新・ことば事情
6409「だそう2」
「平成ことば事情6394だそう」の続きです。
この問題を提起した、MBSのK委員こと柏木宏之アナウンサーからメールが来ました。
それによると、MBS放送用語委員会では、
(1)放送用語は学校文法を遵守する立場で判断をするべきである。
(2)伝聞の助動詞「そうだ」は「れる、られる」と同じ品詞である。
(3)「そう」を伝聞のジャンルで形式名詞とは考えることができない。
(つまり体言止めとは考えられない)
というような理由から、
「『~だそう』は伝聞の助動詞につくべき終助詞が欠落した、不十分なことばである」
と結論付けて、その扱いは、
「『ら抜きことば』と同等のものと考えることにした」
のだそうです。
それに対して、私は、先日の放送分科会で指摘した、
「だそう=酒井順子起源論」
を裏付けるべく、その後も酒井順子のエッセイを読んでいたら、ついに発見!
『泣いたの、バレた?』(講談社文庫)
という文庫本の中のコラム「東北に、来てくれました」で、伊藤若冲の蒐集家・プライス氏について、
*「五十歳で仕事を引退し、日本美術の勉強・蒐集の道に入ったのだそう。」
(18ページ)
と出て来たほか、「ハワイとハワイアンズ」では、
*「観光地化のために埋め立てられたのだそう。」(47ページ)
さらに「民謡のインタラクティブ性」では、
*「『津軽海峡・冬景色』は、さゆりさんが十代の頃の歌なのだそう。」
(54ページ)
と、まだ途中までしか読んでないんですが、「3つ」出て来ました。
この文体を読んでいて感じたのは、酒井さんは、
「『源氏物語』や『枕草子』の文体を意識しているのではないか?」
ということでした。
更に読み進めます!