新・ことば事情
6359「怪文書のアクセント」
国会の会期が終ろうとする時期になってようやく調査をして、「怪文書」とこき下ろしていた文書がお役所に実際にあったことを認める事態に。しかも、
「『怪文書』という言葉が"独り歩き"してしまった(のは残念)」
とのたまう官房長官。あなたが使ってたんでしょうが!と、ほぼ全国民が、ツッコミを入れたことでしょう。
その官房長官の6月16日の午前中の会見で、語気激しく質問を浴びせかけていた女性記者(たぶん東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者)ですが、一つだけ気になったことが。
彼女の質問に出て来る「怪文書」のアクセントが、
「カ/イブンショ」
というように、「平板アクセント」なのです。これは『NHKアクセント新辞典』を引くまでもなく(引いたけどね、
「カ/イブ\ンショ」(中高アクセント)
しかありません。たぶん彼女は、
「請求書」「領収書」「陳情書」「申込書」
等と同じように、
「怪文・書」
だと想っているのではないでしょうか?それなら「カ/イブンショ」という「平板アクセント」というのも納得がいきます。確かに「怪文書」は「怪文」が書かれている「文書」ですからね。
しかし「怪文書」の語構成は、
「怪・文書」
つまり、
「怪しい文書」
なのですから「文書(ブ\ンショ)」のアクセントを残して、
「カ/イブ\ンショ」(中高アクセント)
とするのが当然でしょう。もし「平板アクセント」にすると、
「回文書」(カ/イブンショ)
になってしまいます。そんなものが、あるのかどうかは、わかりませんが。タケヤブヤケタ。シンブンシ、ワタシマケマシタワ。
もし「回文」で書かれた「怪しい文書」であれば、
「回文怪文書」(カ/イブン・カ/イブ\ンショ)
となるのかな?誰がそんなもん、書くねん!