新・読書日記 2017_086
『国語辞典のゆくえ』(飯間浩明、NHK出版:2017、7、1)
NHKラジオ講座(カルチャーラジオ)「文学の世界」のテキスト。7月から9月までNHKラジオ第2放送で放送されるのですが、読み物として読んでも十二分に興味深い・面白い・勉強になりました。赤ペンを持ちながら感想なども書き込みながら読みました。
たしかに「紙の辞書」の時代は終わりを告げている。その中で電子メディアを使った辞書はどうあるべきか?そんなことを飯間さんは考えているのですね。すごいなあ。
33、45、97、104、105ページは、明らかにインクが濃く字が太いです。なんでやろ?
目次をご紹介すると、「検索サイトがすべてを変えた」「国語辞典はどのように生まれたか」「国語辞典が熱かった時代」「国語辞典と電子化の波」「さまざまな個性の国語辞典」「国語辞典を作る原動力とは」「シンプルに分かりやすく説明する」「身近な言葉を丁寧に説明する」「ことばの多様性を提示する」「インターネット上のデマを正す」「そのことばをどう使えばいいか」「電子版辞書の可能性」「相談相手になる国語辞典」。
そして最後に「辞書をもっとよく知るためのブックガイド」まで付いていて、お得です。私は、ブックガイドで紹介された32冊の内、24冊は読んだことがありました。
トータルの感想は、
「インターネットの時代に、国語辞典はいかに生き残るか?つまり、国語辞典の存在価値は何か?ということを、飯間さんは真剣に考えているんだな」
ということでした。たしかに「ネットがあれば、意味を知るのは事足りる時代」、そこに「紙の辞書」の必要性、「電子版辞書」の必要性は?と思ってしまいますよね。
しかしそれは、先日の安倍首相の「そもそも」の意味を辞書で調べたと言いながら、実はどうやらネットの辞書で検索していた、しかも調べたのは、安倍首相本人ではなかったという出来事に象徴されるように、「知識の安易な外付け」の持つ危うさ・いい加減さが、万人に(首相にまで)広がった現代だからこそ、紙の辞書の重要性さ・自らの脳みそに刻み込む知識の重要性が、裏付けられたのではないでしょうか?
「ネットの情報や知識」は、あくまで「フロー」です。今、必要なのは、
「ストックとしての知識」
なのではないのでしょうか?