新・ことば事情
6365「勝つ気しかしない」
中学1年生の娘が、こんな言葉を使っていました。
「勝つ気しかしない」
最近、こういった表現を耳に知ることがありますが、よく考えると、ちょっと"違和感"があります。同じ事を普通なら、
「負ける気がしない」
と言うのではないでしょうか?「勝つ気しかしない」は、少なくとも私は、使いません。そういえば会社の先輩に、
「香月さん」
という人がいました。「かつき」さんです。
この「勝つ気しかしない」という言葉をメモしておいたところ、今日(6月29日)のNHKの『人名探究究バラエティー・日本人のおなまえっ!』という番組を見ていたら、「縁起のいい名前」の店員さんばかりが集まった「宝くじ売り場」を紹介していて、その映像の後ろに流れたナレーションと字幕スーパーが、
「当たる予感しかしない宝くじ売り場」
と紹介していました。あ、これも同じ用法だ!
これってもしかしたら「プロレス」かなんか、スポーツの世界から波及してきた言葉でしょうか?と思って検索したら、やっぱり出て来ました。
『減量から解放された川口は「自由になったこの開放感がたまらない。ご飯を食べたら勝つ気しかしない。」(「デイリースポーツ」2017年4月1日:ボクシング・東洋太平洋スーパーフライ級タイトルマッチの前日計量の記事)
『【プロレスリングWAVE】6.4後楽園大会に向け会見!大畠が門倉(マーベラス)の勝ち上がりを要望!山下は「勝てる気しかしない!」と強気発言!』(「プロレスTODAY」というサイト、2017年5月29日)
グーグル検索では(6月29日)
「勝つ気しかしない」= 4710件
「当たる気しかしない」= 4万4480件
「~気しかしない」 = 47万1000件
でした。この言葉の使い方の"違和感の出処"は、どこでしょうかね?
(追記)
ツイッターで見かけた文章に。
「刺激しかありませんでした」
というものが。これは「勝つ気しかない」と同じ文章の構造ですよね。
「勝つ気しかない」は「勝つ気満々!」の意味。
「刺激しかない」は「ものすごく刺激された」の意味。
ということですね。
(2017、7、19)