新・ことば事情
6369「記録を書き換えるか?塗り替えるか?」
6月26日、将棋の14歳・藤井聡太四段が、これまでに作られた連勝記録を30年ぶりに塗り替える、「29連勝」を達成しました。いやあ、すごい!
次の試合で佐々木勇気五段に敗れて「30連勝」はならなかったですが、プロ入り「初黒星」後も、7月11日現在「2連勝」です!
ところでこの場合、「記録」や「歴史」は
「塗り替える」
なのか?それとも、
「書き換える」
なのか?「29連勝達成」翌日の「ミヤネ屋」の放送では、
「塗り替える」
を使ったんですが、どう違うんでしょうね?と疑問に思いました。
なんか「陸上の記録」何かだと「書き換える」ような気がするんですが。
「データ」として書き残すのであれば、
「書き換える」
ですね、ただ、その記録更新よって、これまでの常識であるとか、見えていた世界をガラッと変えてしまう場合は、記録が書かれた壁ごと、色を、
「塗り替えてしまう」
ということなのかなあ。
そうすると、「記録の持つ意味の大きさ」によって、
「書き換える」<「塗り替える」
という使われ方をしているのでしょうかねえ。「頻繁に更新される記録」は「書き換える」、「滅多に更新されない記録が破られたとき」は「塗り替える」では?
『新明解国語辞典』では、
*「塗り替える」=前に塗ったものが はげたり 不要になったりして、その上に新しく塗り直す。(今までとは違ったものをそこに呈示する意にも用いる。例・「記録を塗り替えた(=「一新した」)」
とありました。『広辞苑』では、
*「塗り替える」=(1)塗ってあるものを改めて塗る。ぬりなおす。例・「壁を塗り替える」(2)すっかり変えて新しくする。例・「勢力地図を塗り替える」「大会記録を塗り替える」
とありました。そういえば「書き換える」と「塗り替える」では、「かえる」の漢字も違いますね。