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『道浦TIME』

新・読書日記 2017_059

『羽生善治 闘う頭脳』(羽生善治、文春文庫:2016、3、10第1刷・2016、12、12、5第4刷)

中学生棋士・藤井聡太四段の快進撃で、「将棋」に注目が集まっています。

これまでも羽生三冠の本や、その関連の加藤一二三九段の本は読んで来ましたが、やはり羽生さんは"別格"のような気がします。

ということで、読んでいたら、ちょうど藤井四段の活躍に注目。グッドタイミング!

30数年にわたり第一線で活躍してきた羽生三冠。最近スポーツ界でも、以前では考えられないぐらい長く現役生活を続ける選手が増えましたが、将棋もやはり20、30代がピークで、その後はだんだん衰えていくものです。しかし、羽生三冠によると、

「たしかに体力や、読み切る力は、若い頃のほうがあった」

と。25歳で前人未到の「七冠」を達成していますもんね。しかし、

「大局観、全体を見通す力は、年齢が上がってからのほうがある」

とも。これも納得ですね。「フィジカルな面(体力)」では「若さ」が勝ちますが、経験に裏打ちされた「読み」は、年齢と経験を重ねた方が「上」に決まってますからね。それを実感して話されている様子が、「なるほど」と思わせるところですね。

あと、加藤一二三九段を見て、羽生三冠も驚き感心し尊敬しているのは、その「継続力」「持続力」。これだけ長く(60年)も将棋をやって来て、まだ飽きずに前を向いて将棋を指すという「好奇心の旺盛さ」。これは「才能」であり尊敬に値すると。

「私なんて、まだ加藤先生の半分しか・・・。」

そうですね。先は長いですよ。

この本では、羽生善治の「思考力」「勝負力」「発想力」「人間力」「持続力」という5つのテーマ・能力について、いろんな人が語り、本人が語り、対談して語り、考えている。

巻末には、沢木耕太郎との対談、阿川佐和子との対談も載っています。

この分厚さ、380ページで「660円+税」というのは、お安いと思います。


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(2017、5、8読了)

2017年5月19日 10:23 | コメント (0)