新・ことば事情
6332「『が』ではない!」
「ミヤネ屋」で5月11日に放送前に直したテロップに、こういうものがありました。
★助詞は「を」です。
×「巡査部長が逮捕」→○「巡査部長を逮捕」
×「地域課の巡査長が逮捕」→○「地域課の巡査長を逮捕」
これは、なんで間違いなのか?
元々の形は、
「巡査部長が逮捕された」
「地域課の巡査長が逮捕された」
というように、語尾に「受け身」を意味する「された」が付くはずです。
それを、見出しやスーパーで文章を短くするために「された」を省略したことによって、
「文章にねじれが生じてしまっている」
のです。「された」がないと、意味上は「した」になるため、
「巡査部長が逮捕」「地域課の巡査長が逮捕」
は、主語が「巡査部長」「地域課の巡査長」になってしまうために、
「『誰を』逮捕したのかがわからない文章」
になってしまいます。と言うか、
「本来『逮捕された』はずの『巡査部長や地域課の巡査長』が『逮捕した立場』に逆転してしまう」
のです。そのため「された」を省略するならば、「助詞」を「を」に変えて、
○「巡査部長を逮捕」
○「地域課の巡査長を逮捕」
として「逮捕」の「目的語」を「巡査部長」「地域課の巡査長」にすることが必要です。
どうしても「それはイヤ」というワガママな人は、
「助詞を取る」
という手があります。そうすると、「スペース」が、助詞「を」の役割を果たしてくれて、
「巡査部長 逮捕」「地域課の巡査長 逮捕」
になり、意味は「やや受け身形に近付く」のです。