新・ことば事情
6370「流木が流れて来た」
九州の豪雨災害、お見舞い申し上げます。
「線状降雨帯」
聞き慣れない言葉ですが、2年前の栃木・鬼怒川の災害でも、こういった気象状況になったそうですね・・・。
7月7日の昼休みにたまたま食堂で一緒になった、九州・福岡出身のアナウンサー・M先輩が、
「九州豪雨のニュースを見ていて気になるのが、『流木が流れて来た』という表現。NHKも使っている。これって『重複』でしょ」
全然、気付きませんでした。しかしそれを聞いてから、よーく耳に神経を集中すると、確かにそうしゃべっている人もいます。「ミヤネ屋」で宮根さんも、
「大量の流木が山から流れて来て」
と言っていました。あまり気にならない・気付かないですが、当然、
「流木が流れて来る」
のではなく、
「山の木が流れたものが『流木』と呼ばれる」
のですよね。
今回は、山間の所で被害が大きくなり、木と共に大量の土砂が流れて来て被害を大きくしたということで、単なる「木」が「流れて来て」というよりは、流れた結果の、
「流木」
という「キーワード」を使いたくなるのですね。
「フリートーク」では、ある程度は仕方がないですが、「ナレーション原稿」では避けたい表現ですね。
(追記)
南極で巨大な氷山が割れたことで、周囲への環境の変化が懸念されるというニュースを、7月13日の午前10時のNHKニュースでやっていました。
それで思い出しました、というかその前の日に気付いたのですが、
「『流氷』は『流れ着く』」
と言いますねあ・・・・混乱。
これは、「流氷」のほうが「固有名詞的」に「一語意識」が強く、「流氷」の中の「流」の意味が薄れていると考えられます。
「犯罪を犯す」の「犯罪」のような感じですね。重複だけど「許容」。
「流木」は、まだそのレベルには達していない、ということではないでしょうか。
(2017、7、13)