新・ことば事情
6354「トラベラーズチェック」
今から3年前の「2014年4月20日」に書き始めました。
タイトルとメモだけ。
そこには、2行だけ、こう書かれていました。
「TC」
もはや売っていない!
そう、「TC」とは、
「トラベラーズチェック」
です。今の若い人は知らないでしょうね。
私達の世代が海外に行き始めた、今から30年余り前、「現金」をたくさん持っていると「危険」だとして、この「トラベラーズチェック」を購入することを勧められました。銀行で買えたんです。どんなものかと言うと、「10ドル」「20ドル」「50ドル」「100ドル」などと金額が書かれた、紙幣ぐらいの大きさのクーポン券みたいなもので、そこに最初に全部、名前をサインしておくんですね。(大体、漢字で書いていました。)そして、それを使う時に、もう1か所に「同じサインをする」と使えると。
もし、トラベラーズチェックを落としても、その番号を記録しておけば「再発行」してくれて、他の人が拾って使おうとしても、
「最初と同じサインをしないと使えない」
というシステムです。だから、
「現金よりも安全」
だと。旅行に持って行くお金の、
「半分は現金、半分はトラベラーズチェックにしろ」
と、よく言われました。これはその後「もっと安全で便利」な「クレジットカード」の普及によって、廃れて来たんですね。何と言っても、いちいち
「サインを事前にしておかなきゃならない」
というのが、とっても面倒でしたからね。腱鞘炎になるかと。
この「トラベラーズチェック」を、もう25年ぐらい前、
「1ドル=110円」
ぐらいの時に買って、
「次の海外旅行の際に使おう」
と思っていたのですが、その後「円高」で、
「1ドル=80円」
ぐらいになってしまって、使うに使えないまま、ほったらかしになっていたのですが、「そろそろ使わないと」と思って、数年前、アジアのある空港(たしか、ベトナムのホーチミン)で使おうとしたら、なんと、
「使用を拒否」
されたのです!「使えません」と。これはもしかしたら、もう世界中どこでも使えないのか?だとしたら「換金」しなきゃ!と思って、日本に帰ってから銀行に駆け込んで、「日本円」に代えてもらいました。買った時から言うと、ちょっと損をしましたが、
「紙切れ」
になるよりはマシです。その時に銀行の人が、とても懐かしむような、もの珍しい物を見るような感じで「トラベラーズチェック」を見ながら、
「もう、トラベラーズチェックって、売っていないんですよ」
と衝撃の発言!
そうだったのか!こうやって「死語」になっていくんでしょうね。そう思って記録しておくことにしました。