過去の名馬に不思議と多く、奇跡の血量とよばれている。 昭和35年に無敗で皐月賞とダービーを制したコダマがブランドフォードの18.75%の血量であったことから、日本でもこの配合がもてはやされた。最近の例としては、トウショウボーイ、マックスビューティなどが挙げられる。もっともそうした馬が全て走るというわけではなく、走る馬に多く見られる、ということ。」

と、直接「血量」の説明ではありませんでしたが、やはり「血統」に関わりがありそう。さらに、「ゼロから始める競馬入門」というサイトでは、

「1世代前:血量50

2世代前:血量25

3世代前:血量12.5

4世代前:血量6.25

このように世代を追うごとに血量は1/2で計算されます。」

とありました。ということは「血量」は、

「世代ごとに伝わる血の量の割合」

のことでしょうかね?「競馬」をやらないので、わからないけど。

これはやはり、「アノ人」に聞かないと!ということで、競馬実況でおなじみ、

「関西テレビの石巻ゆうすけアナウンサー」

に聞いてみたところ、以下のようなお返事を頂きました。

「『血量』は競馬用語の中でも血統で使われる言葉です。『奇跡の血量』という言葉があり、ある馬から父方、母方にさかのぼり、それぞれ3代前と4代前(逆でも可)に同じ種牡馬がいる場合『奇跡の血量』という表現をします。

名馬の血統を調べると、この『奇跡の血量』を持った馬が多いことから、この考え方ができました。(逆に「奇跡の血量」を持った馬が必ず走るかというと、全くそんなことはないのが競馬の難しいところです)実際に使う時は、

「オルフェーブルはノーザンテーストの4×3だ」

(父方の4代前と、母方の3代前に、名種牡馬ノーザンテーストがいたということ)

などと言います。概念としては知っていても、牧場関係者やよほどの競馬オタクでない限り、『血量』『奇跡の血量』という言葉をふだん使うことはないですね。」

とのことでした。

石巻さん、ありがとうございます!

よっぽど専門家でないと知らない言葉のようですね、国語辞典にも載っていないし。どうりで私は知らない言葉のはずだ。私が知っているのは、せいぜい、

「血尿」

ぐらいですね。

(2017、8、31)

2017年9月 1日 12:08 | コメント (0)