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『道浦TIME』

新・ことば事情

6405「夜のお菓子」

以前から気になっていたことの一つに、静岡・浜松銘菓の、

「うなぎパイ」

のことを、

「夜のお菓子」

と呼ぶのはなぜか?ということがありました。メモだけして、いつものように、ほったらかしだったんでが、「土用の丑」で「ウナギ」に関係がある日なので、ちょっと調べてみました。「うなぎパイ」を製造・販売している「春華堂」のHPを見てみると、「よくある質問」で、

「うなぎパイの夜のお菓子ってどういう意味なの?」

という質問が!その答えを引き写します。

「『夜のお菓子』とは、家族団らんのひとときに召し上がってもらいたいという意味です。命名者は当社二代目社長の山崎幸一です。うなぎパイが誕生した昭和36年は高度経済成長の真っ只中。その成長期において女性も社会に働きに出るようになり、子供たちも学校・塾など・・・皆が家にいる時間が少なくなりはじめていたようです。そんな中、夜の夕食だけは家族の集まる団らんのひとときとして大切にされていた時間でした。そんなひとときに『うなぎパイ』を囲んで楽しいひとときをすごしてもらいたいと命名されたのが『夜のお菓子』です。ただ、実際には"違う解釈"をして買っていく方も多いようです。」

その「違う解釈」なんですが、これも「よくある質問」の、

「うなぎパイの隠し味って?」

というところに、

「実は少量のガーリックがはいってるんです。ガーリックですが、試作段階の『うなぎパイ』において、今ひとつおいしさに深みがないと職人たちが悩んでいたそうです。そこに幸一社長が当時ブームだった『餃子』をヒントにガーリックを少し使ってみたらどうか?と提案し、生臭さを消すための工夫をし、使用したところ、あのうなぎパイの深みのある癖になるおいしさになったそうです。」

とありました。そうか、つまり、メーカー側が「夜のお菓子」と名付けたことと、隠し味の「ガーリック」がつながって、

「『うなぎパイ=夜のお菓子』→『ニンニク使用=夜の成分』・・・そうか!」

という「大人の解釈」による意識が、都市伝説のように広がったということのようですね。もちろん、「うなぎパイ」は、朝食べても、昼食べても、「土用の丑の日」に食べても大丈夫です!

(2017、7、24)

2017年7月25日 10:59 | コメント (0)