新・ことば事情
6344「被害額2億円越え」
最近よく見かける、
「○○超え」
という表現。例えば、
「イチロー超え」「長嶋超え」
のように、「偉大な選手の記録を超える」ような場合ですね。主にスポーツや芸能分野で、よく使われているようです。これを、
「イチロー越え」「水谷越え」
と「越」を使うと間違いです。
また、その一方で、硬いニュースでも最近、
「被害額2億円超え」「難民6000人超え」「売上高1兆円超え」
のように「○○超え」が使われるケースが目立ちます。これまでは「見出し」として(読まない前提の「書き言葉」として)、もし読むとすれば「チョウ」になる、送り仮名「え」のない、
「被害額2億円超」「難民6000人超」「売上高1兆円超」
を使っていたので、それとの混交が起きているようです。
しかし、こういった分野のニュースでは「超え」ではなく「以上」を用い、
「被害額2億円以上」「難民6000人以上」「売上高1兆円以上」
としたほうが、しっくりくるケースがあります。特にその内容が「良いとき」は「超え」でも良いかもしれませんが、「被害額2億円超え」のように、内容が「悪いとき」に「超え」を使うと、まるで競っているかのように感じて「違和感」がありますので、その辺りも考えて使うようにしたいです。