新・読書日記 2017_085
『文庫解説ワンダーランド』(斎藤美奈子、岩波新書:2017、1、20)
久々に斎藤美奈子さんの本を読んだが、切れ味は変わってなかった。やはり中身が濃いので、最初、ペースに乗るまでは、なかなか入り込めなかったが「美奈子ワールド」に浸かってしまえば、もう気持ちよく読み進むことができました。
大体「書評」と言えば、「本」「物語」の「批評」をするのに、本編ではなく「おまけ」とも言える「解説文」を分析していくという、まあ「おたく」的な世界ですね。しかし、一度足を踏み入れると、そこはまさに「ワンダーランド」。「解説」を書いた人の人柄や、それを書いてもらった「本編の作家」の存在というものまでが輪郭を表す。「解説」の在り方が、作品そのものを読み解くカギになる!という視点は、まさに「目からウロコ」ですね。これで解説を書く方も、もう全然、気軽に書くことができなくなりました。「解説」までもが俎上に載せせられる、しかもあの「斎藤美奈子」が包丁を振るう・・・・全く、油断も隙もない時代になりましたね・・・。
でも、読者としては、大変おもしろうございました!
star4