新・ことば事情
6380「『退社』か?『退所』か?2」
平成ことば事情6356「『退社』か?『退所』か?」で書いた件の続編。
6月30日に開かれた「新聞用語懇談会放送分科会」で、各社の委員にどう対応したのかを聞いてみました。
また、先日亡くなった、元NHKアナウンサーで女優の野際陽子さんが、NHKをやめたことを紹介するときに、「退局」という表現はなじまない気がして「退社」としたのですが、NHKに入るときは「入局」でもいいのかなと思ったのですが、アンバランスな感じで、これに関しても各社どのように対応したかも聞きました。結果は以下の通り。
(NHK)「退局」は原稿にはなかった。「入局」「退局」も「入った」「やめた」と和語で言い換える。SMAPの原稿は「ジャニーズ事務所を離れることに」で、スーパーは「契約終了」だった。
(テレビ東京)ここ20年の原稿で「ジャニーズ」は30数件しかなかったが、今回の件は「退社」で放送した。
(テレビ朝日)SMAPは「退社」で放送。「退所」だと、ニュアンスがハッキリしない。
(フジテレビ)SMAPは、「めざましテレビ」=「退所」、「昼のニュース」=「退社」で放送した。野際陽子さんは「女優に転身」という表現で「NHKをやめた」という関係の表現はなかった。
(TBS)調べ切れなかったが、芸能デスクが出演した番組では「退所」と言っていたが、それ以外は「契約終了」にしていたと記憶している。野際さんはNHKを離れた後は「TBS」の番組に来られたので、この場合は「TBSが抜擢」か。(笑)
(テレビ東京)野際陽子氏については、元NHKアナウンサーで民放(テレビ東京)に移ったという「経験者である私」から言わせてもらうと、外部から言われた表現は、全部、「退職」だった。
とのことでした。
各社それぞれ、ということで、表現がバラバラになったのですね。それがわかりました。どれが「正解」というのも、ないのかなあ。