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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_066

『知性の顚覆(てんぷく)~日本人がバカになってしまう構造』(橋本治、朝日新書:2017、5、30)

久々の「橋本治本」のような感じが。病気をされたりもしていたようですね。著者も来年「古希」です。

1章は「ヤンキー的なもの」から。最近よく言われる「反知性主義」という言葉は、著者はキライなのだそうです。どちらというと、既成の「知性」や「権力」というものに逆らった青春時代を送ってその延長線上でずっと生きてきたような感じがするので、どちらかというと「反知性側」だと著者自身は思っていたようですが、「あれ?現在、使われている『反知性主義』って言葉は、俺が思っているのと違うぞ!?」と気付き、また「ヤンキー」と呼ばれるものとも、体質が違う。これは一体何なのか?というのを考えるに至ったと。そこで、そのナゾを詳しく分析していく過程が書かれています。

同感だと思ったのは、「第5章 なぜ下品になったのか」の章。「日本人は下品になった」「知性はモラルを捨てて行く」「『自己主張』という下品な行為」あたりを読むと「フムフム」と思います。

やはり「経済至上主義」の行き着く先にある「知性」は「反知性」を生み出し、「下品」になっていく。21世紀の「イスラムのテロ」を生み出したのも、もしかしたら「共通の根ッこ」を持つのではないかなと思いました。


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(2017、5、18読了)

2017年6月 8日 16:29 | コメント (0)